見出し画像

日本国の惨状,元々ダメだったアベノミクス(アホノミクス)と初めからバツ印のキシダメノミクス,「世襲3代目の政治屋」はともに「亡国のための首相」

 アベノミクス(アホノミクス)からキシダメノミクスへ飛翔しようとしたものの,やはりただちに墜落した「日本の政治経済の乱行的惨状」に対して「番犬(ウォッチ・ドック)の役目」を果たせなかった大手新聞業界,そしてテレビ・キー局などは,いったいなんのために毎日,新聞を発行し,放送をおこなっているのか?

 ※-1 安倍晋三「裸の子どもの王様のための政権」から岸田文雄「なにもかもカラッポになった世襲政権」へと一気に墜落した日本の為政

 新聞紙,それも大手紙の紙面をいくら読んでみても,もうひとつピンとこない(あるいはまた,訴える論点が明確ではないし,あるいはグッとこない)記事が多いなかで,いまでは唯一,まともに自社なりに分析・批判,指摘・意見を添える記事を書いているクォリティ紙が,『日刊ゲンダイ』である。

 補注)関東地方では『東京新聞』が『日刊ゲンダイ』並みにがんばっている地方紙として存在するが,本日は,いくらか性格が違う新聞紙の『日刊ゲンダイ』を話題にとりあげている。

 ところで,そのクォリティ・ペーパー(quality paper)とは,エリート階層を読者とする質の高い新聞を指し,日本語では〈高級紙〉と呼ばれ,広く大衆に読まれる娯楽的な大衆紙とは,対比的に用いられる。

 その説明にしたがえば,そのクォリティ・ペーパーとは日本の場合,『朝日新聞』『毎日新聞』がいちおう,リベラル派の新聞紙として挙げられるものの,最近はすっかり元気がなく,だいぶヘタレた新聞の発行元になっている。とくに朝日新聞社は最近,すっかり腰が定まらない社風にまで落ちこんでいる。

 補注)『週刊文春』が2023年(今年の)7月から8月,9月にかけてとなったが,岸田文雄政権が9月13日に内閣改造人事をおこなうころまで,長期間を費やして集中的に報道してきた「内閣官房副長官木原誠二」(この副長官は3名いるが木原はその筆頭)の問題は,

 木原誠二の「配偶者の父」が容疑者として推定されている殺人事件(時効なし)は,岸田政権を一瞬で沈没させるだけの(もしかしたら2度でも3度でも倒壊させるほどの)大事件であるにもかかわらず,10年前の大手紙であれば当然に大きくとりあげ報道するはずだと思われたところが,その大手紙がなぜか,この事件をいっさいとりあげていなかった。

 『週刊文春』にスクープを抜かれてしまった事件だからか,それを後追い的に報道するには,あまりにも抜かれすぎてしまった。それがために,大手紙のみならず地方紙までが木原誠二が関連する殺人事件をまともに報道しないといったふうな,いってみれば,とても尋常と思えない「日本の新聞業界なりにみせた不可解な報道態勢」が披露されていた。

 もしも,大手紙を先頭にこの木原誠二の義父(実は公安関係の警察官であった)の関与が強く疑われているその事件を,各紙がまともにとりあげ報道していれば,岸田政権の2つや3つは簡単にすっ飛ぶほどの「日本の権力構造の一端」,その闇域に隠されている「警察権力側の暗がりの部分」は,容易に解明されるはずであった,と思われる。

 だが,木原誠二の問題がいまだになのだが,完全に週刊誌ネタとしてしかあつかわれていなかった。この事実は,大手紙をはじめ日本の新聞界が,完全に腰抜け状態に追いこまれているごとき,実にみっともない事情を教えている。
 
 さらに『読売新聞』は,大衆紙として発行部数が一番多いが,その編集方針は政府べったりの無主体ぶりを特性にもち,新聞を発行しているせいで,ときおり「社会の木鐸」とは縁もゆかりもない報道を,平然とおこないながらも恥じることがなかった。

