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故安倍晋三極右政権の「偽国粋主義・似非保守思想の基本的反動性」に関する思い出「話」,この国を壊した「世襲3代目の政治屋」の愚昧三昧ぶり(3)

 ※-1【前置き】としての本日 2023年12月21日の記述

 a)「本稿(2)」の記述は一昨日,2023年12月19日に公開されていた。その内容にさらにつづく「本稿(3)」も,日本を徹底的に壊しつくし,すべてをダメづくしにしてきた,いまは亡きあの安倍晋三が記録してきた執権時の「罪と罰」,その一端を議論することになる。

 いまとなって,死人に口はなしとはいうものの,安倍晋三にかぎっては,「オマエは地獄の閻魔大王から,今日もまだ〈長いとりしらべ〉を執拗に受けている最中なのだが,生前の悪業のかぎりを包み隠さず正直に自白し,懺悔するつもりはあるのか」と訊ねてみたいものである。

 日本の政治・経済は2010年代において安倍晋三が,いわばこの国を「衰退途上国」と呼ぶほかない国柄にまでダメにしてしまった。いまでは,自虐的にも表現されているように,すでに後進国化したその国柄をたっぷりと醸し出してまでいる。

 この貧乏国になってしまった日本の現状をみるにつけ,本当に「世襲3代目の政治屋」の甘ちゃん君が,この「美しかったはずのこの国」の「政」に手を出してきた結果,このごろは転落の一途あるのみの実情になっている。

 しかも,安倍晋三のあと,菅 義偉につづいて首相として登場した同じ「世襲3代目の政治屋」の岸田文雄は,こちらは「政治家としての自分という存在意識」が,他者から観るに確たる軸心が透視できなかった。これまた「世襲3代目の政治屋」であるせいか,あいもかわらず「中身のないカラッポだらけの為政」を進行させるしか能のない男である事実だけが,みやすくも前面にせりでていた。

 最近,日本の政治社会を騒がせている問題,パー券裏金(キックバック)問題は,自民党政治そのものが大々的に悪臭をまき散らす「いまだけ,カネだけ,自分だけ」の,すなわち,選良のする政治行動などとはとてもいえない醜悪な演技をしつづけて止まない「国会議員」たちの品性・品格を,醜悪な面相しかもたない事実として,これをあらためて浮上させた。

 b) ところで昨日(2023年12月21日)のNHK(総合テレビ)夜の番組に,以前『クローズアップ現代』という解説番組にキャスターとして出演していた国谷裕子が,久しぶりに登場して姿をみせていた。

 つぎに紹介する画像資料は,国谷裕子を11年前に紹介したNHKの記事なので,これなりに観てほしいものである。

国谷裕子・紹介

 国谷裕子は,安倍晋三政権時における官房長官菅 義偉を,2014年7月3日であったが,この番組に呼んで国谷と議論したさい,ジャーナリストしてその討議じたいをきびしく詰めて進行させた。ところが菅は,この議論においてまともな「応答」がまったく不可能であったために激怒した。

こういう官房長官が「問題ない」などとはいえない事実は
とうに結論が出ていた

 国谷裕子は,官房長官としての定例記者会見の場では,ただ「問題ない,問題ない,問題ない……」というせりふを連発するしか能のなく,この文句を口癖のように発していたこの菅 義偉を激怒させる「事件」を「起こした」。その因果で『クローズアップ現代』を降板させられるハメになっていた。

 【参考記事】-『The Huffington Post』デー』2014年07月11日から-

 〔2014年〕7月11日発売の週刊誌『フライデー』が,「国谷キャスターは涙した 安倍官邸がNHKを “土下座” させた一部始終」と題して,首相官邸側が放送内容をめぐりNHKを叱責したと報じた。これに対し菅 義偉官房長官は「ひどい記事だ」と述べ,事実に反しているとの認識を示した。

 フライデーが報じたのは,7月3日にNHKで放送された「クローズアップ現代」をめぐる首相官邸とNHKのやりとり。この日の番組では,集団的自衛権を特集。菅官房長官がゲストとして招かれ,番組キャスターや記者からの質問に答えた。

 しかし,フライデーによると,番組終了後に菅官房長官に同行していた秘書官が「いったいどうなっているんだ」とクレームをつけたという。同誌は「国谷裕子キャスターの質問が鋭かったうえ,国谷さんが菅さんの質問をさえぎって『しかしですね』『本当にそうでしょうか』と食い下がったことが気にくわなかった」とした。

 註記)「『NHK「クローズアップ現代」を首相官邸が叱責』 フライデー報道 菅官房長官は否定」『HUFFPOST』2014年07月11日 19時43分 JST,更新 2014年07月12日 JST,https://www.huffingtonpost.jp/2014/07/11/closeup-gendai-hiroko-kuniya_n_5576960.html

『HUFFPOST』2014年7月11日

 菅 義偉がなぜ自分が激怒したのかという点は,安倍晋三の「当時の第2次政権そのもの」が政治病理的にもとから抱えていた「盲点=難点」の具体的な反映として理解できる。もっとも,菅のほうではもちろん,その点の自覚症状などまったくなかった。

 ともかく政治家の立場から,それも国谷裕子のような優秀・有能なジャーナリストとの〈丁々発止〉の討論など,もともとできなかった「政治屋」が菅 義偉であった。だから,国谷を相手にしてまともな議論を交わすことなど,はじめからできそうもなかった難事であった。しかし,その人が官房長官という重職に就いていたのだから,「この国の為政」の「品質水準がいかほど」かは,おおよそそのお里がしれていた。

 c) 2015年ころまでには「完成していた」安倍晋三の強権的専制政治,日本政治として「忖度を強制するだけとなった圧政としての慣習:惰性」は,いまごろの2023年も押しせまった時期になるや,「パー券裏金問題」で日本の社会を大騒ぎさせるという事態にまでつらなる顛末をもたらしてもいた。

