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法を守るということ

 盛山文科大臣は、政策協定に「サインをしたかどうか、正直、覚えておりません」と述べている(「覚えていない」「薄々思い出してきた」盛山文科大臣の旧統一教会との関係めぐる発言の変遷を野党が追及 岸田総理が“更迭”に踏み切れない事情とは【news23】 | TBS NEWS DIG (1ページ))。

 盛山文科大臣の経歴は非の打ち所がない(自由民主党 盛山正仁 活動・経歴 (moriyama-hashiru.jp))。このような方が2021年当時のことを覚えていないとは信じられないだろう。しかも大臣は法学博士だ。つまり、法の専門家といえる。政策協定というのは、いわば有権者との約束だから十分に内容を検討したうえでサインするかどうか決めたはずだ。もし本当に覚えていないとすれば、有権者との約束を軽視しているといえるから、政治家としても問題だ。

 文科省のHPには、人権とは「人々が生存と自由を確保し、それぞれの幸福を追求する権利」とある(第1章第1節 1人権及び人権教育について:文部科学省 (mext.go.jp))。人はそれぞれ自分の幸福を追求する権利がある。しかし、それは、すべての人に認められる権利だから、他人を不幸にすることまで許されるわけではない。自分の出世のためだけにする努力は意味がない。大臣の経歴と今の姿を見ると、ご本人の名誉のためにもこのままでよいのだろうかと思う。

 法を学ぶというのは、書かれてある文言を覚えることでも抜け穴を見つけることでもない。法の精神を理解するということだ。

 ところで、ドミノ・ピザでバイト・テロが起きた。(ドミノ・ピザ、バイトが夜中に不適切な行為をする動画が拡散、おわび「法的措置を検討中」店舗は営業停止:中日スポーツ・東京中日スポーツ (chunichi.co.jp))。こうした行為は、これまでも起きている。第三者から見れば許されないことが明らかなのに、そのことに気が付かない人がいる。軽い気持ちで重大な事件を起こしてしまう。規範を定める場合には、このような人もいることを想定する必要もある。

 この件でドミノ・ピザは、法的措置を検討していると報告している(ドミノ・ピザ(@dominos_JP)さん / X (twitter.com))。そうすると、業務妨害罪が成立する可能性がある。また、ドミノ・ピザの報告によると、動画内で使用された生地だけでなく、店舗内の生地すべてを廃棄しており、2月12日付で営業停止したとあるから、多額の損害賠償を請求される可能性もある。

 あまりに大きな代償を払うことになるが、こうした軽率な行為を防ぐことが会社にとっても従業員にとっても望ましい。ドミノ・ピザも「今後は全社をあげて再発防止と信頼回復に向けて全力で取り組んでまいります」と報告している。

 ここで、既に文科大臣のところで述べたことを改めて確認したい。従業員に対しては業務の内容についてマニュアル等で丁寧な説明がなされていると思う。ただ、その際に各作業にどのような意味があるのかまで説明しているだろうか。さらに言えば、ドミノ・ピザが会社として顧客に何を提供しているのかについて説明し、理解を共有しているだろうか。重要なのは規範の精神を理解することだ。それによってはじめて規範に従った行動ができる。

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