原子力ムラの提灯持ちだった石坂浩二のあとに登場した今田美桜は,原発問題の深刻さを理解できているのか?
【付記】 冒頭画像は,2011年3月11日の東日本大震災で爆発事故を起こした東京電力福島第1原子力発電所の全4基。左側から4号機・3号機・2号機・1号機。
※-1 かつて,原発CM(TVとインターネット)によく出演してきた石坂浩二は,長期間にわたり「原発は必要だ」と悪魔のようにささやきつづけた
石坂浩二は,電気事業連合会のその原発「意見広告」に,頻繁に登場してきたが,原発に反対する陣営からは悪評紛々であった。なかには「原子力推進の電事連CMに出演」する石坂浩二は「人類の敵」であり,「またまた非難轟々」だと題名を付した一文まで出現していた。
しかし,石坂浩二の電事連「原発広告」への出演は2021年6月あたりで終わっていたかのように観察できた。その代わりに,昨年(2022年)からは若い女性タレント今田美桜をかり出して,原発広告じたいのイメージ転換を図っている。
石坂浩二が電事連の原発広告に出演していたときの,そのいくつか現物を画像資料で,以下に紹介しておく。
※-2 石坂浩二の「原発CM」出演情報-2021年6月から2017年10月までの記録-
上記期間の前後を通して石坂浩二は,原発広告にたくさん出演してきた。が,参照している情報源を参照したかぎりでは,2021年6月以降,最近までに関する新しい広告はみつからない。
ということで,以下においては,上記時期(2017年10月から2021年)の範囲内で,石坂浩二が原発広告に登場していた記録のみ紹介する。これ以前の記録は載せていない。
2021-06-02 電気事業連合会『企業』
「電気と地球温暖化・アイコン」
2020-02-29 電気事業連合会『企業』
「電気と地球温暖化
2019-03-03 電気事業連合会『企業』
「電気のある毎日。」
電気事業連合会『企業』
「電気のある毎日。(安全の確保を大前提に) 」
2019-03-02 電気事業連合会『企業』
「日本のエネルギー自給率」
電気事業連合会『企業』
「日本のエネルギー自給率・(安全の確保を大前提) 」
2018-03-02 電気事業連合会『企業』
「エネルギー,現実問題。・リビング(安全の確保を大前提に)」
2018-03-01 電気事業連合会『企業』
「エネルギー,現実問題。・リビング」
電気事業連合会『企業』
「エネルギー,現実問題。・本屋」
電気事業連合会『企業』
「エネルギー,現実問題。・本屋(安全の確保を大前提に)」
2017-11-11 電気事業連合会『企業』
「私たちが知っておきたい数字(7%)・社会生活」
2017-11-09 電気事業連合会『企業』
「私たちが知っておきたい数字(7%)・家庭生活」
2017-10-28 電気事業連合会『企業』
「私たちが知っておきたい数字(7%)・家庭生活・円グラフ改」
電気事業連合会『企業』
注記1)以上,「石坂浩二のCM出演情報」『ORICON NEWS』https://www.oricon.co.jp/prof/227674/cm/〔全3頁のうち1頁目から原発CMのみ拾ったもの〕
以上の日付に出ていた文言のうち,「安全の確保を大前提(に)」というものと,「私たちが知って起きたい数字(7%)」というものにとくに注目してみたい。
産業活動では農業,工業,商業,情報のどの分野にせよ「それぞれの領域なりに」「安全の問題」が重視,強調される点はいうまでもない。「工事現場で荷揚げをするクレーンの真下には絶対立つな!」などというのは,イロハのイである。また,インターネットの世界ではセキュリティの問題が非常に重要である点も,常識というかそれ以前の問題である。
ところが,以上の話題が具体的に原発の問題になると,「安全神話」が別途,仕立て上げておく必要が要求されていた。この安全という概念が非常に重大な問題となっていた。つまり,安全をめぐる神話が,いつも同伴していないと心配でしかたのないのが,原発の技術特性であった。それだけいつも,危険といつも隣り合わせというか,同居しているわけである。
記述のブログ文章のなかでも触れたように,東京電力で最初に原発を導入するさい,当時,副社長を務めていた木川田は,企画課長から一刻も早い原発開発を迫られていたけれども,「原子力はダメだ。絶対にいかん。原爆の悲惨な洗礼を受けている日本人が,あんな悪魔のような代物を受け入れてはならない」と一歩も譲らなかった。
つぎに,またその「7%」という数字が前段で出ていた。これは,この電気事業連合会の原発広告では6%だったり,8%に変わったりするが,日本における「エネルギーの自給率」を示す数字である。日本はこの自給率が低いので,「準国産の核燃料」を焚いて電力を発電すると,エネルギーの自給率が上げられるという理屈も立てられていたから,話は多少ややこしくなる。
しかし,このリクツは「せいぜい準じて聞いておく程度」の説得力しかなく,ある意味,デッチ上げの意味まで含んだ,苦しまぎれの説明であった(この論点は次項※-3でもさらに突っこんで触れる)。