 この国「政治風土の後進国的(発展途上国的?)な特性」は,その「パー券裏金問題」に司直(東京地検)の手入れが開始した事実によって,いまさらのように遺憾なく物語られる事態となっている。

 ここで,菅 義偉が国谷裕子のインタビューにまともに答えられずに,しかも自分の能力・資質そのものは棚に上げて,ただ相手の手前勝手(?)に振りまわされたすえ,これに激怒したという出来事が起きていた「その事情や経緯」については,たとえば,ネット記事『リテラ』2016年4月14日が,つぎのように説明していた。

  「『クロ現』降板の国谷裕子が問題の菅官房長官インタビューの内幕を告白! 『メディアが同調圧力に加担』との警鐘も」『リテラ』2016.04.14 07:54,https://lite-ra.com/2016/04/post-2160.html(記述量はパソコンの画面で全4頁あるが)の1頁目から引用する(そのまた5分の2くらいの分量の引用となるが)。

 安倍政権からの圧力によって,23年間キャスターを務めてきた『クローズアップ現代』(NHK)を〔2016年〕3月で降板した国谷裕子キャスター。最後の放送以降,国谷氏はメディアに姿を現わしていないが,じつは降板後初となる文章を,現在発売中の月刊誌『世界』」(岩波書店)〔2016年〕5月号に寄せているのをご存じだろうか。

 しかも,国谷氏はこの寄稿文のなかで,あの “事件” についても言及。それは国谷氏のキャスター降板にいたるきっかけとなったといわれている,2014年7月に『クロ現』でおこなった菅 義偉官房長官へのインタビューだ。

 この日の放送は,閣議決定されたばかりだった集団的自衛権の行使容認について政権の要である菅官房長官に話を聞くという主旨だった。官邸としては格好の説明の場だと踏んだのだろうが,

 しかし,キャスターの国谷氏は厳しい質問を繰り出し,菅官房長官ならびに官邸は激怒。その後,政権側は『クロ現』のやらせ問題を隠れ蓑にして圧力を強め,最終的に国谷氏のキャスター降板まで追い詰めた。

菅 義偉の狭量・無教養,討論できない頭脳構造

 本ブログ筆者の自宅書棚にはたまたま,雑誌『世界』のその2016年5月号があったので,早速,国谷裕子の「インタビューという仕事-『クローズアップ現代』の23年」という寄稿のなかから,つぎの文句に注目した。インタビューについての国谷の基本的な見解が語られている。末尾での発言であった。

 インタビュー〔は,そ〕の相手にだけでなく視聴者への問いかけであった気がしている。言葉による伝達ではなく,言葉による問いかけ。これが私にとって,キャスターをはなにをする仕事なのかという問いに対する答えかもしれない(60頁)。

『世界』2016年5月号

 一言でいって,あの菅 義偉がこの国谷裕子と「1対1のタイマン」で議論できるような政治家には,とても思えない(以前からそう感じていた)。自民党でも昔の議員たちであればそのなかには,学生時代から政治家をめざした自分の「語る力」をつけるために大学内クラブ活動の「弁論研究会」などに所属して,その力を培養する努力をしていたものである。

 だが菅 義偉の場合は,苦学生だという「宣伝的ないいつたえ」以外,われわれにはなにも分からない。自身の弁論力を培うための訓練をどこかで蓄積してきたとか,あるいは政治家としての経歴のなかで自然,その実力をどのように養なわれてきたのかといったふうな,過去における関連する履歴も不在。ただし,対話が下手クソだという事実だけは,庶民の目にはよくみえていたし,実際,そういう対話法しかもちあわせていなかった。

 d) 以上,本日(2023年12月21日)の補論的な記述を終えて,つぎの※-2からは,2022年8月17日に論述していた内容を復活・再掲することになる。その日付は安倍晋三が統一教会2世の山上徹也に射殺されてからちょうど40日が経っていた。

 安倍晋三が死んだのを契機に世間の話題となって一挙に「再浮上したのが自民党の統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との腐れ縁」であった。つまり,自民党政権とこの「統一教会・世界平和統一家庭連合」とのズブズブに密接な関係は,以前からどうやら日常的な状態であった事実が,その後,時間の経過とともに明らかになっていた。

 その付近の問題は2023年12月時点になっても,ときおり新しく判明する(暴露される)事実からして,よほど自民党と統一教会の間柄は不即不離の関係にもあった様子がうかがえた。

 そもそも,安倍晋三が狙撃され死亡する事件が発生していなければ,このような統一教会関連の所問題は,世間を騒がす話題になりえなかったという点も,われわれは忘れてはいけない。

 統一教会の新聞紙『世界日報』が,自民党系国会議員を初め,多くの議員たち事務所に配布(契約して購読されていなくとも投函)されていた,という事実は看過できない。

【参考記事】-『世界日報』がこう叫んでいたとか-

 「本稿(3)」の論題をもって,その種の記述をつづけているわけだが,この数日間(ここでは2022年8月中のことを指す),関連する記事が大量に出まわる事態となっており,その内容をある程度でも紹介していたら「1日に記述する中身」としてあまりにも多くなるゆえ,本日はなるべく簡素にできる部分は,それなりに工夫する引照のかたちにしてみたい。