 また『日本経済新聞』は財界新聞としてその利害・イデオロギーが露骨に過ぎる立場にあるだけに,いつも「金儲け主義」路線が鼻につく。その意味でも体制ベッタリ路線を明白な社是とする会社である。原発も大好きな経済新聞であった。

 くわえて,『産経新聞』は取材もしないで記事を書いたことのある幹部(幹部)記者もいたりで,しかも,政権側のお尻をみながら,その動く方向に合せて紙面を構成する基本方針でもあるから,2流紙の資格ならば寸止め的には確実に有する新聞社であった。

 もっとも,関東地方では『東京新聞』が地方紙(『中日新聞』の東京別社)として,全然ヘタれずに,まともな報道機関として存在している。望月衣塑子記者が有名であるが,つぎのような発行部数となっている。後段で掲出する全国各地の地方紙の発行部数と比較してみたい。

関東地方における『東京新聞』

以上に触れた日本の新聞社が発行する新聞紙のなかには「高級紙(クォリティ・ペーパー)」(本当にその資質があったかについてはなお議論の余地もあるが)が存在していたはずだったが,

 最近の紙面を観るかぎり,とりわけインターネットのウェブ版をみすえてとなるが,新聞という「商品同士としてのそれぞれ間のかねあい,折りあい」のつけ方が,いまだに上手にさばけないでいる。結局は,自紙の発行部数を,各紙ともに漸減させるほかない状況に追いこまれているなか,その基本的な傾向に歯止めがかけられないでいる。

 そのなかで『日刊ゲンダイ』は,講談社を中心とした音羽グループに属する出版社の株式会社日刊現代が発行するタブロイド判夕刊紙として,1959年3月 に『週刊現代』から分離独立した新聞紙であるが,この新聞紙だけは意気盛んな調子を披露できている。

 『日刊ゲンダイ』は,国立国会図書館の分類ではスポーツ紙・夕刊紙に分類されている。また,日本新聞協会には加盟しておらず,雑誌出版社の業界団体である日本雑誌協会に加盟している。

 最近ではという意味になるが,この『日刊ゲンダイ』を読まないと,われわれが大手紙だけを購読しても日本の政治社会の暗がりの奥底までよくみえないところが,なんとはなくでもよりマシに理解できる気分になれる。

 実に情けない日本の新聞業界全体の現状に関して,前段においてそのようにグジグジとした感想を抱くほかないなかで,ともかく『日刊ゲンダイ』の報道から汲みとれるごとき,それなりに発揮されているがんばり精神に対しては評価すべきものが十分にある。


 ※-2 インターネット時代の新聞紙

 磯山友幸・経済ジャーナリスト「この1年で200万部以上も減少した…全紙合計で3084万部しかない『日本の新聞』が消滅する日 部数減少のスピードはむしろ加速している」『PRESIDENT Online』2023年1月16日 13:00,https://president.jp/articles/-/65446 という記事は,

 この磯山の記事は,つぎの小見出しの項目を立てて記述していたが,紙の新聞が凋落の途を確実に経てきたからといって,ニュースそのものの価値がなくなるなどいった事由になるわけはない。この点はわざわざ断わるまでもない。

  この25年間で「5376万部」から「3084万部」に

  スマホが新聞を凋落へと追いやった

  「新聞をほぼ毎日読む」という大学生は1%

  「ニュースサイト」と「デジタル版」はまったく別物

  紙では「求めていないニュース」に出会える

  SNSの利用者は「他人の意見」を聞こうとはしない

  「ジャーナリスト」を育てる場所が減っている

磯山友幸

 朝日新聞社や毎日新聞社は,高級紙志向の方針にこだわっているうちにウェブ版への同時並行的な展開に関して,かなり後れをとってきた。アメリカの『ニューヨークタイムズ』(The New York Times)が2022年5月末時点で,デジタル版 832万8千人,紙媒体 78万人の合計910万8000部になっているが,日本の有力紙はその数字に比較すると,だいぶ少なく冴えない。

