『週刊文春』最新号で「五輪汚職」高橋治之被告が「安倍晋三に裏切られ森喜朗に嵌められ」た「五輪の闇を初告白」したが,オリンピック的貴族JOC前会長竹田恒和は過去,交通事故で女性を轢き殺すも自身は無傷でその後,2020東京五輪の招致疑惑からも逃げまわってきた
※-1「週刊文春」編集部「【五輪の闇を初告白】安倍晋三に裏切られ,森 喜朗に嵌められて…《五輪汚職》高橋治之被告(79歳)が独占7時間」『文春オンライン』2024/02/07,https://bunshun.jp/denshiban/articles/b7972
この記事の原文は『週刊文春』2024年2月15日に掲載されているが,文藝春秋からは,つぎのように案内されていた。つづけて,この記事を引用するが,有料記事の段落までは紹介できない〔ので,週刊誌の現物を店頭で試し読み・・・・…………〕。
付記)冒頭の画像は後段に参照するものである。
--「五輪はあと後で事件になるから」と招致の手伝いを固辞した僕に安倍さんは「迷惑はかけない。 絶対に保証する」と約束した。なのに,事実に反した森さんの供述で,僕は逮捕されてしまった。 実は業者から「森さんに,いくら渡せばよいか」と聞かれ,僕はこう告げていました――。
「森さんから『あなたはマーケティング担当理事です』なんていわれたことは一度もありません。森さんが勝手なことをいっているだけ。委任の契約書にも,職務についてなにも明記されていない。つまり,職務権限のある『マーケティング担当理事』なんてものは存在しないんです。森さん,本当のことをいってください」
こう語るのは一昨〔2022〕年8月に五輪の受託収賄事件で逮捕,9月に起訴された五輪組織委員会元理事の高橋治之被告(79歳)だ。
合計1億9800万円の賄賂を受けとったとして起訴された高橋氏。一連の裁判では,すでに贈賄側の紳士服大手「AOKIホールディングス」青木拡憲元会長や,広告大手「ADKホールディングス」植野伸一元社長らが罪を認め,有罪判決が確定している。
一方,高橋氏の裁判は昨〔2023〕年12月に始まったが,高橋氏は起訴事実を全面否認。1月31日におこなわれた高橋氏側の冒頭陳述でも,受けとった金銭は「民間のコンサルティング業者としての報酬であって,賄賂ではない」として,無罪を主張している。
裁判で最大の争点となっているのは「職務権限の有無」だ。高橋氏の職務に「スポンサー集め」が含まれなければ,受託収賄罪は成立しない。検察側は高橋氏が「マーケティング担当理事」として,スポンサー集めに関する職務権限があったと主張。贈賄側の判決でもこれが認められた。
一方で高橋氏側は,検察の主張の最大の根拠が,検察側が証拠提出した,組織委員会の森 喜朗元会長(86歳)の供述調書だと訴える。森氏はここで高橋氏について「スポンサー集めなどのマーケティングを担当してもらうことにした」と説明しているのだ。しかし高橋氏は冒頭のように,やるせない思いを口にするのだった。(引用終わり,以下は有料記事。くわしく知りたい人は『週刊文春』2月15日を買って読もう)
さて,だいぶ以前になって5年前の事件(出来事)であったが,単純に日比較はできないものの,素早く理解できたつもりで発言して,なんら間違いが生じるおそれ(虞)がない,これまた五輪関係の誘致に関してならば,いつもどの国のその件であっても,必らずといっていいほど,大なり小なり舞台裏で汚い金銭の授受がおこなわれている事実は,まともにオリンピック問題を議論している識者たちであれば,常識に属する「現象」であった。
今日のこの記述は高橋治之が『週刊文春』に以上のように登場したのを受けて,本ブログ筆者が2019年1月14日に,すでにブログサイトを移動していたために未公表状態になっていた一文を,ここに復活させてみたい。
ところで,最近における日本政治の体たらくぶりは自民党国会議員たちの「パー券裏金問題」でも,あらためて暴露される経緯が生まれていたが,橋本聖子(1964年10月5日生まれ,59歳,冬季オリンピックの銅メダリスト)という「筋肉脳」の国会議員も,そのお仲間の1人としてつぎのように報道されていた。
