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年後半の景気見通しは地政学リスク次第(2024.4.23)

【今日のコメンテーター抜粋】
 三井住友DSアセットマネジメント:吉川さん、ニッセイ基礎研究所:井出さん
【今日のモーサテを一言でいうと(個人的感想です)】
 年後半の景気見通しのポイントはやはり地政学リスク、イスラエルとイランの対立の推移による。
 吉川さんの解説。
 現在の景況感をみると、製造業が改善してきている。特に、銅の価格指数を見る2024年2月頃より上昇しており、銅価格は製造業の生産活動と関わりが深いことから、この価格が強いということは世界的に生産活動が活発化していると見ることができる。
 コロナ後の世界経済の状態をグローバル製造業PMI及び非製造業PMIという数値で見ると、2022年半ば頃までは製造業が強かった。理由は、当時はテレワークや巣ごもり消費の盛り上がりがあり、耐久消費財を作る生産活動が活発だったからである。その後、巣ごもり消費が一巡し製造業指数は景況感の境目である50を下回ったが、変わって非製造業(サービス業)が外出制限の緩和などを受けて強くなった。
 このように、コロナ後に製造業が低迷する間、サービス業が活発化し世界経済を支えた結果、双方のPMIの数値に乖離が生じた。このような状態は過去の推移と見比べると珍しいことであり、製造業とサービス業のずれた状態がいつまで続くか注目していたところ、ここへきて乖離に変化が見え始めている。最近はまた製造業が上向きになっており、一方、サービス業は横ばいとなっている。外出にともなう消費が一服した段階で今度は製造業の在庫調整が底打ちし、再度上昇に向かっているため、全体として製造業に支えられるかたちで景気は底堅く推移するとみられる。 
 一方、ウクライナ侵攻や中東情勢など、ここ数年で地政学リスクが高まっている。景気循環的に悪くなるリスクは下がってきたが、政治面でのリスクは高まっている。
 それが景気に与える影響のひとつは、戦争や紛争の様子がメディアを通じて広まることにより、人々の心理が悪影響を及ぼし、消費が落ち込むことである。FRBが作成している「地政学リスク指数(英語の10台メディアの中で地政学リスクに関する用語がどのくらい使われているのかを指数化したもの)」を見ると、1985年~2019年を100とした場合、ウクライナ侵攻時で約300、イスラエルによるハマス攻撃後で約200、更にイランへの攻撃に対するイランの反撃後で約240となっており、過去の景気の動きと比較すると、この指数が上昇した状態が半年以上続くと、心理的影響が生産活動に響き、景気に悪影響を及ぼす。
 二つめは、原油価格への影響である。原油価格が高くなると景気は悪くなる。それは、世界的にみた場合、産油国の収入の大半は企業(や王族)の貯蓄に回り消費へはあまり回らないのに対し、輸入国のエネルギー価格上昇による消費減少への悪影響のほうが大きいからである。
 以上、製造業回復による景況感のもちなおしと地政学リスクをふまえた今年後半の景気見通しは、やはり地政学リスク(原油価格)の動向によって左右される。イスラエルとイランが互いに自制するなら原油価格の上昇は抑えられ、世界経済は回復すると思われる。一方、対立が激化し原油価格が100ドル超えるようなら、景気見通し下方修正する必要も出てくる。更に、ホルムズ海峡が封鎖された場合は原油のみならずサプライチェーンにも影響し、景気回復は途切れることになると思われる。
 …というお話でした。

 今日の井出さんの株価の解説コーナーで、インテックス投資においては「急落を避けて大相場を取り逃さない」なんていういいとこ取りなんてのはできないし、100点を目指して惨敗するのを避けるためにも、相場の動きに一喜一憂せずほどほどを目指して淡々と投資すべき、という話をしていた。
 その「一喜一憂しない」というのが難しい。私は3年くらいかかりました。そういう意味でも投資は早くに始めたほうがいいと思った。

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