 ここではつぎの関連する情報を挙げておきたい。具体的な社名としては『日本経済新聞』と『朝日新聞』のみ参照するが,『朝日新聞』は電子版のほうが低調なままの「全体の購読数」だとみなすほかない。

 その前に参考として挙げておきたい統計が,「新聞の発行部数と世帯数の推移」である。

新聞全体の発行部数と世帯数の推移

 つぎに,『日本経済新聞』と『朝日新聞』の購読数を,電子版のそれも併せて記した記事を,それぞれ紹介する。

『日本経済新聞』電子版購読者数・資料
『朝日新聞』電子版購読者数・資料

 すなわち,日本の新聞社は,紙の新聞とウェブ版の記事との組合わせを抜本から質的に転換させる「時代の趨勢」に乗りきれていないだけでなく,新聞「紙中心の製品系列」に執心する基本路線を,今後に向けてどのように構築していけばいいのか,いまだに定見がないかあるいは特定の実現力が不足していた。

 読売新聞社は自社の記者がSNSの社員としての利用を禁じているといった,いまどき不思議な言論機関である。この新聞社は原発推進派であり,また政権の意向を請け負っているのか,国民・市民・庶民への圧力をかけるための記事を進んで捏造したり,もっとはっきりいえば「弾圧するための紙面作り」に,社会部長みずからが協力して執筆までするといったごとき,言論機関としては風上にも置けない社風を「売り物」にしているとまで映る。それが新聞社の立場としては自殺行為であることは贅言を要しまい。

 ここで,関東大震災(1923年)の発生後に起こされた「朝鮮人などの大量虐殺事件」に関連する話題となる。その翌年,国家官僚であった正力松太郎が読売新聞社の社主に転じていた。この正力は,その大震災の直後に「朝鮮人や社会主義者,日本人であっても地方の人びと」が虐殺される原因(遠因?)となった「国家の立場から特定の情報発信」をおこなっていた事実が,忘れられない。

 とまれ,ひとまず以前であれば高級紙だと位置づけることができた新聞紙『朝日新聞』『毎日新聞』は,最近においてより顕著となってきたその新聞紙としてへたれ具合が問題になっている。

 一方,『読売新聞』はときおり「権力側の走狗」みたいな報道(いわゆるでっち上げ記事の捏造)を編集するといった,ある意味「第4の権力機関」として逆張りをあえてするごとき,いわば犯罪行為そのものに酷似した行動に走っていた。この新聞社も発行部数を急速に減少させていることに変わりない。

紙の新聞は凋落しつつある

 つぎの表は地方紙の発行部数である。「紙」の分だけであるが。

表の上半分
表・下半分


 ※-3『日刊ゲンダイ』というダブロイド版新聞紙の存在意義

 新聞業界の以上のような商況のなかで,『日刊ゲンダイ』は新聞紙としては,基本的にはイエロー・ペーパ-である紙面作り(いわゆる “エロ・グロ・ナンセンス路線)を止めたわけではけっしてないものの,通常の新聞紙と同様の紙面部分に関して(かぎって)は,奥歯に物が挟まった表現しかできなくなったかのような大手紙を尻目に,いまではその代わりに存在しているかのようにして,必死に報道している。

補注)エロ・グロ・ナンセンスとは,エロ(エロティック・煽情的),グロ(グロテスク・怪奇的),ナンセンス(ばかばかしく・くだらない)を組み合わせた語で,昭和初期の文化的風潮を示す語である。1930〔昭和5〕年に,それまで使われていた「エロ・グロ」に「ナンセンス」をくわえて使われはじめた流行語とされる。