※-2 オリンピック貴族だった前JOC会長竹田恒和は過去交通事故で女性を轢き殺していたが,当時における彼「自身はなんらその罪業を問われることもなく」,最近は「2020東京五輪の招致疑惑」を背負ったままフランスから事情聴取されたという出来事もあったせいなどで,結局,日本に閉じこもったまま海外には出向けなくなっていたという話題など
前提:その1 明治天皇の〈娘・婿の子孫だ〉といって特別あつかいされる「明治謹製の旧皇族」が,わが物顔に立ち振るまえる日本オリンピック商業界は,実は金銭まみれに扮装していた御仁が何人もいたらしい。
前提:その2 日本国の私物(死物)化は安倍晋三が完了させ,JOCの私物(死骸)化は竹田恒和がおこなっていたが,いまの NISSAN は誰のものか? フランスとルノー側が怒るのは当然の経緯など〔にも触れるこの記述となる〕。
1)「竹田氏事情聴取は昨〔2018〕年8月に決定 JOC会長,五輪招致疑惑で」『共同通信』2019/1/13 18:57,https://www.47news.jp/news/3167757.html から
2020年東京五輪招致疑惑をめぐり,フランス捜査当局が日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長に対して,昨〔2018〕年12月に実施した事情聴取の日程が,同年8月の時点で決まっていたことが〔2019年1月〕13日,関係者への取材で分かった。フランス当局は贈賄容疑で正式捜査を開始した。
日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告による一連の捜査に対する〔フランス側からの〕「報復か」と指摘する見方も一部でとりざたされたが,ゴーン被告が逮捕される約3カ月前から「捜査における協力」として事情聴取が決定。竹田会長が国際オリンピック委員会(IOC)の会議などで渡欧するタイミングで日程が調整されていたという。(引用終わり)
この報道がなされる前にすでに,竹田恒和の「▼▼息子」であった竹田恒泰が早々と,関連する妄言を吐いていた。「竹田恒泰氏,父親への捜査はフランス側の報復と主張。それを妄信する氏子たちの祝詞」『論壇 net 』2019年1月12日,https://rondan.net/12058 は,さっさと,そのデタラメぶりを先制して批判をくわえていた。
竹田恒泰は一時期,慶應義塾大学法学部の講師(非常勤)を委嘱されていたが,その招聘者であった小林 節は事後,この恒泰のデタラメぶり(単なるネトウヨ的なエセ知識人ぶり)にたいそう呆れてしまい,数年で講師職を解いていた。
前段の『論壇 net 』の記事は,この恒泰の暴論とも受けとれる “幼稚なネトウヨ的な戯れ言” (まともな発想など皆無でその場かぎりの思いつき程度の発言)を,以下のように批判していた。
--保守論壇のプリンス〔?〕竹田恒泰の父である「JOC竹田恆和氏の贈賄容疑の取り調べが本格した」というニュースが流れた瞬間に,その息子・竹田恒泰が,条件反射的にカルロス・ゴーンの逮捕に対する報復を主張しだした。
しかし,JOC会長竹田氏への捜査はだいぶ前から始まっていたのだから,いきなりそう関係づけて断定するのは笑止千万というか,単なるデマにしかなりえない無知・無恥であった。結局は〈与太の発言〉であった。
おまけに恒泰は「フランスの民度」などというヘイト表現を使っていたが,フランス大統領のマクロンが現在,追いつめられている政治的な状況があるとはいえ,なんの因果があって竹田パパを操作する必要があるのか。これがまさに典型的な陰謀論。
しかし,竹田恒泰の「▼▼氏子たちの信心」はまったく揺らない。あげくになにをいうと思ったら,恒和が2020東京五輪招致のために「たとえ贈賄してても感謝するよ説」まで飛びでてくるとなれば,これは常識以前・以外の発想というよりは,完全に子どもの知的水準にすら達しえない「大人のヘリクツ(?)」であり,弁護のためであってもまったく使えないしろもの的な放言であった。
竹田のパパがもしも贈賄を認めたらこういう主張,つまり「〔単細胞的な極右・反動〕保守の根底に隠されている「愛国無罪」がもち出されるかもしれない。なんといっても「フランスは=中国・韓国に相当する説」が強力に信心されており,それゆえ「気に喰わない者はすべて特亜三国と重なって〈みえる病〉」の患者であった。