 

 ※-2「萩生田光一政調会長,生稲晃子氏の選挙支援を統一教会に要請か   教会関係者は『萩生田さんは家族同然』」『デイリー新潮』2022年08月16日,https://www.dailyshincho.jp/article/2022/08161131/  から。

 ◆-1「ビデオは回さないように」と指示

 第2次岸田改造内閣の発足(2022年8月10日)により,政調会長に就任した萩生田光一氏だが,先の参院選(同年7月10日)で,生稲晃子氏への支援を要請するため,生稲氏を伴って教会の関連施設を訪問していたことが明らかになった。

 萩生田氏は統一教会との関係について,これまで,意図したものではなかったと弁明している。ところが,統一教会の関係者は「実情は違う」と反論する。萩生田氏は2009年,自民党が下野するきっかけとなる衆院選で落選し,2012年まで3年間,浪人生活を余儀なくされているが,

 「ちょうどその間,月に1~2回のペースで八王子市内の教会施設を訪ねてくれました。その施設は3階が講堂になっており,そこに数十人の信者を集めて演説をなさっていたのです」

 そして,萩生田氏の演説の場では “ある特別なお触れ” が出されたそうだ。

 「萩生田さんがみんなの前で演説する場合,教会長や青年部長ら幹部が “ビデオは回さないように” と信者たちに指示していました」

 どうやら証拠を残さぬように,という意図らしい。

 ◆-2 信者に取って萩生田氏は「家族同然」

 さらに,「いまさら,統一教会との関係をいっさいなきものにしようだなんて,人間として薄情すぎやしませんか。以前は,礼拝を兼ねた日曜日のバーベキュー大会にジャージ姿で駆け付けてくれたりもしてたんです。萩生田さんが来ると,やっぱりその場がパッと盛り上がるし,みんなそうやって楽しく過ごした時間を覚えています。信者たちからすれば  “家族”  同然だと思っていたんですから」

 地元八王子の政界関係者によると,毎年クリスマス・イブの前後に八王子市内の宴会場で,統一教会の関連団体である「世界平和女性連合」が主催するクリスマス会に,萩生田氏の秘書は必ず出席し,本人も夫人同伴で何度か顔を出していたという。

 原文注記)以上『週刊新潮』2022年8月25日号。

 ◆-3 生稲氏の支援を統一教会に要請

 萩生田氏と統一教会のかかわりは,先の参院選にも影響を及ぼしていた。

 東京選挙区で初当選を果たした元おニャン子クラブのメンバー・生稲晃子氏。彼女の擁立工作を主導した萩生田氏は選挙中,生稲氏を伴って八王子市内の統一教会関連施設を訪ね,支援を要請していたというのである。この件について,生稲氏の事務所に質すと,

 「八王子での演説終了後,演説を聞いていた方から,“ ここに来られなかった仲間が近くにいるので生稲さんのお話を直接聞かせてもらいたい” とのお話しがあり,スタッフが相談をしてつぎの日程への移動の合間に(教会の施設に)立ち寄らせていただきました。そのさいに(演説の)現場にいらっしゃったご地元の萩生田先生に同行していただきました」   

 萩生田氏は生稲氏とともに施設に立ち寄ったことを認めたうえで,自身と教会の関係については,

 「選挙のさい,当方から支援依頼をしたことはなく,選挙戦のお手伝いをしていただいた事実はありません。旧統一教会が主催する礼拝やバーベキューに参加した事実はございません」

と回答した。8月17日発売の『週刊新潮』では,統一教会ベッタリ内閣の全容について詳報する。

 原文注記)以上『週刊新潮』2022年8月25日号掲載。

 ここまで,本日8月17日発売の『週刊新潮』に掲載されている「萩生田光一と統一教会との近しい親密な間柄」に関する記事,その紹介であった。

 萩生田光一は統一教会との関係を全面否定しているが,『日刊ゲンダイ』2022年8月16日のつぎの※-3に引用する記事は,その〈アリバイのなさ〉を逆に全面否定している。

 

 ※-3「萩生田光一政調会長は保守派の『抑え役』を期待されるも… 世論『評価せず』厳しい目」『日刊ゲンダイ』2022/08/16 06:00,更新 2022/08/16 08:44,https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/309781

 経済産業相から党4役への横滑りの可能性が報じられたさい,「俺は骨格じゃなかったのか」と大臣交代に異議を唱えるような発言をし,物議を醸した。高すぎる自己評価に呆れる声もあったが,「官房副長官,文科相,経産相と連続して要職に就いてきた。派閥(安倍派)のやっかみをかわすためのポーズだったのではないか」(官邸関係者)

 亡くなった安倍元首相の最側近だった。政調会長は党の政策責任者。積極財政から緊縮財政への転換を図ろうとしている岸田首相が,党内保守派の「抑え役」を期待して起用したとされる。

 だが,国民の視線はきびしい。加計学園問題で疑惑の中心人物のひとりとして登場し,統一教会(現・世界平和統一家庭連合)とは “濃厚接触” が明らかになっている。

 改造後の読売新聞の世論調査では〔補注)この「ゴミ売り新聞」でも?〕政調会長起用を「評価する」(32%)より「評価しない」(40%)の方が多かった。

     ■-1 叩き上げ

 サラリーマン家庭に生まれ,八王子市議を3期務めたのち,都議1期。2003年衆院選で国政に転じ,初当選。市議時代に拉致問題を通じて安倍氏との知己をえた。国政に引っぱったのも安倍氏だという。

