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公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループー第3回会議が開催されます

ワーキング・グループの第3回会議が9月8日に開催されます。ワーキング・グループについては、これまで「はてなブログ」の方で記事を書いてきましたが、これからはこのNoteで掲載をしていきます。

第3回会議の資料はまだ公表されていませんが、第1回会議の資料に論点が記載されていますので、本日は論点を紹介します。
以下が第1回会議の事務局資料です。

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tob_wg/shiryou/20230605/03.pdf

論点としては、1点目は株式公開買付(TOB)規制です。

①市場内取引を規制の対象にすることの要否、②3分1ルールの閾値を下げることの要否、③TOB差止制度の創設、④TOB違反の事後的救済制度などがあげられています。

2点目は、大量保有報告制度です。

①共同保有者の範囲の明確化(現行法制上は、合算する共有保有者の範囲が不明確)、②違反に対する罰則の実効性確保があげられています。

3点目は、 実質株主の透明性で実質株主の把握制度の創設です。

いずれも興味深い論点ですね。特に市場内取引がTOB規制の対象となった場合、敵対的買収者が市場内で株式を買い集めるという行為にも規制がかかることになります。

そうなると事前警告型の買収防衛策の導入・更新は今後はかなり難しくなりますね現状も機関投資家の賛同を得るのが難しいですが、さらにハードルが上がります。事前警告型の買収防衛策の導入理由として、「現行のTOB規制は市場内取引が対象でないので、株主に十分な情報と機会を提供するため事前警告型の買収防衛策を導入する」ということをプレスリリースに掲げている企業が大変多いですが、この理由が使えなくなるからです。

となると、会社は、有事導入型の買収防衛策を検討することになりますが、これは有事の際にその時の株主の賛同を得ることがマストですので、会社にとっては必ずしも好ましいというものではないです。ROEの低い企業などは、おそらく今後は有事の際に買収防衛策導入の際に機関投資家の賛同を得るのは厳しくなると思います。確実に。

第3回会議資料が掲載された時点でまた解説をしたいと思います。