補注)「特亜三国」とは「反日教育を推進している」とみなされている「中国・韓国・北朝鮮の3ヵ国」を指している。この三国は,国家的に日本を敵視し,反日教育を推進しているとされる。もっとも,この逆の関係性(?)も事実である点(!)も,このさい併せて認識しておいたほうが,より賢明でありうるかもしれない。
ともかく「愛国無罪」(これは一昔も前に中華人民共和国内ではやったことばであって,よりくわしく説明すると,中国における反政府運動のさいに用いられてきた文句であった。
2005年4月に中国で起きた反日デモで大々的にかかげられ,日本でも注目された)が,日本のほうに輸入されて使われるとなぜか神道的な意味に応用され,“「無罪!」って断言してくれよ言霊説” に成長した。しかし「断言したら無罪になるか」といわれて,いまどき同意する人などいない。
「フランスが植民地を失った恨み説」が唱えられている。今回の報道によって明らかになった「東京五輪招致疑惑でフランス捜査当局がJOC竹田恒和会長に事情聴取」(2018年12月)という事実を,よく考えもしないで:考え過ぎたあげく,以上のごとき「珍・迷・怪の3拍子」揃った速攻コメントの連発となっていた。
そうであるからには,ネット界における馬鹿さ加減は並みたいていではない。いまや竹田恒泰の「お▼▼さ加減」は急成長しており,百田尚樹の次元にまで向かいつつあるとまで,評価される始末であった。
註記)以上,「竹田恒泰氏,父親への捜査はフランス側の報復と主張。それを妄信する氏子たちの祝詞」『論壇net』2019年1月12日,https://rondan.net/12058 を参照したが,論旨を尊重したかたちで参照したが,大幅に補正。
補注)2024年2月9日。なお,ベストセラー作家らしい百田尚樹は,その物書きとしての本性を,この百田が「語れば語るほど,露呈されるのが無知,底の浅さ,そしてデタラメ」にあったと指摘したのは,つぎの註記に示す文章であった。
註記)「『殉愛』だけじゃない! 百田尚樹は “タカ派発言” もデタラメだらけだった!」『リテラ』2015.01.07 09:30,https://lite-ra.com/2015/01/post-770.html
本文に戻ろう。いずれにせよ,この竹田恒和の「▼▼息子:恒泰」が自分の父親を擁護した妄言は,この▼▼さ加減を馬鹿正直に丸出ししただけのことであった。
2)「竹田JOC会長を贈賄容疑でフランス当局が訴追。息子は「仮に百歩譲って意図的にお金を賄賂のつもりで渡していたとしても合法」とTVで発言・・・・この親にしてこの子あり!!」『くろねこの短語』2019年1月12日, http://kuronekonotango.cocolog-nifty.com/blog/2019/01/post-559d.html の毒舌風批評を,以下に引用する
ここで触れておくが,本ブログが移動する前のブログサイトで書いてあった,つぎの主題と副題の題名のみ紹介しておきたい。この記述の中身は別途,再公開することにしたい。すでに,ほぼ6年前の2017年12月11日に書いていた文章であるが,日本社会論としての内容としては,いまだに陳腐化していない。
※-3「フランス司法当局による竹田JOC会長贈賄容疑捜査の衝撃」『天木直人のブログ』2019-01-12,http://kenpo9.com/archives/4802
元外交官であった天木直人によるこの分析・観測は,だいぶ視角の異なる地平から批評をくわえている。通常のネット界における観察とは質的に局面を変えた指摘がある。これなりに聴いておく価値がありそうである。
--ゴーン事件が新たな展開をみせた。仏紙『ルモンド』などが,竹田JOC会長を東京五輪招致の際の贈賄容疑で捜査していると報道したからだ。政府関係者は,ゴーン事件とは無関係だ・単なる偶然だなどと冷静を装っているが,明らかにゴーン事件に対する日本の司法当局への圧力だ。司法当局の背後にある安倍政権に対するメッセージだ。
いよいよ日本はゴーン事件で窮地に立たされることになる。竹田会長の贈賄容疑捜査報道の衝撃はふたつある。ひとつは,贈賄そのものの有無だ。竹田会長が贈賄していたなら,それは日本政府が贈賄していたことになる。その場合はもちろん東京五輪は吹っ飛び,安倍政権は総辞職せざるをえない。