※-3 電事連(電気事業連合会)の原発(原子力発電)に関する説明には,とても奇妙な見解が2点あった
その1は「原発用の核燃料は〈準国産〉だ」というヘリクツ。
これは,外国産100%の小麦を加工して作ったパスタは準国産であるという理屈と同じであって,ほとんど無意味である「いいぶん:主張」。日本の食糧自給率も同じ計算方法ですべての品目を並べて計上しなおしたら,その比率は一気に爆上がりするはず……。
その2は「原発は電源の分類上,再生可能エネルギーの仲間だ」とみなしたい願望。
これは,「稼働中にかぎっては炭酸ガスを出さない」,それが原子力エネルギーを燃料に使用する原発だという “マヤカシの論理構成” にもとづいていた。
それでいながら,あとになってからいつのまにか,「炭酸ガスを出さない」といっても「原発が稼働中」に限定されるのだといいかえた。この留保が後追い的にもちだされたときは,電事連のする説明に対して「不信の念,奇怪の感」がより深まった。
かといって,原発は発電装置・機械でありながら,非常用電源を自機ではまったく都合できず,別途用意されているディーゼルエンジンの発電機に一時的・臨時的に頼るという「頼りなさ」。
本日から4日前,「スクープ! 東海第2原発で『非常用電源喪失』 !岸田政権の『原発推進政策』に赤信号」『FRIDAY DIGITAL』2023年02月21日,https://friday.kodansha.co.jp/article/296641 という報道が,大手紙からではなく,この『FRIDAY DIGITAL』から国民たちに向けて一報が出されたという事実があった。
2022年2月24日に開戦した「プーチンのロシア」によるウクライナ侵略戦争の最中にも,戦闘行為で混乱させられているウクライナの当該原発施設(問題となっているのはザポリージャ原発)が,すでになんども非常用電源を動かすような事態を起こしていた。戦争事態に直接接近している原発の危なっかさときたら,その存在そのものが恐怖の源泉となっている。
画像では紹介していないけれども,2022年9月1日からであったが,またぞろ電事連が「原発は必要だ」と悪魔のようにささやく「意見広告」を,こんどは若い女性の芸能人を使い,開始していた。いままでは石坂浩二がなんども出演していたが,今回は広告に使う芸能人を取りかえ,それなりに新しい企画となっていた。
本ブログ筆者は以前,2022年9月1日の晩であったが,テレビの放送のなかで初めて,その新しく制作・放送されたCMを観た。そこに使用されている「色あい(動画の色調)」は,いつかどこかで観たことがあった。それは,石坂浩二の広告CMのさいに使用されていた動画の「色あい=背景だとか,その明度の付け方」とそっくりであった。担当・制作者が同一人である点は間違いあるまい
ともかく当時もまた,電気事業連合会の「原発必要」を唱える「意見広告」が繰り返し流されはじめていた。原発のサバイバル(生き残り)戦略が重ねて正直に語られていた。
電気事業連合会がそのように行動(広告活動)をするようになった最近の背景としては,「プーチンのロシア」によるウクライナ侵略戦争が起きてから,その影響のために世界的にエネルギー事情が逼迫し,とくに天然ガスの価格が高騰していた事実があった。
1)岸田文雄首相の選挙区である広島県の広島ガス--広島市南区に本社を置く,広島市を中心に広島県海岸部を都市ガスの営業区域とするガス会社--は,天然ガスの5割をロシアに依存する会社である。
直近の報道として,たとえば『産経新聞』は関連する出来事をつぎのように伝えている。
なお,「ロシアのプーチン」が起こしたウクライナ侵略戦争に対する制裁に関して日本は,実質,たいした協力ができていない。
なんといっても,プーチンから「日本は非友好国だと決めつけられている」にもかかわらず,実際に「いっていること」と「やっていること」とが一貫していなかった。
日本は安倍晋三が首相であった時代から,ひたすらプーチンに舐められるだけの外交しか展開できなかった。
また自民党政権は当時,7月8日に狙撃され死亡した「安倍晋三の国葬」を9月27日に執りおこなう点を,すでに決めていた。だが,国民たちから湧き上がってきた「アベ国葬への反対の声」は,国民全体の半分以上の意思として現出していた。
「安倍晋三の国葬」の可否が,いま日本の社会のなかでは大問題になっていたが,首相になっていた岸田文雄は強行した。この国葬には,ロシアのプーチン大統領に対しては参席を要請していない。村八分という諺をしらない自民党の幹部連である。
弔問外交の機会を自国からみすみすつぶしてしまった岸田文雄のやり方は稚拙このうえない。かといって,ロシアからの天然ガス輸入は止められない日本のエネルギー事情も控えている。
もっとも,安倍晋三国葬を好機として弔問外交を展開したかった岸田文雄のもくろみは,完全に外れた。現役の「各国要人が来る」ことにはならなかったからである。