 さて,今日の※-4以下に記述する内容は,岸田文雄政権になってからというもの,この国は安倍晋三の政権よりも,もっと惨憺たる政治と経済の状況にはまりこんでいる。

 にもかかわらず,その惨状についての自覚症状もなしに無邪気に喜んでいるというか,自分の政権維持さえ当面においてできれば,国民・市民・庶民のためになるはずの「国家の為政」などどうにでもなれ,と表現していいくらい,岸田文雄(キシダメノミクス)は,この国をますますダメにしている最中である。

 そうした際限のなくなったような日本国のみじめな現状について,つぎの※-4と※-5は,何日か前の『日刊ゲンダイ』の記事から選んだ2つを紹介するかたちで,より分かりやすく説明していきたい。

 われわれは,いま暮らすこの日本の政治と経済や社会は,現在,岸田文雄のキシダメノミクスそのものの進行形をもって,そして以前においてからすでに,性懲りもなく日本という国を破壊しつづけてきた安倍晋三のアホノミクスを継承するそのかたちにもなっていたが,これまでさんざんに破壊されつくしてきたこの国のかたちをめぐっては,それこそ自分の感性・知性・理性を総動員しつつ,自身の目線で確実に把握しておくための努力が必要不可欠である。

 

 ※-4「〈金井啓子の伴走で伴奏〉新聞は冬の時代から氷河期へ それでも消えない役割と使命」『大阪日日新聞』2023年06月19日,https://www.nnn.co.jp/articles/-/70412

 『大阪日日新聞』が〔2023年〕7月末で休刊になる。今〔6〕月13日に同紙1面で告知されていた。この話題は他紙やテレビでも報じられていた。新聞が冬の時代に入って久しい。

 日本新聞協会が調査した「日刊紙の都道府県別発行部数と普及度調査」によれば,2022年10月現在の総発行部数は前年比で6.6%減の3084万6661部(前述に記述と図表あり)。これは18年連続の減少で,1年で218万504部も減った計算になる。

 日本ABC協会によると2022年上半期の全国紙の発行部数は,つぎのとおりである。もっとも現状の本当らしい数字はこれから1割以上,さっ引いてみる値に近づいているかもしれない。

  朝日新聞は 約430万部
  読売新聞は 約686万部
  毎日新聞は 約193万部
  日本経済新聞は 約175万部
  産経新聞は 約102万部

 新聞の総発行部数が1年で200万部以上も減っているということは,大きな新聞が1紙ずつ毎年消えていくようなものだ。冬の時代どころか氷河期である。

 私は大学でジャーナリズム論を教えており,学生たちに「なぜ新聞を読まないか」と尋ねることがある。その理由はさまざまだが,一番大きな理由は「なくても困らない」「ニュースならスマホで読める」というものだ。

 あるいは「お金を払ってまでニュースを読みたいとは思わない」という理由もある。それにしてはNHK以外は無料であるはずのテレビのニュースもあまりみないという。

 要するに,スマホが登場してSNSが発達すると,若い世代にとって既存メディアは化石のような存在で,自分たちには縁のないものという意識なのだ。

 ところが面白いことに,講義で実際に新聞を読んでもらうと,なかには興味をもつ学生も現われる。スマホから流れてくるニュースと異なり新聞は物理的な広さをもっている。

 紙面に目を向けると記事だけではなく漫画や天気予報,また広告などさまざまな情報が飛びこんでくる。また,紙面には複数の見出しが並んでいることで,数多くの記事の概要も判別できる。

 学生にとってこの経験は新鮮なものらしく,自分たちが単なる食わず嫌いだったことを悟る者もなかにはいる。

 事件や事故,また政治問題といった世の中の出来事を伝えるメディアは必要だ。民主主義社会において国民のしる権利を代行するメディアの役割が消えることはない。ただし姿形を変えることはある。紙の新聞が消え,ネットに居場所を変えて役割を果たすことはこの先も求められるはずだ。(引照終わり)
 

