国際生物学オリンピックまでの道 ~第0回 アウトライン~
※この連載に用いる資料は、高校時代に制作した内部用資料を編集して一般向けに公開したものです。
この資料に基づいた学習の結果に関して、筆者は一切の責任を負いかねます。
生物学オリンピックの概要に関してはこちらから
はじめに
この文章全体を通して、国際生物学オリンピック(IBO)での好成績を目標とする語り口を採っていますが、IBOが生物学の全てではなく、ただ1つ目指すべき道でもありません。
IBOへの挑戦は生物学の深みに触れる手段の1つに過ぎません。IBOに参加するか否かに関わらず、皆様がよき生物学ライフを送れるよう祈っています。
国際大会までの流れ
「敵を知り己を知れば、百戦危うからず」。
ということで、まずは敵を知りましょう。
国際大会までの流れは以下の4(5)段階です。
⓪存在を知る(now!)
①予選に通る
②本選に通る
③代表選抜試験に通る
④国際大会に無事行って無事帰ってくる
このうち特に時間的余裕があるのは、⓪→①と②→③です。
この時間をいかに有効に使うかが、生物学オリンピックを攻略する鍵になると考えています。だってそれ以外の時期は誰でも全力で勉強するでしょ
国際大会で求められる能力は以下の2(3)点です。
・理論試験を解ききる力
・実験試験を解ききる力
(・イレギュラー対応能力)
ここから逆算して各段階で取るべき対策を考えると、
⓪→① 高校生物の地固め・試験への慣れ
①→② 実験試験の地固め
②→③ 国際大会の理論試験対策
③→④ 国際大会の実験試験対策、イレギュラー対策
となります(根拠は各項で紹介します)。
次はこれに即して、各段階で何をできるか述べていきます。
やるべきこと
~予選
・高校生物の理解
・試験への慣れ
~本選
・出題テーマへの嗅覚
・実験試験の経験
・(仲間づくり)
~代表選抜試験
・生物学の体系的な理解
・理論試験の攻略
・(好きな分野の発見)
~国際大会前
・実験試験の攻略
・融合分野の攻略
・(敵を知り己を知る)
~国際大会
・イレギュラーへの対応
・国際交流
・仲間づくり
全体的なアドバイス
対策法を述べた記事はネットの大海原を探せば既にいくつか存在するので、適宜ご参照ください。
現在の環境を鑑みて、私自身が改めて強調したい対策法は以下の3点です。
・高校範囲を疎かにしない
・知ったことを他人に説明する
・論理学の基礎を取り入れる
小手先のテクニックや発展的な知識も大事です。色々なことを知っている人はカッコ良く思えます。それに心惹かれる気持ちは大変良く分かりますが、Advancedな内容が本質的とは限りません。
「生物学オリンピック」という試験形式で周囲に差をつけるために最も大事なのは、万人に与えられた武器を人と違う場面で使いこなすことです。
参考:自分の場合
匿名の意見では読者が信憑性を判断できないので、自分がどういった経緯で国際大会を目指し、どんな環境で対策したか軽く述べておきます。
・生物学オリンピック参加経験
2021年 (高1) 本選出場・代表候補選出
2022年 (高2) 本選出場・代表候補選出
2023年 (高3) 国際大会出場
※自分が参加した年の予選・本選はコロナ禍のため若干変則的でした。
・学校のカリキュラム
生物…中1~高3でゆっくり高校生物を一周
数学…標準的な教育課程より1年早い程度
化学…標準的な教育課程と同等~やや遅い程度
・自習の進度
塾には通わず、中3の秋から受験生物対策。
生物以外の科目は殆ど先取りなし。
・実験経験
生物部所属のため、解剖経験あり。
バイオテクノロジー実験の環境なし。
高2の本選まではChatGPT方式、国際大会までは自然演繹を重視する方針で対策を行っていました。どちらが自分の為になっているかは分からないので、次回以降の記事では「初期」欄にChatGPT方式、「2年目以降」欄に自然演繹を重視する方針を記載します。
なお、当記事のバイアスとしては「筆者が代表候補を2回経験して対策に時間的余裕があったこと」「他科目を先取りせずに一般的な中高生の知識力で生物学オリンピックに取り組もうとしたこと」「生物部員」の3点を自覚しています。
最後に
冒頭でも強調しましたが、科学オリンピックは挑戦の過程にこそ価値があります。これは何度強調しても足りません。
とはいえ、結果は時に心強い武器となります。
私の好きな作品「ちはやふる」に、このようなセリフがあります。
この一連の記事が、誰かの石を作る助けになれば幸いです。
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