 家族は妻,長男,長女。好物はラーメン。

   ■-2 停学処分

 早稲田実業高校時代,朝鮮高校の生徒と喧嘩して停学処分を受け,早大への進学はかなわなかった。1浪して明治大商学部Ⅱ部に入学。

 政調会長就任により,衆目の一致する後継者のいない安倍派の跡目争いで頭一つ抜け出たとの見方も。岸田首相は今回の人事で,安倍派の窓口として,塩谷会長代理だけでなく,萩生田氏からも意見を聞いた。派閥の大ボス・森 喜朗元首相も萩生田氏をかわいがり,バックアップしている。

 「萩生田氏は『爺殺し』タイプ。官房副長官の時は,菅長官にもスリ寄っていた。一方,若手を飲ませ食わせで面倒をみながら,脅しすかしで仕切る。人望があるかというと微妙」(自民党中堅議員)。

   ■-3 圧力文書

 脅しすかしはメディアに対しても,だ。安倍政権下で党の総裁特別補佐だった2014年衆院選時,在京テレビ各局の与党キャップを呼び出し,「報道の公平中立ならびに公正の確保」を求める文書を突きつけた張本人である。(引用終わり)

 萩生田光一が安倍晋三と相当に親しい関係にあった事実は,つぎの画像からもうかがえる。安倍第2次政権時代の悪政・失政を裏方的に支持する人物の1人が,この萩生田であったといても,過言にならない。ごく自然な見方である。

真ん中の男性は加計孝太郎だが安倍晋三とはなんらかの
血縁関係があると推測されている
  

 安倍晋三は以前から統一教会とは抜き差しならぬ密接な関係を保持していた。しかも安倍が,その事実を完全には隠さないで行動するようになってもいて,この「事実の関係」をネット上にあえて晒すこともしていた。

 安倍晋三が登場して「統一教会」に懇切なあいさつをしていたネット動画(下掲の画像参照,2019年9月12日)を観た1人に,統一教会のために母親が献金地獄に嵌まりこんでしまい,それが原因で自分自身も「ロストジェネレーション世代」の不運・不遇を味わされた山上徹也がいた。

ハングルの段落は
新統一韓国のための THANK TANK 2022
希望前進大会-2021年9月
と書いてある
  

 安倍晋三は,2022年7月10日実施の参議院選挙投票日をめざして運動期間中だった7月8日,奈良市に候補者応援演説のために出向き,マイクをにぎって演説を開始したその数分後,山上徹也によっていきなりそれも手製の散弾銃によって射殺された。

 この元首相がそうして死亡した以降,それまでは表面に出ることがほとんどなくなっていた「統一教会」(2015年からは「統一教会・世界平和統一家庭連合」に改称)が,いちやく,事件性をもって再注目されだした。

 その注目は,「創価学会味公明党」と長年,連立政権を組んできた自民党が,実は「統一教会」とべったり,ズブズブの関係にあった事実に向けられた。

 「安倍晋三の死亡事件」以降,自民党体制の頂点には『アベノフタ』が存在しなくなった。この事情が生じた関係で,「統一教会・世界平和統一家庭連合」がこれまで日本の政治に深く食いこんでいた実情が,あらためてマスコミ・メディアが取り上げる状況となった。


 ※-4「地元をまわっていると国葬の評判が悪い。反対がどんどん増えている」『藤井深の日記』2022/08/07,https://hyonmoku64.blog.fc2.com/blog-entry-108.html

 2022年8月7日(日)第70回「統一教会問題を取材すると現れた “二人の因縁政治家” 」,という話題〔であるが,以下『週刊文春』が出所となっている〕。

 a)「地元をまわっていると国葬の評判が悪い。反対がどんどん増えている」。ある自民党議員がこう話したのは2週間前のことでした。安倍晋三元首相の国葬に対する反応が日々きびしくなっているというのです。

 私は,亡くなった人には温かい日本的な空気を考えると,賛成の方が多いのかと思っていましたが,実際,先週出た世論調査では反対が賛成を上回りました。議員の体感は正しかったのです。彼はその理由をこういいました。

 「統一教会でしょ」

 統一教会(現世界平和統一家庭連合)が批判を浴び,国民の関心が高まっています。小誌に対しても「報道を続けてくれ」,「買って応援したい」といった励ましの声が届いています。

 b) なかでも永田町と統一教会の関係については,継続して取材を続けていますが,「おもしろいな」と感じたのは,小誌と因縁のある政治家が登場すること。

 名称変更当時,文部科学大臣だった下村博文衆院議員。安倍派の会長代理を務める下村氏については,まさに文部科学大臣時代から何度も記事にしてきました。

 2015年,学習塾の業者を集めた団体で資金集めをしていた “無届け政治団体” の疑惑を報じました。この件で国会で追及を受けた下村氏が「週刊誌ネタで質問しないでくださいよ」と,週刊誌を小馬鹿にする発言をしていたことを鮮明に覚えています。

 2017年には,加計学園から200万円の献金を受けながら,政治資金収支報告書に記載していなかった疑惑をスクープ。下村氏は「事実無根」と反論し,刑事告訴を検討するとしていましたが,いまにいたるまで告訴はありません。

 c) この時,記事の根拠となったのが,下村事務所の内部文書でした。

 日報と題された文書では,金庫番の秘書が毎日起きたことを下村氏に報告しています。この内部文書が,今回も役に立ちました。

 公表されている政治献金以外に,統一教会に関係する人物と下村氏との関係が浮かび上がってきたのです。文書を分析すると,統一教会の接近は,下村氏が大臣になる少し前から始まり,文科相になってから,より深まっています。

