見出し画像

「生命保険会社(生保)=安定株主」という考えの時代ではないです ー 生保の議決権行使は厳しく

本日は日経平均株価が大きく下げましたね。けど、気にすることはありません。中長期でのファンダメンタル投資の個人投資家にとっては、銘柄の中長期成長に陰りが見えない限りは、株価の下けは買い増しの局面になるかと思います。日経平均は26,000円台前後まで下がるという意見はじめ色々な予想がありますが、下がり局面で買いを入れたいと個人的に考えています。

さて、本日の日経新聞で次の記事がありました。

私も実務をやっていて、「生保の議決権行使が厳しくなってきたな」とこの2~3年で強く感じます。社名は言えませんが、ある生保の担当者と数年前までは対話をすると、失礼ながら「担当者は儀礼的にやっているな」という感覚を私は持ちました。「事業の概況はどうですか?」「環境や社会の取組みはどうですか?」という生保からの質問に対して、ざっくりとした回答をしただけで、以上終わり、でした。つまり、トスバッティングのような会話(=会社側が回答して終わり。つまり質問が続かない)が終始続き、不毛な時間でした。

けど、この1~2年で生保の姿勢が大きく変わった感じがしますつまり、生保からの質問がだいぶ詳しく、本質を問う内容になってきました。企業の業績が悪い場合には、その要因であったり、今後の改善施策までつっこんだ質問がされます。数年前とは明らかに異なってきている感じがします。

この記事を受けて、たまたま生保トップである日本生命の議決権行使結果を見てみました。次のとおりです。
https://www.nissay.co.jp/kaisha/otsutaeshitai/shisan_unyou/ssc/pdf/kekka202304_202306.pdf

会社提案の取締役線解任議案1522議案中、反対議案が38件ということです。この結果をどう見るべきでしょうか。
「反対がたった38議案か」と見られる方が多いかも知れませんが、そうではなく、「反対が38議案もあるのか!」という見方をした方がよいかと思います。

たしかに、機関投資家のように反対行使をする件数はまだまだ少ないかも知れませんが、これまで安定株主と言われてきた生保が投資先企業に反対する時代になっているということに注目することが大事です。恐らく、5年~10年前はまず反対などということはなかったのだと思います。これまで生保=絶対的な安定株主というのが世の中の常識でしたが、この常識はなくなりつつあります。安定株主という言葉はいずれ死語になると思います。

取締役選任議案に関していうと、業績に問題のない企業は心配する必要はないですが、赤字であったり、黒字ではあるが利益率が低迷しており、結果、ROEが低い企業は生保に十分に説明もしないまま、安心していると結構リスク大と思います。

来年の株主総会を見据え、機関投資家との対話の準備をそろそろはじめる会社もあるかと思いますが、生保が株主にいる場合、生保の議決権行使基準をしっかりと読んで、その上でしっかりと対話をすることが大事です。「生保は安定株主だからうちの業績が悪くても心配ないよ」というひと昔前の感覚でいると痛い目を見るかも知れません。