 ※-5「〈金子勝の「天下の逆襲」〉お得意の人事に溺れ,国民の支持失った3代目政治家の愚か」『日刊ゲンダイ』公開日:2023/09/26 17:00,https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/329657

 この金子 勝の寄稿記事は,岸田文雄のことを「愚か」という大前提,つまりそうした「絶対的な判定」を置いた話として書かれていた。

 a) 岸田首相は〔2023年9月〕13日に内閣支持率低迷を克服するために内閣改造・党役員人事をおこなった。しかし結果は無残で,支持率はほとんど上がらなかった。

 「人事好き」を公言する岸田首相はみずからが今後の政局を優位に立ちまわるための人事を優先した。来〔2024年〕秋の総裁選での無風再選を狙い,ライバルを閣内や党役員に取りこんで,潰しにかかったのだ。

 最大のライバルと目された茂木幹事長は続投だ。彼は「異次元の少子化対策」の財源をめぐって,「歳出削減」「保険料収入の活用」などとあれこれ主張していたが結局,確たる財源はみつからなかった。岸田首相はそんな無責任な人物をクビにせず,自己保身のために要職に残したのだった。

 総務省の行政文書や放送法解釈変更問題でミソをつけた高市経済安保担当相の留任の狙いもみえすいている。イメージが悪いまま閣内にとどめ置けば「ポスト岸田」の目はなくなるとの算段だろう。

 マイナ保険証問題で国民の不評を買い,どうみても失敗を続けている河野デジタル担当相も留任である。閣内に取りこみ,延々と失敗の責任を河野大臣になすりつける腹積もりだ。これも,ライバル潰しにほかならない。

 他方で,首相に次ぐ岸田派内の有力者・林 芳正衆院議員は外相から外した。これは,党内最大派閥の安倍派への “気遣い” だろう。安倍元首相亡きあとの地元選挙区では林議員は,安倍派と対立。

 中国との接点があるとされる林議員に嫌悪感を抱く安倍派の顔色をうかがい,閣外に放り出したということだろう。

 b) 肝心の政策はボロボロ

 ライバル潰し,派閥均衡を優先した結果,肝心の政策はボロボロだ。

 少子化対策の財源はいまなお不透明なまま。安倍派の意向に従い大規模補正予算を組んでエネルギー補助金を積み増そうにも,倍増を決めた防衛費の財源捻出とバッティングして十分なケアはできない。

 おまけに,大規模補正予算を組むために赤字国債を発行すれば,日銀は国債買い支えのために金融緩和を続けざるをえなくなる。実際に,〔9月〕22日に1ドル=148円まで円安が進行し,生鮮食品を除く消費者物価指数が3.1%に高止まりする中,日銀は金融緩和継続を決めた。このままでは円安は止まらず,インフレ解消は遠のくばかりだ。

 補注)2日前には150円の水準までドル・円相場が下振れしていたという為替相場の情報も一時的に現われていた。いまや,すでに1ドル=360円であった「円の実質水準(貨幣価値)」の時代が再来している。

 つぎの『日本経済新聞』記事は1週間ほど前の報道であって,関連する内容を伝えている。

円の実力が半世紀前の水準に低下

 つまり,とうとう,その実力(購買力平価)で評価すると円は,その1ドル:360円の時期よりも “すでに低くなっている” というのだから,岸田文雄はいったいなにを考えて,内政にとりくんでいるのか?