 いま,連日報道されているとおり, “拒否” されてきた名称変更が認証されたのは下村大臣時代でした。

 下村氏は3週間前,この件について尋ねた『週刊文春』の質問状に対して,回答をわざわざツイッターにアップし,名称変更について「大臣に伺いを立てることはしていない」としていました。

 ところが,その後,認証の前後に報告を受けていたことを認め,最近では「受理しないと法的に訴えられて負ける可能性がある」と文化庁から説明されたと明かしています。ずいぶん明確な記憶があるのに,なぜ最初からそう説明しなかったのでしょうか。

 d) もう一人,取材を続けていて関係の深さに驚いた政治家がいます。細田博之衆院議長です。

 清和会(現・安倍派)会長だった細田氏は,統一教会の最重要組織といわれるUPF(天宙平和連合)が開いた名古屋での国際会議にわざわざ出張し,つぎのように挨拶していました。

 「安倍総理にも私は始終話をしておりますので,今日の盛会を安倍総理に早速ご報告したいと考えております」

 「韓 鶴子総裁の提唱によって実現したこの国際指導者会議の場は,大変意義が深いわけでございます」

 現在の教団トップである韓 鶴子氏の名前をわざわざあげてヨイショした細田氏。これで「統一教会としらなかった」といういいわけは通りません。

 なぜ,細田氏はそこまで統一教会に近いのか。その謎が解けたのが,今週号〔『週刊文春』〕の記事でした。

 細田氏の親戚であり,地元を仕切る “国家老” である細田重雄県議が,統一教会系有力団体の島根県の議長を務めるほど,統一教会と親密な関係にあったのです。

 細田衆院議長と言えば,セクハラ疑惑を報じた小誌を名誉棄損で提訴しました。この細田議長,すごいのは疑惑についてまったく説明しないこと。

 小誌のセクハラ報道の時もそうでしたが,一連の統一教会報道でもまったくメディアに対して回答していません。このような人物が衆議院のトップ。

 やはり,統一教会の政界への浸透は半端ありません。小誌では,この問題を引き続き報じていきます。

 注記)以上,『週刊文春』編集長 加藤晃彦。

 

 ※-5 御厨 貴「安倍元首相の国葬強行で得をするのは…」国民の約8割が反対でも自民党は ”賛成一色” その身も蓋もない「理由」とは」『文春オンライン』2022/08/13,https://bunshun.jp/articles/-/56643

 この※-5でとりあげるのは,御厨 貴が登場する別の記事,「政治学者・御厨 貴さんが語る戦後政治の転換 『傍流』脱した岸・安倍的保守」『毎日新聞』2022年8月16日夕刊であるが,この記事は,社会科学的な批判の観点が甘い,いいかえれば,政治学者の弛緩した評論が繰り出されるばかりで,面白みを欠いていた。

 補注)この※-5は,実は「題名だけの紹介」となっている。悪しからず諒解してほしい。また,国葬に反対の国民が約8割もいるというのに,岸田文雄は首相として完全に無視している。厚顔無恥の政治屋である。

 さて,東京大学名誉教授の政治学者である御厨 貴氏の見解だからといって,必らずしも「安倍元首相の国葬に賛成する政治家たちの頭の中を,解説する」ための知的分析作業が,申し分なくすみずみにまでわたり透徹できていたのではない。この点は,御厨 貴が執筆した「これらの記事」から伝導されてきた感想である。

 それでも御厨 貴は,参考になる意見を吐いてくれている。ということでこの『毎日新聞』の記事からは,その片言隻句の紹介になっても,その点くらいは拾っておきたい。

   『国葬決定は「早すぎ」,2カ月〔先に執行というの〕は「長すぎ」』

   『「外交に使いたい」と思ったはずで,まず外交的発想があった』

   『興味深いのは,これだけ多くの人が反対しているのに自民党内から国葬に反対する声がまったく聞こえてこないこと』

   『岸田さんとしては国葬が “損” になるとは思っていない』
 
   『当日は世界各国の首脳が来日して外交について話し合う弔問外交の場になるわけで……す。それが実現すれば外交としては大成功ですし,国内でも国葬をやって良かったという論調になると踏んでいると思います。

 だからこそいまは反対論が多くても押し通そうとしているわけです。それに,党内政治のためにはやったほうが絶対に得ですからね』

 つまり『国民の支持より「国葬」の方が大事』であり『国民は “損” をするかもしれません」

   『問題山積だった東京オリンピックも,いまとなっては「やって良かった」と感じる人が少なくないのと同じことです』

   『国民の “忘れやすさ” を自民党は把握しているわけですね』(これは記者の発言)

   『今回の国葬問題は,岸田さんの受けついだ “安倍イズム” が色濃く反映されていると言えるかもしれません』(引用・抽出,終わり)

 要は,御厨 貴の指摘や意見は「解説ないし説明」に終始しており,安倍晋三から岸田文雄にいたる自民党政治への批判的な観点からする議論,そして,問題意識を確実に詰めるべき方向で吟味する姿勢に関しては,徹底を欠いていた。

 元東大教授(名誉教授,および東京都立大学名誉教授)である立場になにか関連する要素があるのかもしれないが,体制派・官許内の磁場から離れられない立場・思想からと思われた発言が多く,その点では食い足りなさを感じさせた。