しかし,この問題は,すでに2年前にコンサルタント契約にもとづいた正当な対価として政治決着している。そもそも,オリンピックの招致が買収されることは周知の事実だ。そんなことを認めてしまえば,オリンピックじたいがなりたたなくなる。だから,竹田会長に関する贈賄容疑は政治的になりたたない〔ものだと処理されていた〕。
それをしっていながら,いまになってフランス司法当局が捜査を続けていると突然報道されたということは,明らかにゴーン事件に対する仏側の報復的脅しなのである。ただでさえ,日本の捜査の人権軽視について外国の批判が高まりはじめたときだ。いよいよ検察は追いこまれることになる。
そこで問題になるのが,安倍政権とゴーン事件のかかわりである。安倍政権がゴーン逮捕を指揮し,積極的に動いたということは,さすがにありえないだろう。もしそんなことをしていたら,それがばれた時点で安倍政権は即,終わりだ。問題は,安倍政権が今回の検察の一連の捜査について,事前通報を受け,それを明示的あるいは黙示的に承認していたかどうかだ。
補注)「ゴーン前会長が再逮捕されたさい,この特捜部による無理筋逮捕の裏に,安倍政権幹部や政府の影がちらついていることを指摘し」ている一例は,ネット新聞『リテラ』の記事にみられる。「ゴーン前会長出廷で改めて露呈した特捜部の無理スジ捜査! 国策捜査の背後に安倍政権幹部と経産省の影」『リテラ』2019年1月8日,https://lite-ra.com/2019/01/post-4478.html が,くわしくとりあげ論評している。
またゴーンに関しては,事件発生の当初から日本側にちらついていた薄暗さに向こう側には,安倍晋三や菅 義偉,今井尚哉政務秘書官たちの姿が透けてみえるといっても過言ではない。この「事実」が背景として控えている点が露呈したら,安倍晋三政権は空中分解する。あるいは,その裏舞台にはさらにアメリカ政府や軍部の意向もみえかくれしないわけでもなく,世界経済・国際経営の問題次元にまで通貫する「現実的な政治問題」である点まで示唆されている。
〔ここで記事に戻る→〕 そして,これまでの日本の政権と検察の関係から考えれれば,検察が政府にいっさい連絡せずに独断でおこなったとは考えられない。ましてや,いまの安倍・菅政権のもとでは,検察・警察・司法は完全に安倍政権の顔色をうかがって動いている。
もしこんどのゴーン事件に安倍政権が,たとえ暗黙的にせよ関与していることが判れば,そのときこそ安倍政権は国際批判の矢面に立たされることになる。
そして,その背後に米国の影がちらつけば,国際問題にまで発展する。いよいよ検察は追いこまれて来たということだ。その深刻さを,今日〔1月12日〕の朝日新聞が見事に認めている。
つまり,検察から情報をもらってスクープ報道し,以来,一貫してゴーンを悪者にして検察寄りの記事ばかり書いてきた朝日が,今日1月12日の一面トップで,検察捜査の独善性を批判しはじめたのだ。この朝日の手のひら返しの裏切りこそ,ゴーン事件が世界から批判の目でみられはじめたことへの危機感の表われなのだ。
しかし,検察はいまさらゴーン追及の手を緩めるわけにはいかない。そんなことをすれば安倍政権からやめろと指示があったことを認めることになる。検察は進むも地獄,退くも地獄だ。
そして,それはとりもなおさずゴーン事件で安倍政権が置かれている苦境でもある。折からあらゆる外交のゆきづまりが表面化してきた。それにくわえてゴーン事件だ。待ったなしに外交の安倍の真価が問われている。(引用終わり)
以上,『天木直人のブログ』が披露したる見解は,竹田恒和の「▼▼息子」が単純素朴に唱えた説,「父親への捜査はフランス側の報復と主張」とは,基本から質的に次元を別にした中身である。
また『リテラ』は2019年1月11日に,別の記事「仏司法当局が東京五輪誘致汚職で竹田恒和JOC会長を捜査開始! ゴーンの報復じゃない,マスコミが報じなかった黒い疑惑」 ⇒ https://lite-ra.com/2019/01/post-4484.html も報じていた
※-4「竹田会長『訴追』で東京五輪の危機を招いた政府・JOCの『無策』」『郷原信郎が斬る』2019年1月11日,https://nobuogohara.com/2019/01/11/竹田会長「訴追」で東京五輪の危機を招いた政/
この郷原信郎の文章は長いので,最後のほうからのみ引用する。
