見出し画像

セブン&アイが「買収案は不十分」と回答 - 投資家や株主はプレスリリースの内容をどう見るか?


セブン&アイがプレスリリースを公表

本日は年休を取得して、朝から神奈川県の某山を1人で低山登山したのですが、あまりに暑すぎて大失敗でした。日射病になるかと思い・・。しかも都内から車でいったので、帰りの運転も疲れ。登山の初心者なのですが、真夏の登山は避けること、1人で行くなら電車で行くことの2つを本日は学びました。9月中旬からは鋸山、筑波山あたりにいってみる予定です。

さて、本題ですが、カナダのアリマンタシォン・クシュタールがセブン&アイに買収提案をしていますが、本日、セブン&アイが次のとおりプレスリリースを公表しました。

https://www.7andi.com/library/dbps_data/_material_/localhost/ja/release_pdf/2024_0906_ir01.pdf

クシュタールはセブンの本源的価値及びそれら価値を顕在化する機会を「著しく」過小評価していると回答しているようですね。

プレスリリースの中で次の記載があります

貴提案について、入念な精査および協議の結果、当社取締役会は、特別委員会からの全会一致の推奨に基づき、貴提案は当社株主およびその他のステークホルダーの最善の利益に資する提案ではない、と全会一致の結論に 至りました。もし貴方の提案が、当社のスタンドアローンでの本源的価値を十分に認識し、かつ、現在の規制 環境下で案件をクロージングする上での当方の懸念を払拭する内容であれば、当方としても真摯に協議をする 用意があります。しかしながら、いくつかの重大な理由により、貴方が出された提案は、本件に関し実効性の 伴う協議を行うだけの根拠・材料を提示していないと考えています。

まず、特別委員会としては、貴方の提案はタイミングを計った機会主義的なものであり、かつ当社が既に実行 をしている或いは今後実行を検討している追加的な施策による潜在的な株主価値の短中期的な実現について、著しく過小評価していると考えます。当社の事業はその独自性を通じ、グローバルなコンビニエンスストア業 界において戦略的なポジショニングを有しております。当社取締役会としましては、現在実施及び積極的に検討を進めている数々の戦略的施策(特に米国事業に関するものを含むがこれに限定されるものではない)を通 じ、当社の株主価値を顕在化し得ると確信しています。

「アリマンタシォン・クシュタール社からの法的拘束力のない初期的な提案への回答」より抜粋

クシュタールの提案が協議を行うだけの根拠・材料が乏しいということを言っていますね。そして、セブンが予定している追加的な施策による株式価値の実現を過少評価しているとあります。

投資家はこのプレスリリースをどう見るか?

投資家によって考えるところは違うので断定はできませんが、私がセブン&アイの株主であったとしたら、「過少評価していると言うなら、セブンの経営陣は自社の事業価値、株式価値をいくらが妥当と考えているの?」ということが真っ先に知りたいです。

報道によれば、クシュタールの買収金額は6兆円と言われており、セブンの市場株価の2~4割のプレミアムがついていると言われています。

となると、セブンの経営陣は施策の達成による自社のあるべき株式価値は、これよりも更に高いと考えているということになると思います。では「その価値はいったいいくらなの?」ということです。

定性的に高い・低いと言うのではなく、一定のレンジでも良いので、ある程度定量的に示して欲しいと私が株主なら思います。これを明確に市場に示さずに、クシュタールが適切に評価していないと言われてもいかがかなと思います。

セブンは、施策の実現に自身があるのであれば、その実現ベースで自社のあるべき事業価値、そこから算出できる株式価値はいくらになるかをある程度、定量的に示すのが重要かなと思います。とは言え、上場企業が自社のあるべき株価を回答することは普通はまずないので、セブンにそれを求めるのは、実務を考えると難しいところではありますが。

今後、クシュタールは買収価格を上げるか、それとも一気にTOBに進むか(同意なき買収)、今回の買収を諦めるかのいずれかの選択肢が想定されます。一方、同意なき買収を進める場合には、セブン&アイは有事導入型の買収防衛策を発動するかどうか、このあたりでしょうか?

以上になります。ブログを読まれてお気づきのことやご質問、ご感想など何かありましたら、コメント又はnoteのトップページの一番下の「クリエイターにお問い合わせ」からご遠慮なくご連絡頂ければと思います。