ウクライナ侵略戦争が継続中である時期,日本がロシアから天然ガスを輸入する態度にはなにごとにも煮えきらない為政しかできない,首相岸田文雄の,なにごとにも中途半端でものごとを徹底しえない「日本側の外交姿勢」を示唆していた。
2)「ロシア,日本など『非友好国』によるサハリン1の株取引禁止… 外資つなぎとめる狙いか」『読売新聞』2022/08/06 00:53,https://www.yomiuri.co.jp/world/20220806-OYT1T50018/ は,こう報道していた。冒頭段落のみ引用する。
ロシアのプーチン大統領は〔9月〕5日,日本の政府や企業が出資する露極東サハリン沖の海上エネルギー開発事業「サハリン1」について,「非友好国」の企業が株式売却などをおこなうことを年末まで禁止する内容の大統領令に署名した。ロシアは日本や米国などを「非友好国」に指定している。
「ロシアのプーチン」はまるで “ならず者国家” の親分だと呼んでもよく,その立場から,外交上のエネルギー戦術を駆使している。
ウクライナ侵略戦争が始まってからというもの,とくにヨーロッパ諸国のうちでもロシアに天然ガス供給を大量に受けてきたドイツなどは,前首相のメルケルがなまじプーチンと仲がよかったがために,
「プーチンのロシア」が引きおこした国際政治環境の急変によって日本も,今冬を越えるためのエネルギー確保に関しては,とくに調達価格が高騰しており,非常に苦しい思いをさせられている。
要は,非友好国関係になりかわった日露間において,エネルギー政策を方向づけている外交やその貿易構造関係のあり方が,いわゆるエネルギー安全保障の観点から判断するに,危険・不安が盛りだくさんであったといわざるをえない。
3) 日本もエネルギー自給率は低い。しかも再生可能エネルギーの導入・活用がモタモタした状態をつづけている現状があるなかでは,いまだにできれば原発に大きな比率で依存したいという願望をいだいている,いうなれば時代錯誤のエネルギー路線にこだわる原子力ムラが,今後も一大勢力としてその権勢を発揮すべく虎視眈々と狙っている。
問題はエネルギー「史観というもの」のもち方にある。ヨーロッパ諸国を中心にしてだが,ウクライナ侵略戦争の関連で,仕方なしに原発に依存する電源比率を上げざるをえない国々が出てきたにしても,これは本来のエネルギー安全保障の点に鑑みれば,それこそ邪道とみなしてよい路線である。
現段階はなんといっても,戦争の問題でエネルギー問題が切迫化させられた。「ロシアのプーチン」の旧大ロシア帝国風の政治思想はいつも狂気と同居しているが,これがウクライナ侵略戦争を再発させる起因になっていた。
わけても,「プーチンを挑発した西側先進諸国」があったかどうかといった論点とはまた別個に,真正面からとりあげるべき論点が「プーチンのロシア」の中世的な野蛮性であった。
補注)その後,今冬の寒さは暖冬気味で推移してきたために,とくにヨーロッパ諸国では,「ロシアのプーチン」が意地悪く西側諸国,とくにNATOを締めつけようとした計略は不首尾に経過してきた。
4) 2022年2月24日に始めた「ロシアのプーチン」によるウクライナ侵略戦争はまた,これまですでに,ウクライナの子どもたち50万人を連れ去っている。ロシアは,誘拐同然にウクライナからこの子どもたちを奪い,自国の人口不足を補うための人的資源に充てるつもりである。
「ロシアのプーチン」その行為は,第2次大戦中に「ナチス・ドイツ」が犯した戦争犯罪のひとつ,つまり,占領し支配下にあった東ヨーロッパ地域の子どもたちのなかから,とくに碧眼金髪の子どもたちを選びぬき自国内に強制移住させた事実,もちろん彼らの両親から引き離してドイツ国内に「固有のドイツ人」とみなして移住させたそれと,同工異曲の極悪の行為である。
5)話題を急に変える。前述でも若干ふれたようにいまウクライナでは,ロシア兵が意図してザポロジエ原発を占拠しつづけている。軍用基地に悪用しているその事実は,原発そのものが一歩でも間違えれば「原爆化する危険性」の渦中に置かれている事実を物語っている。
ところが,日本は電力不足気味だといっては,またぞろ原発の再稼働が必要だという宣伝を開始した。それが本日の話題に取り上げてもみた「2022年9月1日から再開された電気事業連合会のテレビCM」であった。
※-4 電気事業連合会が原発推進意見広告を再開・続行している
この国の原子力ムラは「原発を再稼働させる願望」以外なにも考えがない。しかも5年先のエネルギー事情に対する展望すらもたないプロパガンダCMを,2022年からまたもや開始させ続行していた。
★ #電気事業連合会 #今田美桜 ★
= 【4人の今田さん】TVCM 環境篇|電気事業連合会 2022/09/01 =
(215,745回 視聴, 2022年9月3日 午前7時30分時点の閲覧回数)
〔後掲の画像資料のなかでは一番上に出ている動画である〕
この電事連広告は早速,地方紙ではつぎのように報じられた。