 というよりは,彼は首相の立場として考えておらず,実は自身の頭で考える能力じたいが最初からなかった。それがゆえに,そのように采配しておくほかない政治屋であった。そういうわけで「世襲3代目の政治屋」も,いよいよ本格的に「売り家と唐様で書く三代目(うりいえとからようでかくさんだいめ)」の本領を,露骨も露骨に,発揮しだした。

 この岸田文雄首相のその「異次元的な脳天気さ」というか,「世襲3代目の政治屋」としての無知・無恥さの加減ときたら,この点に関してだけは一級品である。だからか,一国の最高指導者としてやること・なすことは,幼稚園児並みであった。この点は安倍晋三と同格・同類であった。

 しかしそれにしても,その稚拙きわまりない政治力をめぐり,しかもその根幹からの不在ぶりを補ってきたのが,あの木原誠二・前官房副長官であった。

 2023年9月13日の発足した内閣改造人事体制では,この木原誠二をその職位から外してはいたものの,自民党務である「幹事長代理と政務調査会長代理の2つを兼任」させておき,これからもこの木原を右腕に活用していくつもりである。

〔記事に戻る→〕 この体たらくで支持率を回復させることができると思ったのだろうか。結局,岸田首相は “お得意” の人事に溺れて,肝心要の政策転換のチャンスをフイにしたということだ。みずらの地位を守ろうとした結果,国民の支持をうる機会を失ってしまったのだ。

 愚かな3代目政治家らしい振るまいだといわざるをえない。(金子・引用,終わり)

 c) こうした内閣改造人事をおこなってみた岸田文雄政権の心臓部には,これからも,自民党務の関係でそのより奥深く陣取るかたちで居残った木原誠二の問題は,大手紙が早い時期からまともに取り上げ報道していれば,岸田の政権はおそらく,跡形もなく空中分解するかたちで崩壊していたはずである。

 しかし,その程度にまったく貧相であり,実質的な中身のない政権がいまだにのさばってい最大の原因は,大手紙のみならずテレビ・キー局などのメディア・マスコミが,木原誠二の問題(義父が現在の妻の前夫に手を下したと濃厚に疑われている殺人事件)の報道そのものに関して,まるでへっぴり腰であった以前において,そもそもなにも報道しようとしなかった姿勢にみいだせる。

 日本はいままで十分に先進国のつもりであった。ところが,21世紀が10年ごとに進行していくなかで,みごとといってもいいようにガタンガタンと音をたてるかのようにして,国家の品位・品格の問題を初め,政治経済・産業社会の構成・中身をドンドン悪化させてきた。

 もちろん,2010年代に登場した安倍晋三の第2次政権は,その原因としてならば,「悪魔的な(悪夢的なそれではない)大失政」を,一貫したかたちで,しかもその自覚もないまま積み上げてきた。

 という仕儀の結果が,2020年代前半になったこの国の現状をして,「経済3流・政治4流」だと,評定させるほかなくなっていた。自民党内では「世襲3代目の政治屋」が数多くいるせいで,日本の政治そのものを淀ませるための〈秘訣〉ならば満載している。

 参考にまで触れると,2023年版における日本の「報道の自由度」順位は180国中68位。ちなみにその最下位は北朝鮮が控え,韓国は47位,台湾35位だというから,日本は政治的な次元では先進国などとはけっして評価されえない。

安倍晋三君はどう思うか


 ※-6「恐るべきトンチンカンと能天気 亡国の経済対策を嘲笑う株価の続落」『日刊ゲンダイ』2023年9月27日,https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/329714

 以上までの記述を踏まえておくていさいで,この『日刊ゲンダイ』の記事は紹介だけにしておく。一読するだけで呆れかえる内容であるが……。

 a) なんの恩恵もない庶民は,もっと怒った方がいい。

 〔9月〕25日夜に物価高対策や賃上げ支援などをうたう総合経済対策の柱を表明した岸田首相。最近お気に入りのモニターを使った説明で示したのは,以下の「5本柱」だ。

  ▽ 物価高から国民生活を守る
  ▽ 持続的賃上げ,所得向上と地方の成長
  ▽ 成長力につながる国内投資促進
  ▽ 人口減少を乗り越え,変化を力にする社会変革
  ▽ 国土強靱化など国民の安心・安全

 26日の閣議では,これらの具体的な対策を10月末までに取りまとめるよう閣僚に指示したのだが,この経済対策の中身のなさには驚くほかない。いったい,このメニューのどこが物価高対策なのか。