--以上のような経過〔この部分についても郷原の原文をぜひ一読されたい〕からすると,今回,フランス当局の竹田会長の刑事訴追に向けての動きが本格化したのは当然のことといえる。
東京五輪招致をめぐる疑惑についてフランス当局の捜査開始の声明が出されても,まったく同じ構図のリオ五輪招致をめぐる事件でBOC会長が逮捕されても,およそ調査とはいえない「第三者調査」の結果だけで,「臭いものに蓋」で済ましてきた日本政府とJOCの「無策」が,東京五輪まで1年半余と迫ったいまになって,JOC会長訴追の動きの本格化するという,抜き差しならない深刻な事態を招いたといえよう。
補注)BOCとは Brazilian Olympic Committee,JOCとは Japanese Olympic Committee の略称。また後段に出てくるIOCとは International Olympic Committee の略称。
今日〔当時〕,竹田会長は,訴追に関する報道を受けて,「去〔2018〕年12月に聴取を受けたのは事実だが,聴取に対して内容は否定した」とするコメントを発表したとのことだが,問題は,フランス司法当局の竹田会長の贈賄事件についての予審手続が,どのように展開するかだ。
フランスでの予審手続は,警察官・検察官による予備捜査の結果を踏まえて,予審判事みずからが,被疑者の取調べなどの捜査をおこない,訴追するかどうかを判断する手続であり,被疑者の身柄拘束をおこなうこともできる。昨〔2018〕年12月におこなわれた竹田会長の聴取も,予審判事によるものと竹田会長が認めているようなので,予審手続は最終段階に入り,起訴の可能性が高まったことで,フランス当局が事実を公にしたとみるべきであろう。
ということは,今後,フランスの予審判事が竹田会長の身柄拘束が必要と判断し,日本に身柄の引き渡しを求めてくることもありうる。この場合,フランス当局が捜査の対象としている事実が日本で犯罪に該当するのかどうかが問題になる。
犯罪捜査を要請する国と,要請される国の双方で犯罪とされる行為についてのみ捜査協力をするという「双方可罰性の原則」があり,日本で犯罪に該当しない行為については犯罪人引渡しの対象とはならない。
今回,フランス当局が捜査の対象としている「IOCの委員の買収」は,公務員に対する贈賄ではなく,日本の刑法の贈賄罪には該当しないが,「外国の公務員等」に対する贈賄として外国公務員贈賄罪に該当する可能性はあるし,招致委員会の理事長が資金を不正の目的で支出したということであれば,背任等の犯罪が成立する可能性もあり,なんらかのかたちで双罰性が充たされるものと考えられる。
いずれにせよ,フランスの裁判所で訴追されることになれば,旧皇族の竹田宮の家系に生まれた明治天皇の血を受けつぐ竹田氏が「犯罪者」とされ,JOC会長職を継続できなくなるだけでなく,開催前の東京五輪招致の正当性が問われるという危機的な事態になることは避けられない。(引用終わり)
郷原信郎はつぎの文章も書いていた。連動する内容なので引用しておく。
さて,雛壇にじっとお飾り的に座っていればいいJOC会長職であればよかったのだが,以前は無給であったこの職位を,自分が会長の地位に就いてからは有給にするなどした竹田恒和は,自分が皇族の血統である地位を最大限に活用する『オリンピック貴族の立場』を享受してきた。
また,フランス司法当局による竹田JOC会長贈賄容疑捜査に関連しては,日本側がこれまで,この会長の出自を「無闇に忖度したがごとき処理」に済ますことにしてきたために,当事者であるJOCが「その場しのぎ」的に第三者委員会を設置しただけで,その報告書による根拠もない「お墨付き」を与えるに終わっていた(郷原信郎の指摘)。
すなわち,この「竹田問題」は日本側において体よく先送りしされてきた。だが,今回,日産のゴーン問題と符牒を通じさせたと受けとられるほかない「フランス側からの事件喚起」(問題提起)は,もともと時限爆弾である性格をかかえていた。
補注)その後,保釈中であった2019年12月29日に起きた「ゴーンの日本脱出事件」について。日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(65歳,当時),レバノンに逃亡した問題で,東京地裁は前会長の保釈保証金15億円を没収する決定を出していた。