「4人の今田美桜が温暖化会議を開催? 春夏秋冬ファッションに身を包み一人4役」『北國新聞』2022/9/1 16:07,https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/840880
この記事は,以下のように引用して紹介する。
という広告だったので,「【4人の今田さん】TVCM 環境篇|電気事業連合会」で検索したところ,そこに出てきたうち,「つぎの4本」を原発広告を紹介しておく(全部〔下の画像資料〕では9本出ていたが上から4本を紹介)。ユーチューブ動画なので,いつまで視聴できるか保証はないので,悪しからずというかたちで紹介する。
https://www.youtube.com/watch?v=qapTGxfHq2c
https://www.youtube.com/watch?v=GD7efZ2N0Bk
https://www.youtube.com/watch?v=zoSm3LHZXDA
https://www.youtube.com/watch?v=uCUHWsvt_uc
これらの広告動画は,こう語っていた。
しかしながら,この説明には間違いがいくつも含まれている。
原発も(建設時から廃炉工程まで全過程においてだが)実際には炭酸ガスをたくさん排出するゆえ,温暖化に貢献するみたいに論じるのは,筋違いの誤説である。この事実はなんででも指摘しておく。
安全確保の問題は,あなにも原発だけの問題ではないのに,ここでは「大前提」だとわざわざ強調している点が,これじたいとして,かなり不自然。
さて本ブログは,以上の記事を,基本から批判する観点で論じてみたい。
最初に断わっておく事実は,現状における日本の電力不足が生じる時期と時間帯は,夏季と冬季になっている点である。
また,1日のうちでも最近は不足気味になる時間帯は,再生可能エネルギーの導入・活用が進んできた全体的な電源構成比率の関係で,夕刻から,つまり夕食時にかけての時間帯になっている。
上記のごとき「時季」と「時間帯」における電力不足の問題は,その「頂点(峠:ピーク)時⇒最高需要」の時間帯において(限って!),徹底的な節電を,使用者(消費者)側で応えて協力しさえすれば,十分(十二分につまり特別の困難もなく)に乗り切れる程度のものであった。
つぎの図表は,「一般家庭の一日の消費電力 平均的な電気使用量と時間別の電力消費量の動きを把握する」『電力計画.com』https://standard-project.net/energy/statistics/energy-consumption-day.html から借りた2表である。
節電をいうなら,なにがどのように要求されているか一目瞭然である。ただし,これは一般家庭の電力使用量を表現した図表であり,事業所(工場・事務所など)関連のものではない。
こちらは工場の稼働時や事務所の営業時間が対象となり,消費電力の経過は異なる。しかし,基本前提では共通する節電の要因があることはいうまでもない。
盛夏の時節に発生する「猛暑日」(最高気温35度以上)や「酷暑日」(40度以上)になる日になっていても,夕刻時以降において,とくに一般家庭での電力使用水準をわずかでも抑えてもらえれば,いいかえると,ともかく一斉に節電に協力してもらえれば,それほど困難なくやり過ごせる。
1年間のうち,そうした節電が一時的に要請される日々は,せいぜい1週間から2週間の範囲で,あるいはそれに相当する日数で現象するだけなのだから,しかもその日の特定の時間帯に発生が予測されるその頂点(ピーク時・峠)のために,闇雲に原発が必要だといいはるのは,生活科学の観点から判断するに非常に異様な要求である。
「3・11」以前の記事であっても,各大手電力会社は原発を稼働させなくとも,管内地域で需給の維持は可能なとくに火力発電の余力は保有していた。これを逆にいえば,原発はそれほど頼りがいのある電源ではない側面も併せもつ特性を知悉しているのが,電力会社側のいわざるホンネであった。
電力不足がたとえば熱暑の時節において発生したさい,それでは一般家庭ではどのように節電に協力できるかは,つぎの円グラフを観れば簡単に判断が容易につくはずである。本ブログ筆者がこの図表のそばに補足説明をくわえてみた。
※-5 電気事業連合会の意見広告CMは「国民たちに向けられた原発洗脳CM」であり,これからの再生可能エネルギーの導入・活用の妨害になる
「ロシアのプーチン」によるウクライナ侵略戦争に原因したエネルギー不足問題は,この戦争が永久に終わらないということはなく,あくまて一時的な電力不足である。
当面したときに生じる電力の不足は,極力節電していけば乗り切れる。にもかかわらず,短兵急に,原発を「再稼働したり」,ましてや新増設しようとする計画(小型原子炉だとか革新型だとかも強調されているが)施策は,愚の骨頂である。
しかも,熱交換比率では相も変わらずの性能(3分の1)しか出せない原発をいつまでも使いたいという工学「思想」が,そもそも最初からズレていた。半世紀以上も前から全然その効率は改善・向上されていないのではなかったか?