 賃上げにしたって,賃上げを実現した企業に対して減税措置をおこなうというのは,これまでやってきた賃上げ税制の継続でしかない。そのやり方では物価上昇にとても追いつかず,実質賃金は16カ月連続のマイナスなのに,ナントカのひとつ覚えみたいに同じことを続けるというのだ。

 岸田政権の無能無策を嘲笑うかのように,〔9月〕26日の日経平均株価は朝から売りが先行し,前日比363円57銭安の3万2315円05銭と大幅反落。約1カ月ぶりの安値水準となった。もともと,たいして期待はしていなかったにしても,予想をはるかに上回る経済無策ぶりで,マーケットからも完全に見放されてしまった。

 b) 緩和策をやめれば済む話

 「岸田首相は『成長の成果である税収増を国民に適切に還元する』というのですが,高騰する電気・ガス料金やガソリン価格の負担軽減策は,相変わらず企業に対する補助金です。それで電力会社やガソリン元請け会社は黒字を計上している。国民ではなく,企業への還元なのです。物価高対策というのなら,まずは輸入物価を押し上げている円安を止めることを考えたらどうなのか。日銀の異次元緩和をやめさせれば済む話です」

経済評論家・斎藤 満

 26日の東京外国為替市場でも円安は進み,円相場は一時1ドル=149円台をつけた。およそ11カ月ぶりの円安水準である。米国で長期金利が上昇していることを考えれば,1ドル=150円台を突破するのも時間の問題だろう。

 これ以上の物価上昇は勘弁して欲しいというのが一般庶民の心の叫びだ。ところが,日銀の植田総裁はいまも「2%の物価安定目標の達成は不確実性が大きい」とかいって,大規模緩和を継続する姿勢を強調している。安定的な物価高をめざすというのだ。誰も求めていない物価高を日銀は追求しつづけ,庶民生活がますます疲弊してもお構いなしだ。

 岸田も経済対策の柱を発表したさい,「新型コロナウイルス禍を乗り越え,経済状況は改善しつつある」と世まい言をいっていた。どこがどう改善しているというのか。物価高に苦しめられている庶民生活の実態がまったく分かっていないとしか思えない。恐るべき能天気ぶりである。だいたい,経済状況が改善しつつあるなら,大規模な経済対策も必要ないはずだ。

 与党内からは,早くも「15兆~20兆円が必要」(自民党の世耕弘成参院幹事長)などと規模ありきの話が出てきているが,いったい,なんのための対策なのか。年内の衆院解散も囁かれるなかで,安直なバラマキの思惑しか感じられない。

 c) 国民負担で物価高のメリットを政府と企業が分けあう

 「コロナ禍で常態化した巨額の補正予算を組むさいに,政府・与党はGDPギャップのマイナスを理由にしてきた。だったら,プラスに転じたいまは,その分だけ歳出を減らすのが筋でしょう。それなのに,なんだかんだと理屈をつけてバラまくのは,財政の私物化というほかない」。

 「それも,財政負担を国民に押しつけて,物価高のメリットを政府と企業が分けあう構図だから,あまりに醜悪です。20兆円も財政出動したところで,企業が甘い汁を吸うだけで,本当に困っている人を助ける施策はひとつもないのです。国民から搾取して自民党のお仲間企業を儲けさせる経済対策ならば,なにもしない方がはるかにマシです」(斎藤 満氏=前出)

 20兆円も支出するなら,期間限定で消費税減税だってできるのに,恩恵を受けるのは一部の法人だけなのだ。その財源は税金で,われわれ国民が負担するのである。こんなアホらしい話はない。
 
 補注)おまけに岸田文雄は安倍晋三の猿まねをするかのようにして,外遊好きである。すでに30兆円もの手土産にしては膨大な「支払い小切手」を,訪問した海外諸国にばらまいてきている。

