妖精【読切超短編小説】
ある日、R氏の元に妖精が現れた。
「なんでも、あなたの願い事を、
ひとつ叶えてあげます。」
R氏は、欲深い人間だった。
考えた上で、こんな意地悪な答えを。
「何でもというなら、一生俺の元で、
奴隷として働いてもらおう。
それが、俺の、たったひとつの願いだ。」
R氏は、妖精の魔法をこき使った。
かつてないほど贅沢な暮らし。
世知辛い世の中。
「何でも」なんて言葉は、
むやみに使わない方がいいのである。
しかし、
そんな生活も長くは続かなかった。
妖精の生涯は短い。
R氏の思い通りに働いて来た、
妖精も、次第に、魔力が衰え、
R氏の要望を叶えることは
できなくなっていった。
けれども、R氏は、
妖精から離れることはできなかった。
一生奴隷として働くことが、
この妖精の仕事なのだ。
やがて、
いままでの苦労がたたったのだろう。
妖精は介護が必要な状況に。
「一生」という言葉もまた、
むやみには使わない方がいい。
【後書き】
妖精とは、
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140字
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