しかも,日本の原発は100万kw時の1基の製品としては1兆円もの高額になっている。2010年代前半であれば,その半額であった。なにゆえそこまで高額化したのか?
安全対策のためにかかる追加原価が異様に高価になってしまったのである。再稼働をめざす既存の原発もその安全性の問題対策で,100億円単位での追加投資を余儀なくされつづけている。
そのように大幅に付け足せる予算があるなら,再生可能エネルギーの導入・活用にまわしたほうが,未来に向けてより経済的に効率的であって,社会的にも有効なエネルギー政策の具体的展開となる。
そもそも,核燃料サイクルが実現する見通しはお先真っ暗で,使用済み核燃料の最終処分地の確保すらほとんど見通しがついていない。こうした現状のなかで,それでも「原子力ムラ」をとりかこみ,まとわりついている利権の構造と機能とならば,よほどオイシイなにかがぶら下がっていると観るほかない。
※-6 電気事業連合会の今回の「原発必要」だという意見広告CMの欺瞞・マヤカシ性
ここでは,『YAHOO!JAPAN 知恵袋』2020/3/19 22:49,https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10221819445,tak********さんが質問を出したところから,これに対して答えを提供した議論との交換を通して,関連する問題を考えてみたい。
3年前の話題であったが,当時,世間では,石坂浩二がやはり電事連のテレビ意見広告に出演していた件がとりあげられていた。以下に引用に当たっては,質疑応答の,日時と本文のみ紹介しておく。
【問い】 石坂浩二は電気事業連合会のCMに出ていますが,もともと原発推進派だったのでしょうか?
⇒ 2020/3/23 17:59
「事務所が受ければ出るんじゃないのかな」
「よしもとの反社問題とかも」
「芸人が反社賛同思想者ってわけじゃないよね」
⇒ 2020/3/20 18:20
私も,石坂浩二には,電事連の原発推進CMには出てもらいたくなく,ファンであったために,いまや石坂浩二が親の仇のようにみえるのであります。
2003年~2004年にフジテレビで放映されていた【白い巨塔】では,東 貞蔵(第一外科教授)として出演しており,財前五郎の師匠としての葛藤を実に巧みに演じており,電事連などのCMに出て『晩節を汚した』との印象であります。
若い時から原発推進派であったかはしりませんが,現下においては積極的か消極的かはどうだか分かりませんが,少なくとも原発推進派であることには間違いないと思うのであります。
実に,『甘いお方だ。。。』であります。
⇒ 2020/3/19 23:37
昔からやってるでしょう。しってるはずですよ。
⇒ 2020/3/19 23:13
石坂浩二には,あのコマーシャルから降りてほしいと思っています。
あのコマーシャルによって,「原発」が推進されることに加担してほしくないからです。
あの電事連のコマーシャルは「原発推進」のための宣伝なのです。(引用終わり)
ところで,石坂浩二は芸能人のなかでも非常に賢い人であるという印象は,間違いないくホンモノだと感じる。しかし,原発CMに出演した実績は,自身の晩年を汚す実績となった。
一般論としては,芸能人にとって大手企業・有名会社の宣伝・広告に出演したという実績は,少なくとも日本ではその経歴においてさらに売り物になる。
だが,石坂のように原発じたいに対する国民たちの「3・11」以来の「感情=受けとめ方」を,なんとも感じていないかのように,その意見広告へ出演しつづけてきた事実は,自身が一般庶民側に対して残す印象を,確実に悪い方向に転化させてきた。
もっとも,当人にその程度の認識がまったくなかったとは思えない。あれほど賢い人がその点を理解できないとは想像にすらつかない。きっと,石原伸晃(いしはら・のぶてる)流の文句を借りていえば,「金目」なのである。
※-7「電気事業連合会のCMに出ている石坂浩二さんにはがっかりだ」『ほんだ建築 & my son is 桂優々& ViWaびわ宿主人 in 滋賀マキノ』2016年06月11日,
http://honplan.seesaa.net/article/438866037.html
ここでの意見は7年と3カ月前の指摘となっている。前項※-6は3年ほど前の意見や指摘であった。電事連が石坂浩二に語らせてきた「原発の有用性」に関する説明は,詭弁のたぐいであった。