 御厨 貴を解説したウィキペディアには,つぎの段落のごとき記述があった。これは一方で,メーデーの日本的なあり方を買いかぶると同時に,他方で,皇室をあつかう右側寄り識者たちの無神経ぶり(平成から令和に替わる日付を2019年4月末日と5月初日にした事実をめぐる)にまで気が回らなかった御厨の限界を示唆していた。

 2017年12月2日付け朝日新聞に掲載のインタビューにおいて〔御厨 貴は〕,同年12月1日に開催された皇室会議で,2019年4月30日に当時の天皇(明仁)が退位,5月1日に皇太子徳仁親王が即位し,新元号改元をおこなう日程が決まったことについて,「改元の日はメーデーですよ。驚きました」と発言した。

 

 ※-6 関連する報道を任意に選択・紹介

 1) 「猪瀬直樹氏,安倍晋三元首相の『国葬』に異議あり『なぜあんなに急いで決めたのか』」『スポーツ報知』2022/8/8 (月) 11:00 配信,https://news.yahoo.co.jp/articles/ba298456941b18d93d8eac2cdd8445191df13092

   補注)猪瀬直樹は政治家稼業も体験してきたのだから,もっと深めた議論をすべきところを,このように浅薄な表題をかかげて発言をしていた。

 2) 『MAG2NEWS』の記事数点

 ◇「岸,児玉,笹川にCIA。統一教会と自民を繋いだ『黒幕』たちの魂胆」2022.08.10,https://www.mag2.com/p/news/548142

 ◇「統一協会から目をそらす『安倍マンセー派』に小林よしのり氏が “贈る言葉” 」2022.08.09,https://www.mag2.com/p/news/548009

 補注)要は「日本の安倍晋三・忖度的なマンセー」に比べての話となるものだが,これとは格段の差で,韓国側の「文 鮮明,韓 鶴子夫妻様 バンザイ」の響きほうが,とても大きく聞こえる風景が現われていた。

 そうした日韓間の統一教会仕込みの風景は,「これまでの自民党⇔統一教会の間柄」となって実在してきた緊密な政治的な関係であるゆえ,誰もが知覚できるものになった。

 安倍晋三は,極右分子たちに向けて「嫌韓・反韓」の意識を煽る所作を盛んに率先,垂範してきた。ところが,その事実に相反して,統一教会とはたいそう親密な関係にもあった「彼の裏側の暗い立場」は,ふつうの日本人たちの感じる反応としてならば,またもやアベに大ウソをつかれ,ずるく欺されたことになる。
   
 3) 「ヤクザ,右翼,統一教会。反社勢力を利用し続けてきた自民党の自業自得」2022.08.05,https://www.mag2.com/p/news/547740

 補注)「統一教会・世界平和統一家庭連合」は反社会的団体である。しかし,平和とか家庭という世間体には聞こえのよい用語を前面に立てて,自身の反社会的な政治面の素性を隠し,偽ってきた。この点は,公明党が「平和と福祉の政党」である事実を強調してきた政党である点と,不思議ではなくごく自然に一致する。

 本ブログ筆者はすでに,「統一教会風自民党・創価学会味公明党」という表現を採用していた。

 カルト的宗教の強い影響を受けている基底面から見返せば,ほぼソックリさん同士であった両党が,いままで現に野合の連立政権を組んできた経緯は,そもそも「民主主義を破壊する宗教的な要素」としてしか認知できないはずだったのだから,この国の政治がよくなるわけなどなかった。

 4) 「つけるクスリがない。福田達夫氏ら自民 “ボンボン” 議員の劣化ぶり」,佐高 信『佐高 信の筆刀両断』2022.08.08,https://www.mag2.com/p/news/547905

 日本政治のなかでもとくに,この国の政治的な体力を落とさせ,かつ顕著に弱化させてきたのが,ほかならぬ世襲制度であった。

 「地盤・看板・カバン」をもてる者の側においてこそ,政治の私物化傾向がより堅固なかたちで強められてきた。それがために,政治の世界に参入しようとこころざす,そのほかの市井の人びとに対する障壁:条件が,一貫して不当かつ不必要に高められてきた。

 その「外部向けの障壁」に囲まれ守られている世襲政治家の連中は,現行の選挙制度を変革すること,すなわち「民主主義」本来の理想・目標を取り戻すことに反対である

 彼らは,不合理で理不尽な選挙の制度であっても,現状維持に汲々としていたいがために,家業のものになっているかのような「世襲的な政治家の立場」を手放すことを嫌がっている。(参照終わり)

 「世襲3代目の政治屋」たちが「自国政治を悪乗り的に占有している」実態が,未来永劫に続くかのように観念させられている「日本の政治」は,どこかの部品(歯車やネジ)が完全に破損したまま,交換してもらえないでいる。

 日本の政治社会に浸透してきた似非宗教団体の「統一教会・世界平和統一家庭連合」の教義的な思想は,「家庭」というものを異様に尊重したがる精神に留意すると,世襲政治に無関係とは思えない。

 5)「旧統一教会と接点のある自民党議員は,教団と関係することで,党員ノルマ『1000人党員獲得』についても尽力してもらっているのではないか。自民党議員だけでなく党員の多くが教団信徒の可能性もある」『板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」~ニュースにブログ~』2022年08月15日 20時11分27秒,https://blog.goo.ne.jp/itagaki-eiken/e/ef3d1333440df93bac4e94c45c0699a8  という指摘は,まんざら的外れとはいえない。