この記述を書いていた時点の2019年の1月14日からだいぶ時間が経ったが,その年内の12月29日,カルロス・ゴーンは,関西国際空港から音響機材搬送用の箱に隠れて自分のビジネスジェットで密出国することに成功し,自分の国籍をもつ3つの国(フランス,ブラジル,レバノン)のひとつであった,レバノンへ逃亡していった。
もちろん日本政府・検察庁側は地団駄踏んでくやしがったが,日本の刑事司法の運用は『人質司法』と呼ばれるほど非人道的であり,ともかく事件を有罪にするためであれば,被疑者からの自白をうるために,いくらでも身柄拘束をおこなっている。まともな先進国では採っていない刑法上の手法である。
この記述で最初に登場させた高橋治之の場合は,2022年8月17日に逮捕されて以降,11月までに4回起訴されつづけたあげく,東京・小菅の東京拘置所で4か月あまり勾留された。高橋が保釈決定を受けたのは12月26日の晩であった(このとき78歳,保釈金は8千万円)。
高橋は,年齢のせいかスーツ姿で “車いすに乗って” 拘置所の出入り口に姿をみせ,車に乗って帰宅したというが,拘束されていたあいだは相当に精神的,肉体的に打撃を受けたものと推測される。
※-5「東京五輪招致の裏金問題で “厚顔” 答弁 … JOC竹田恆和会長に自動車事故で女性を轢き殺した過去が!」『リテラ』2016年5月18日,https://lite-ra.com/2016/05/post-2254.html
「竹田氏は40年ちょっと前」の〔いまからだと45年前の〕1974年10月22日,「若い女性を轢き殺す交通事故を起こした」
「竹田選手の事故責任をとり,東京都チームは23日朝,この日以降の全馬術競技の出場を辞退することを決定,大会本部に連絡した」
「40年以上前の話とはいえ,こんな重大事故を引き起こした人物が,いま,日本の五輪組織のトップに君臨している」
とくに「問題だと思うのはこの事故の後の竹田氏の身の処し方だった」
「明らかに竹田氏側の過失だと思われるが,竹田氏は重い刑事責任を問われることもなく,ほどなく馬術競技に復帰。事故から2年も経っていない1976年に開かれたモントリオールオリンピックに出場している」
「通常の会社勤務なら,死亡事故を起こすと解雇になるケースも多いし,スポーツ選手では最近,バトミントン五輪代表選手が違法カジノに出入りしていただけで,無期限の競技会出場停止になり,リオ五輪の出場権を剥奪された。それらと較べれば,雲泥の差だろう」
「被害者と示談が成立したというのもある」「が,竹田氏の場合はやはり宮家の威光というのが大きかったようで」「周辺の政界人脈が動いて,事故の影響を小さくし,すぐに復帰できるようにお膳立てした」。
そして「復帰したとき時もほとんどマスコミには叩かれなかった」(スポーツ関係者)
註記)ここまで,https://lite-ra.com/2016/05/post-2254_2.html
「もちろん,交通事故は過失であり,人を死なせた人間にも人生をやり直すチャンスは与えられるべきだ。しかし,これだけの大事故を引き起こしていたら,やはり五輪のような華々しい表舞台からは身を引くのが普通の神経だろう。ましてや,竹田氏の場合は,事故の影響で東京チームが連帯責任をとって,国体の出場をとりやめているのだ。それが,本人がすぐに五輪出場とは……」
「しかも,竹田氏はこの後,1984年のロサンゼルス五輪で日本選手団コーチ,1992年のバルセロナ五輪で日本選手団監督と,JOC内部でどんどん出世していくのだ。そして,2001年にはとうとう日本オリンピック委員会(JOC)会長に就任し,以来,16年〔19年目〕という長い期間にわたって,JOCトップに君臨しつづけている」
補注)しかし,竹田恒和はその後,2020年6月にJOC会長の任期が終わるのを機に,とうとうその座を退ぞかざるをえなくなっていた。前述に説明があったように,竹田会長をめぐっては,東京オリンピック招致のさい招致委員会の最高幹部の立場として贈賄の疑惑が浮上していた。それも,フランスの司法当局が捜査の対象にしていて,竹田もこれから完全に逃避しきれないと覚悟したらしく,そのように身を処したものと思われる。