原発以外の発電方式は,なにか事故を起こしたさい,環境に対して原発ほどにひどく破壊決定的ではない,かつ広域規模の被害・損失を出さない。この点をすりかえたヘリクツを開陳してきた電事連の,架空的に壮大である虚説は,いわば,いまや20世紀的な旧式の電力生産方式である原発の技術後進性にさえ盲目を装っていられるのだから,度しがたい時代錯誤の技術観を保持している。
以上のごとき電事連批判の文句を連ねたうえで,以下に,引用のためにもちだしたこの※-7の記述を,紹介してみたい。
そうである,石坂浩二は「この国のこれから」のエネルギー問題を考えたすえ,電事連のテレビCMに出演したのではなく,金目で釣られて原発擁護・推進のための演技をしていたに過ぎない。
結論としては,このように受けとめられ,前段のように批判されるほかない。
もともと石坂浩二はとても賢い頭脳の持ち主であったが,晩年になるとその使い方のなかには,確かに「まだらボケの症状」を来たしていたことになる。そうとしか解釈できない。
※-8 魑魅魍魎男・稿「石坂浩二,おまえもか 電気事業連合会CMに出演,非難轟々」『阿修羅』2016年3月22日 13:30:46: FpBksTgsjX9Gw 6bOWo@mx6bKSag
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/349.html
俳優・石坂浩二氏が,電気事業連合会のCM(意見広告)に出演,全国で放映中です。ついに原子力ムラの広告塔に成り下がったかと非難轟々です。
彼は知的かつクリーンなイメージで,とくに主婦層には人気がありました。どちらかというと原子力には異を唱えそうなタイプでした。
電事連は彼に出演を依頼し,原発の汚名挽回を狙ったのでしょうが,いまや国民の大半は反・脱原発,とくに子どもを育てる主婦層にはその傾向が強いわけで,反感をもたれることは必死です。
ツイッターでも,非難轟々です。芸能人はなによりもイメージが大切です。このCM出演が致命傷になるかもしれません。
彼の出演する番組はボイコットしてみないようにしましょう。抗議はこちらへ。(引用終わり)
株式会社 プロダクション尾木 http://ogipro.com/
〒160-0022 東京都新宿区新宿 5 - 2 - 3 MRCビル4F
しかし,その後になっても石坂浩二はまだ,原発推進用を宣伝するために《電事連の広告塔》になっていた。安倍晋三が「統一教会・世界平和統一家庭連合」の広告塔であったように……,である。
安倍晋三ほど日本という国全体に政治的な影響力はない石坂浩二である。けれども,有名人として庶民に向けて演じたその言動は,いささかならず奇怪なまでの面妖さを浮遊させてきた。
※-9「2022/09/19 改憲発議と大軍拡やめろ! さようなら戦争さようなら原発9・19大集会」『原子力資料情報室』2022/08/17,https://cnic.jp/45445
◆ イベント情報 ◆
2015年9月19日,国会を取り囲むたくさんの市民が反対の声をあげるなかで,安保関連法性(戦争法)が強行採決されました。
あれから7〔8〕年。この悪法のもとで日本が集団的自衛権を行使して,海外で戦争する国になるという市民たちの危惧は,いま,現実のものとなっています。
政府は,憲法改悪を進め,軍事費を倍増させる計画や敵基地攻撃能力の保有,核のシェアリングなど,おどろくべき軍事力拡大に踏み出しています。〔ここで引用はいったん中断し,次段からしばらく本ブログ筆者の批評が挿入される〕
いまは,岸田文雄政権になっている。この国は5年かけて,対・GDP比率の防衛費(軍事費)を2%まで上げる・増やすなどいいだした。そうなると,国家予算としてのその絶対的な金額は「第1位 アメリカ,第2位 中国」について第3位になると予想されている。
憲法第9条が自民党政権側からは蛇蝎視される事由が,非常にかつより明快になっている。
しかしながらいまの日本,本当は,いったいどのくらい貧しい国になっているのか? 岸田文雄という「世襲3代目の政治屋」もまた,その付近の現実問題になると,感覚的にまったく理解できていない。
安倍晋三⇒菅 義偉⇒岸田文雄と自民党のボンクラだが,強権一辺倒の私物化(死物化)為政が10年もつづいてきたために,この国はすっかりダメ,ダメだらけの体制にまで落ちぼれてきた。
デフレが終わったような景気の動勢になったどころか,スタグフレーション気味となりつつあるこの日本の経済である。岸田文雄は,庶民は投資して財産を殖やそうなどと,とぼけていたのでなく完全に寝ぼけている現実遊離の発言しかできない,やはり「世襲3代目の政治屋」であった。