 板垣英憲はこのブログで,つぎのように語っていた。

 旧統一教会問題の幕引きを狙って前倒しした内閣改造のはずが,教団と関係のあったことを認めた閣僚7人を交代させたにもかかわらず,新内閣からもまたもや7人の教団関係議員が発覚かと思えば,葉梨法相がくわわり,結局改造前より1人増えて8人という,笑うに笑えない皮肉な結末になっている。

 つづいて,副大臣・政務官が発表されると内20人に接点があることが分かった。教団に汚染されていない真っ白な議員は,皆無なのではないかと思えてくる。身体検査もロクにしていないのではないか。それかもしくは,教団とはかたちばかりの決別であって,裏では「今後ともよろしく」の意味の改造だったとさえ思えてくる。

 補注)以上の板垣英憲の指摘は,その後の現在,2023年12月21日になっても岸田文雄政権のもと,なにも変わっていない。

〔記事に戻る→〕 統一教会に世話になるメリットにはいくつかある。

 一番はなにより,選挙支援だ。対戦相手の選挙妨害も辞さずに,信仰のためと長時間にわたって懸命に働いてくれる。

 また,街頭演説の聴衆として,信者がサクラとなって多数集まってくれる。サクラでも人だかりができていれば,一般の人も自然と集まってくるものだ。

 補注)安倍晋三が7月8日,奈良市で街頭演説をしたさいも,近くにある「世界平和統一家庭連合 奈良家庭教会」から聴衆として会員が動員されていた。

〔記事に戻る→〕 二番目は,無給で働く秘書が送りこまれること。これは,監視の意味でもあるのだが,秘書給与の捻出に頭を痛めている議員にとっては,無下には断われないありがたい話だ。

 秘書としての訓練がすでにされてきているので,即戦力となる。そして三番目は,自民党の国会議員が課せられている党員ノルマ「1000人党員獲得」に一躍買ってくれるところだろう。

 以上の板垣英憲の話を受けてさらに,関連する記事からつぎのものを任意に,主に表題(の表現)が中心となるが,列記しておく。

 1)   亀井洋志「なぜ統一教会問題は放置された?  『失われた30年間』有田芳生らが振り返る  旧統一教会」『AERA dot.』2022/08/16 08:00,https://dot.asahi.com/wa/2022081200024.html

 安倍元首相が昨〔2021年〕年9月,旧統一教会の「友好団体」である「天宙平和連合」の集会にビデオメッセージを送ったことが,山上徹也容疑者が安倍氏に殺意を抱くきっかけとなった。

 教団と政治家のただならぬ関係が表面化したわけだが,朝日ジャーナルの1986年7月25日号には,その後の展開を予感させる記事が掲載されていた。

   (中略)

 文 鮮明氏が反共を旗印に1968年に設立した政治団体「国際勝共連合」……は,各地の大会で「スパイ防止法を推進する議員を当選させよう」と呼びかけた。結果は,自民党の圧勝。〔当時の〕『朝日ジャーナル』の記事では,勝共連合が応援した130人の候補者が当選したことを報じている。

 2)「『旧統一教会と政務三役,調査行う必要ない』と政府が答弁書を閣議決定」『情報速報ドットコム』2022年8月16日,https://johosokuhou.com/2022/08/16/60792/

 つまり,その調査などしなくとも板垣英憲が前段で述べたような疑い,つまるところ,「教団に汚染されていない真っ白な議員は,皆無なのではないかと思えてくる」点を,わざわざ調べる必要などないと開き治っているのが,すなわちいまの岸田文雄政権。

 3)「統一教会総底なし総汚染で分かった自民党の “自称保守” の身勝手な正体」『日刊ゲンダイ』2022/08/15 17:00,https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/309780

 要は,「統一教会」の「底なし総汚染」状態にあるのが自民党の実情だという指摘である。マスコミ・メディアはあれこれ議員たちにアンケート調査を送り,「統一教会・世界平和統一家庭連合」との関係を訪ねているが,肝心の岸田文雄は答えていない。多分,汚染組なのかもしれない。大なり小なり,にである。

 補注)「岸田首相 統一協会系トップと面会か 会見『承知していない』 梶栗氏は勝共会長」『しんぶん赤旗』2023年12月5日,https://www.jcp.or.jp/akahata/aik23/2023-12-05/2023120501_01_0.html

 4)「旧統一教会に『解散命令』は出るのか… 専門家は『弱みを握られている政治家は教会を生きながらえさせるのでは』と疑問視」『Smart FLASH』2022.08.14 11:55,https://smart-flash.jp/sociopolitics/195853/1

   この『Smart FLASH』の記事は,最後の段落をつぎのようにまとめていた。

 解散命令が出る可能性はあり,世の中の趨勢はそっちに向かうと思います。ただ,どこかでブレーキがかかる可能性がある。それはまさに,政治家が教会に弱みを握られているから。

 教団を追いこむと,深い付き合いをしていた証拠が出され,裏で動いていた金の問題も明るみに出る。証拠を掴まれている政治家は,なんとか教会を生きながらえさせる方向へ動くのではないか。

 岸田首相率いる宏池会が,安倍派の清和会にどこまで踏みこめるかにかかっているでしょう。

 聞いたところによると,韓国の本部は,追及のほとぼりが冷めるのを待って幕引きを図る姿勢のようです。でも,その目論見を実現させてはいけない。

 国葬までは社会の関心は続くでしょうが,ほかに大きな事件が起きたり,問題の目新しさがなくなって人々の注意が向かなくなるのが心配です。メディアの使命が問われています。