〔記事に戻る→〕 閣議で経済対策の取りまとめを指示した岸田は「大切なのはスタートダッシュだ」とかほざいていたらしいが,発足から3年目に入る岸田政権は,いつまで経ってもダッシュする気配はない。

 20兆円規模の対策が必要なほど経済状況が悪化しているという認識なら,さっさと国会を開いたらどうなのかと思うが,秋の臨時国会の召集日もまだ決まっていないし,やることなすこと遅すぎる。結局,経済対策なんて名ばかりで,国民生活を支援する目的ではないからだ。

 総合経済対策は10月末をメドに取りまとめるというが,その裏付けとなる補正予算の提出時期は明言しない。通常,補正予算の編成には3週間程度かかるとされる。10月末に対策取りまとめなら,補正予算案の国会提出は11月中旬以降。審議に1週間かければもう年末で,予算の執行も来年になってしまう。

 それで,自民党内からは補正予算案を年明けの通常国会に提出するプランまで出はじめている。デタラメにも程があるというものだろう。通常国会で審議するなら,補正ではなく,来年度の当初予算でやればいい話ではないか。

 d) 都合よく使われる補正予算

 岸田が示した経済対策「5本柱」を観ても,国土強靱化や「人口減少を乗り越え,変化を力にする社会変革」は緊急経済対策とはいえない内容だ。むしろ当初予算で手当てすべきで,年度途中に急いで補正予算を組む類いのものではない。

 「補正予算の方が政治家も役人もやりやすいのです。当初予算に盛りこめなかったものも,補正予算ならアレコレ押しこめる。今回の5本柱だって,お題目を並べただけで中身はないので,利権配分の格好のターゲットです。岸田政権は発足当初から『新しい資本主義』とか『デジタル田園都市構想』などのキャッチフレーズを打ち出してきましたが,どれひとつかたちになっていない」

 「今回も官僚任せで5本柱の体裁を整えさせただけでしょう。家計支援ではなく,選挙を意識したバラマキ策に終わる可能性が高い。岸田首相は国民生活には関心がないのだと思う。政権維持だけが目的で,党内と,自分を支えてくれる官僚機構だけ見ていればいいと本気で考えているのでしょう」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)

 「アベノミクス3本の矢」は結局,1本目の異次元緩和に頼り切り,3本の矢はついぞ放たれなかったが,岸田の「5本柱」は最初から1本も立たせる気がないようだ。

 経済対策なんて看板だけで,目的はお仲間企業や支持団体へのバラマキだということを隠そうともしない。経済対策をまとめ,大盤振る舞いをチラつかせて解散・総選挙に打って出るのか。補正予算を上げて選挙に臨むのか。

 いずれにせよ,補正予算案の規模も,国会に提出するタイミングも,国民生活や経済状況は度外視で,選挙がらみで決まっていく。こんな亡国の経済対策は百害あって一利なしだ。(引用終わり)

 つまり,いまの岸田文雄政権は,まるっきり亡国のためにうごめいていると,この『日刊ゲンダイ』の記事は批評している。

 a) において指摘されていた「その5点」は完全に空念仏であった。それらが,絵空事であるほかない事実は,岸田が2年近く為政を担当してきたなかで,身をもって分かりやすくその具体的な証拠を提供しつづけてきた。

【参考記事】-金子 勝自身の関連する説明,2023年9月29日公開-

 故・安倍晋三は「亡国の首相」との書名をつけられた本を書かれていたが,岸田文雄は多分「廃国の首相」との書名をつけた本が書かれるかもしれない。

 まあなんといっても,「世襲3代目の政治屋」の偉大なる空虚さ,杉田水脈風にいえば「生産性のない身も心も空っぽだった首相たち」は,いまの日本の政治状況においては,もっとも要らなかったし,現に要らない,いわば不急不要の政治屋たちであった。

------------------------------


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?