岸田文雄は,安倍晋三と同等がそれ以上に,暗愚と無知(無知)丸出しにしてきた総理大臣であった。この首相のことを形容するとしたら,もっとも適したいい方だと「丸出だめ夫」君。
この文雄君が2022年8月下旬に「原発の新増設」を決めていたとなれば,この人ははたして,自分の頭でこの国のエネルギー問題を考えることでできていなかった事実が,さらけ出された。
そもそもその決定は,首相筆頭秘書官である嶋田 隆,元経済産業省事務次官を務めた原発推進派の元「国家官僚」のいうとおりにしたがい,なされていた。
安倍晋三が壊し,菅 義偉が踏みつけたあとの「この日本の国民生活」は,岸田文雄によってもさんざんな目に遭わされている。
〔ここから記事に戻る→〕 おりからのロシアのウクライナ侵略戦争のなかで,米国とともに世界を「民主主義と専制主義の対立」などと規定し,世界の分断と対立を煽り立て,東アジアでは中国や朝鮮との間に緊張を高めています。
あれこれの口実で原発再稼働の企てが強まっていますが,ロシアのウクライナ侵攻で真っ先に原発が抑えられ,きわめて危険な状況が発生したことは見逃せません。
先般の参院選で3分の2以上を占めた改憲派は,憲法改悪に乗り出しています。平和が脅かされています。
いまこそともに「さようなら戦争 さようなら原発」の声をあげるときです。
当室〔原子力資料情報室〕もブース出展をおこないます。脱原発・反戦平和を希求する同志の皆さん,9月19日に代々木公園に結集しましょう!
※-10 最後にツイート風にこう述べておく。
2022年9月27日に執りおこなわれていたが,この「民主主義を縊死させた #安倍晋三 の国葬 を出す」と決めた岸田文雄は,「民主主義を酷葬にする」国営の葬儀屋社主であった。
本記述の関係でいえば,しかもまずいことに,「原発の再稼働」のみならず,新増設まで口にした。
すでに「統一教会・世界平和統一家庭連合」のための広告塔になっていた事実が,死んでからのことになってはいたが,またたく間に世の中に暴露された安倍晋三がいた。
岸田文雄は,首相になってからというもの,なにかまともな仕事をやったという「印象すらなにも感じられない」。
だから「昼間の幽霊さながらの存在感の希薄なヘタレ総理」だと,酷評されている(⇒ブログ『くろねこの短語』)。ちなみに,安倍晋三のことを,この『くろねこの短語』は「ペテン師・シンゾー」と呼んでいた。
そうであった。2013年9月,2020年東京オリンピックを招致するためのIOC会議のなかで,東電福島第1原発事故現場が発生しつづけてきた「汚染水」のことを,「アンダーコントロール」だと大ウソをつき,まさしくほざいたのが,安倍晋三であった。
いまも日本全国には,2011年3月11日中に発令された「原子力緊急事態宣言」が解除されていない。それでも岸田文雄は「原発の新増設」を決めていた。いったい,どういう神経でいるのか? 疑問を抱かないほうがおかしい。
「こんな人:安倍晋三」や「あんな人:岸田文雄」,いずれも「世襲3代目の政治屋」であるが,旧・統一教会と強力な連帯意識をもちながら,日本のまつりごと=「民主主義としての国家体制」をさんざん破壊しまくっている。
「原発を止めますか,それともこのまま国土全体を《トイレのないマンション状態》にしていきますか?」という疑問:批判は,「統一教会・世界平和統一家庭連合」との腐れ縁が絶てなかった自民党政権の本性を,どうしようもないかっこうであったが,それでも的確に表現する。
最後に,つぎの2020年2月時点の記事も紹介しておく。
※-11 またまた石坂浩二が電気事業連合会CMに出演,厳しい批判を浴びていた記録
「対話篇」(電気事業連合会 2020/2/28)
https://www.youtube.com/watch?v=GfoCbF0oFcc
「発電時にCO2 を排出しない」というが,採鉱・精錬や廃炉に大量の石油を使うので,原子力も莫大な量のCO2 を放出している。いつもどおりのマヤカシである。
原子力推進CMに出演すれば総スカンを食うのは明らかで,イメージを大切にする芸能人は避けるのが普通である。あえて出演するということは,趣味の骨董に金を使いすぎたのか,石坂浩二は相当金に困っているのだろう。
そういう金欠芸能人につけこむのが原子力ムラのいやらしいところであるが,札束ビンタに屈していいなりになる人間も情けない。
