2023年11月27日(月) 柿を買う

2023年11月27日(月)

昨日の夜に、急に柿が食べたくなって、明日は柿を買ってこようと思った。子どもの頃には、柿は食べてみなければおいしいかどうか分からなかった。渋いのも結構あって、それほど好きではなかった。むしろ梨ばかりを好んで食べていたように思う。でも、最近の柿はどれもおいしい。柿という果物はいつのまにこれほど進化したのだろう。

それで今朝、郵便局に行った帰りに、柿を買いに坂下の小さなスーパーに寄った。実はその時にはもう、柿を食べたいという気持ちはそれほどなかったのだけど、昨日決めたことをやめるのは、なにか、生きていることの大切な部分を放棄したようで、もちろんそんなに大げさな気持ちではなかったけれども、決めたことはやろうと思って、少し面倒だけど買うことにした。

柿が3つ入った袋を持って、レジに行って、「レジ袋もください」と言って、423円ですと言われた。1023円を出して、お釣りを待っていたら、レジが故障をしたようで、レジの女性は慌てている様子だ。「すみません、壊れてレシートが出ないんですけど、いいですか」と言われて「レシートはいいです」と答えた。

お釣りを受取って、でもお釣りが23円しかない。先ほどこちらが渡した1023円の23円だ。「あのー、1023円出したんですけど」と言って、渡されたお釣りを見せた。

「あっ、すみません。」と言って、でもレジの人は何か相当混乱している様子だ。隣のレジを担当していた人がやってきた。助けてくれるのだろう。でも、レジの人はまだ混乱していて、「えーと、おつりは400円、400円」とつぶやいているのが聞こえた。

1023円ー423円は600円という引き算は、それほど難しくはないと思うのだけど、とにかくレジの女性はすごく困った感じで、「400円、400円」と言っている。

「お釣りは600円ですよ」とぼくが小さな声で言ってあげると、また、あっという顔をした。隣のレジの女性が600円を自分のレジから出して、レジの人に渡し、それをさらに僕にくれた。

それでぼくはスーパーを出てきたのだけど、どこか気持ちがすっきりしなかった。複雑だった。

あの女性はおそらく、引き算ができないわけではないのだろう。ただ慌ててしまって、仕事だし、なぜか急に何も分からなくなってしまったのではないか。

いい人ぶるわけじゃないけど、そういうことって誰にでもある。ぼくにもある。目の前の出来事がいつもと違ったふうになってしまうと、慌ててしまって、いつもの自分ではなくなってしまう。

あの女性は自分の中で、とても恥ずかしい思いを、しばらく繰り返し思い出すのではないか。

そう思うと、ぼくは申し訳ない気持になって、今日の仕事にも手が付かないし、柿なんか買いに行くんじゃなかったと思った。

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