〔記事に戻る→〕 「JOCでの力は完全にコネですね。竹田さんの父である竹田宮恒徳王が戦後,JOC会長,IOC委員を務めており,JOCは以前から竹田家と縁が深かったんです。それで,父君の時代の側近たちがお膳立てして,息子の恆和さんのJOC会長への道筋をつけたんです」(前出・スポーツ関係者)
「つまり,竹田恆和という人物は,どんな不祥事を起こしても周りがカバーしてくれて,出世の段どりをしてくれるという環境のなかで生きてきたのだ。そして,本人も無自覚にそれに乗っかっていく」
「そういえば,2020年のオリンピックの開催地を決めるIOC総会前の会見で,外国人記者から福島原発の影響を聞かれて,竹田会長は『福島は東京から250キロ離れており,皆さんが想像する危険性は東京にない』と発言。まるで福島を切り捨てるような,あまりに他人事な発言に批判が殺到した(といっても,海外メディアとネットだけで,国内マスコミはほとんど批判しなかったが)」
「要するに,こういう人物だから,今回のような贈収賄に問われる重大事態が起きても,まったく当事者意識がなく,問題解決ができないのだろう。いや,今回のことだけでなく,これまで起きた国立競技場やエンブレム問題などもそうだ。竹田会長の当事者意識のない無責任な姿勢が森 喜朗氏や電通の暴走を許し,さまざまなトラブル,不祥事を誘発してきたともいえるだろう」。
註記)ここまで,https://lite-ra.com/2016/05/post-2254_3.html
前段の『リテラ』の記事は,最後に「こんな人物がトップにいるかぎり,東京五輪の混乱がまだまだ続くであろうことは間違いない」と断言していた。このように批判されていた竹田恒和が,こんどは,
「竹田会長『訴追』で東京五輪の危機を招いた政府・JOCの『無策』」(郷原信郎)とか,「フランス司法当局による竹田JOC会長贈賄容疑捜査の衝撃」(天木直人)とか批判・表現される事態を招来させていたゆえ,いまさらながらとはいえ “罪作りな御仁であること” このうえなかった。
なお有名な話であったが,くわえて安倍晋三は,東電福島第1原発事故現場のことを,嘘つきである自分を証明するがごときに, “under control” だと語っていた。これは,竹田恒和の吐いた前段のごとき発言と同類・同質のまやかし発言であった。福島県民,とくに被災地の国民たちの生活・健康・生命を無視し,愚弄する「決めつけ」を,無情にも放っていた。
もっとも,日本に原発問題に関して「世界でもっとも厳しい安全基準がある」かすら疑問があった。「汚染水の影響は完全にブロックされている」保障もいまだ確保されていない。それゆえ「日本にやってくるアスリートに責任をもつ」というのは,安倍晋三に特有である “いつものウソ” (盛りだくさんだったそれ)のひとつに過ぎなかった。竹田も安倍のウソに口裏をそろえてだったのか,その無責任な発言を放っていた。
そうした発言から20年以上も時が経過しているが,原発事故問題について「平然と当然にウソをつける輩」であった安倍晋三や竹田恒和は,まさしく字義どおりに「国民・市民・庶民」,より焦点をしぼっていえば原発事故の被災者たちに対する「弱い者イジメ」になっていた。つまり,彼らの「キズに塩を塗りつける」ような言動を,なんの自覚もなしに放っていた。
2020東京オリンピックは1年遅れでしかも基本,観客なしで開催したが,このような「発展途上国型の催しもの」を,21世紀も20年代に入ってから開催することに,はたしていかほどの意義・価値があったのかと問えば,「それがあった」というよりは,むしろの逆であった。つまり「マイナスの社会効果」しかもたらさなかったというほうが,適切な判定になる。
要は,日本でわざわざ絶対的に開催する必要などなかったのが,あの五輪大会であった。それも2021年の盛夏になっての東京で,もっぱらオリンピック貴族たちの「栄華とミエ」のために,そしてまた,庶民たちが「感動詐欺」で騙されることを事前の前提にしておきながら,
さらには,酷暑のなか大汗をかきボランティアに励む姿をただ踏み台に利用しただけの,いろいろとあった「彼らのみえすいた魂胆」だけが,絶対に「忘れてはいけない記念になった」といえば,確かにそうだといえる「汚倫ピック」の開催であった。
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