以下にツイートを引用するが,否定的なものだけを選んだわけではない。
「石坂浩二」,「電気事業連合会」,「原子力」などで検索すると,出てくるのは99%,彼に批判的なツイートなのである。
国民の9割以上は原子力反対である。いくら石坂浩二を出そうが,デタラメを並べようが,もうだまされることはない。彼と原子力ムラに対する憎しみを煽るだけだ。
石坂浩二を出演させている放送局や番組のスポンサーに抗議の声を送って,芸能界から彼を追放しよう。(引用終わり,後略)
石坂浩二をその業界から追放したところで,事態にそれほど影響はない。問題は,原発問題に関して国民たちが欺されてはいけない点にあった。当面する電気代の急騰に負けて「原発イイネ!」などと,どこかのボタンをクリックしたら,この近い未来には間違いなく,逆に「原発由来の諸災難」が到来してくる。
※-12「追論」
本日(2023年2月25日)にあらためて,今田美桜の電気事業連合会「原発広告」への出演模様をネットで検索してみたところ,新しい版が公表されていた。しかし,その中身は陳腐そのものであって,すでに批判済みのそれら広告となんら変わりない陳列になっていた。
題名などについては,つぎのように引用し,批評しておく。
「知ってた,日本のエネルギーはおよそ9割を海外に依存しているだって。」https://www.fepc.or.jp/sp/energymix/ という表紙の見出し文句のもとに,さらにつぎの文句が並べられていた。
ここでしかと指摘しておくが,電事連は「3・11」以前とは異なる概念操作をしていた。
まず,原発を再生可能エネルギーの仲間に無理やりくわえようとしている。そのうえでつぎに,「発電時にCO2 を出さない再生可能エネルギーや原子力」といった括り方をしていた。この分類の仕方は,断片の比較であり,一方的な関連づけであるという意味で,完全にマヤカシである。
炭酸ガスを発電時に「出す・出さない」という特性だけを孤立的に取りだして,その特性だけを頼りに括ったうえで,同じ分類に放りこむ詐法じたいが,概念整理の方法として「必要かつ十分な要件」を配慮した処理ではなかった。単なるご都合主義の弥縫的な思考であった。つまり,その手順じたいには,もともと観過しがたい不備・欠落があった。
いっておくが,再生可能エネルギーは核燃料の廃棄物に相当するものは,いっさい出さないにもかからず,このように原子力と一緒くたにするためだけに,炭酸ガスを出す・出さないという基準のほうを前面にもちだして,しかも一方的に当てはめて判断を下すという,きわめて乱暴な操作がなされていた。
もっとも,以前は「原発」や「原子力」だけの技術特性しか触れなかった電事連であったから,炭酸ガスにまで配慮していたとなれば,多少は譲歩している要素もある。けれども,今回の新しく工夫された主張であったとしてても,その本心(ホンネ)のありかではなにも変わっていない。
結局, この 「知ってた,日本のエネルギーはおよそ9割を海外に依存しているだって。」という項目は,下方のほうにまで文章をめくっていくと,「カーボンニュートラル」「安定供給」「発電率」「安全性の追求」という3点が原子力発電に関して説明されているけれども,いまではすでに「その全部がマヤカシに裏付けされた」それに終始している。
2021年において日本の電源構成のうち1割ではなくて2割が再生可能エネルギーを占めている。ところが,この点がどうして「日本のエネルギーはおよそ9割を海外に依存している」といえるのか疑問。しかも,今後に向けて再生可能エネルギーの比率はさらに高まっていく。
ヨーロッパの先進諸国に比較して日本における再生可能エネルギーの導入・利用・展開が,いかほどモタモタしているかについては,つぎの2表を参照すれば分かる。ここに,あえて原発をわざわざ突っこんだままにしていたら,再生可能エネルギーの進展が妨害されるだけである。
「プーチンのロシア」がウクライナ侵略戦争を開始したために混乱・上昇しているエネルギー価格の問題に目をとられて,原発教の信者たちのいいぶんを聞いていたら,未来に禍根を残すエネルギー問題の理解しかできないことになる。
ドイツはウクライナ侵略戦争のために,本当は2022年12月いっぱいで原発を完全に廃絶する予定であったが,2023年4月15日まで延長した。おそらくこれ以上の延長はないと予測する。
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