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IR優良企業賞2024が公表 - 受賞理由は他の企業にとって参考になると思います


IR優良企業賞2024(第29回)受賞企業が公表

日本IR協議会が毎年1回、優れたIR活動を実施している企業を会員企業の中から選定し発表していますが、2024年度の大賞が発表されました。以下の新聞報道のとおりです。

IR優良企業は株価や時価総額を高水準に保つ傾向が見られるためIR優良企業賞」は企業にとどまることなく、個人投資家など市場関係者からも注目を集めているようですね。

大賞受賞企業は次の2社になります。
◆ 味の素
◆ テクノプロ・ホールディングスの

優良企業賞は次の6社です。
◆ アシックス
◆ 伊藤忠商事
◆ コマツ
◆ コンコルディア・フィナンシャルグループ
◆ 第一三共
◆ 三井化学

受賞理由 - 他の企業にとって参考になります

日本IR協議会が以下のとおり受賞の理由を掲載しています。
https://www.jira.or.jp/activity/bluechip.html

いくつか重要と思われる理由を上げると次のような点になると思います。

◆ CEOは四半期ごとに決算説明会で自ら説明
◆ 企業買収の際にも機動的に説明会を開催
◆ 業界の見通し関連の多様な情報を開示し、常に質的な向上を目指す姿勢
◆ 社外取締役とのミーティングは、経営に資本市場の声を届ける取り組み
◆ 経営層と投資家との対話機会の増加
◆ 社外取締役との定期的なミーティング開催
◆ 継続的で詳細な情報開示、テーマを設けて開催する説明会やミーティング
◆ 決算説明と合わせて中期経営計画の面からも情報を更新
◆ 投資家の関心を捉えた事業説明会
◆経営層とのミーティングや情報開示の改善には、投資家の疑問に真摯に対応しようとする姿勢が表れている

「当社でも既にやっているよ」という会社もあるかも知れませんが、いずれも参考になる項目だとは思います。私なりにポイントを整理すると次のようなことです。

  • 企業が中長期で持続的に成長するストーリーについて中計経営計画を含め策定・開示(中計の先のビジョンも重要です)

  • その進捗を毎期の決算のタイミングで開示。詳細な数値開示までは不要で、予定どおり進捗しているか、何かあらたな課題が出ているか

  • 経営層や社外取締役は進捗や課題を資本市場関係者と定期的に対話を実施し、分かり易く説明し理解を求める

この中で一番大事なのはやはり対話かなと思います。最終的には、文書で伝えることには限界があり、そこを経営陣営や社外取が説明することで信頼を高めることが大事です。そういう点では、対話に立つ、経営陣や社外取の「対話力」(投資家の質問に対して、一問一答形式で回答するのではなく、質問の背景・趣旨を考えてそこに響く回答をすること)が必要なのだと思います。

私自身は上記のいずれの企業の株式も保有していないので、開示資料の詳細まで見れてはいませんが、資本市場との対話を業務とされている企業の方はこれらの企業の中期経営計画、統合報告書、決算説明会資料などに一度目を通されるとよいかも知れません。何か参考になる材料があるはずです。