 補注)ここでは『読売新聞』のつぎの記事を紹介しておく。

 
 5)「岸田新内閣 “統一教会汚染” にダンマリの傲岸不遜  閣僚軒並み『無回答』でSNS大炎上!」『日刊ゲンダイ』2022/08/15,https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/309772

 つまり,いまのような統一教会騒ぎの最中だから,じっとガマンをして黙っているのが一番というわけである。この『日刊ゲンダイ』の記事は冒頭でこう書いている。

 --このままウヤムヤにする気か。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)をめぐって,共同通信が全国会議員(712人)に実施したアンケートで,「関係がある」と答えた議員が106人,うち82人が自民党議員だったが,

 見過ごせないのは,岸田首相や麻生副総裁ら一部の幹部が調査に「無回答」だったこと。ほかの閣僚もマトモに説明する気がないようで,SNSでは「フザケルナ」と炎上している。(引用終わり)

 21世紀に入ってから日本の政治は実際に「ふざけた政府組織」が継続してきた。その最初の10年は小泉純一郎と竹中平蔵のゾンビ・コンビでもって,日本という国を貧乏な国に追いやる経済政策を熱心に実施していた。

 その後,民主党政権の3年ほどをはさんで,2012年12月に復帰した「統一教会風自民党と創価学会味公明党の野合政権」は,いよいよ本格的にこの国の民たちの大多数を,より貧困層のなかにさらに追いこむ国家運営をしてきた。安倍晋三が首相をやっていた時期の話題は,その程度のものであった。

 しかも,旧統一教会:「統一教会・世界平和統一家庭連合」は,実質,野放し状態を許される状態を維持しつづけ,その結果のねじれた問題のひとつとして,「安倍晋三が銃殺される顛末」を生んだ。

 6)「まるで “統一教会内閣” … 岸田改造内閣が抱える『統一教会爆弾』」『FRIDAY DIGITAL』2022年08月14日,https://friday.kodansha.co.jp/article/259535

 もう完全に「語るに落ちた話題」となっていた。この『FRIDAY DIGITAL』はこう指摘している。適宜に取捨選択して引用する。

 a) 統一教会との関係を断ち切るどころか,増えているじゃないか。呆れてモノがいえない。

 統一教会の集まりに岸田首相が参加した可能性もある。党内では,自民党の党員・党友の1割ほどが旧統一教会の信徒ではないかとさえいわれています。自民党は,骨の髄まで統一教会に浸食されてしまったのかもしれない。

 b) 安倍長期政権の端緒となる2012年9月自民党総裁選は国会議員票と都道府県票総数498票,過半数は250票だった。

 1回目の議員,党員投票結果は,石破 茂:199票(議員34票,党員165票),安倍晋三:141票(議員54票,党員87票)と過半数を獲得できず,議員のみによる決選投票となった。そして,安倍晋三:108票,石破 茂:89票となり,安倍氏が勝利を収めた。

 「いま自民党内では『このとき,統一教会関係議員が安倍さんに票を集中させ,逆転したのではないか』といわれています。無記名投票だったわけだから,いまさら真相は分かりません。ただ,そうした話が流れているのは事実で,なにやら得体のしれない不気味な空気に自民党は覆われてしまった」(ベテラン代議士)。

   自民党と旧統一教会の関係は,もはやいい逃れできない事態に追いこまれているのではないか。

 18年もの間,認められなかった「世界基督教統一神霊協会」から「世界平和統一家庭連合」への名称変更がどのような経緯で承認されたのか,国民は注意深くみている。名称変更問題をめぐっては,下村博文氏の関与が取り沙汰されているが,かかわっている可能性があるのは下村氏だけではないという。

 内閣改造でリスタートするはずだった岸田首相の思惑は大きく外れてしまった。国民は,旧統一協会と政治の関係について納得できるような説明を求めている。(引用終わり)

 ところで,浅井基文『日本政治の病理-丸山眞男の「執拗低音」と「開国」に読む-』三一書房,2020年8月15日発行は,安倍第2次政権をめぐって,こう批判していた。

 安倍政治は,2つの学園問題,「桜」問題,法務省人事問題,そして今回のコロナ問題と,その専横ぶりと反人権・反デモクラシーの体質がますます露わになっている。
 
 末期症状といって過言ではない。この本が刊行される予定の〔2020年〕8月15日以前に安倍政権が野垂れ死にしていることを願う(293頁)。

 だが,自民党と公明党の野合政権はまだ続いている。公明党にとって「統一教会の問題は鏡に写る分身の問題」を意味するゆえ,いままで沈黙を余儀なくされている。

 公明党はこれからも “沈黙は金なり” の態度を維持するに決まっている。公明党が自民党の統一教会問題を批判しても,「天に唾する」結果を呼びこむだけだから……。

 安倍晋三は首相の座を2020年9月16日に降りていた。しかしそのさい,自分の仕事を総括することもなく,また辞職する理由となった病状の診断書を提出することもないまま離れていった。

 実は,それまでに自身が山積させてきた数々の罪業に対して司直の手が伸びてくる気配を払いのけるために,安倍が辞職していた。

 これほど無責任な「世襲3代目の政治屋」が,首相在任期間で最長を記録したというけれども,牛のよだれ一垂れ程度のそれだったとみなしておけばよい。

 ともかく2022年7月8日,安倍晋三は山上徹也に銃殺された。ほかに安倍を撃った狙撃者がいたか,その疑いの余地を究明しておくべき点も含めて,日本という国はいまもなお,19世紀的な後進性をめだたせるばかりで,一向に進歩する展望を示せないまま「2022年7月以降のこの国」となっている。

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