螺旋が向かう先、四季の重なり。

高架下、四つ葉のクローバーを探した。
幸せを見つけて、押し花にして、そうやって確かな形があれば私は生きていけると思っていた。
いつだって、代替できない物を探している。
それはあるいは最初から、傷つくことを望んでいるようで。
曇り空の下、仄かに暗いそこで規定された幸せをさがした。
私たちは、いつだって世界に期待していた。
まるで意味があるみたいに、感情と心を繰り返した。
幸せに向かう力が、最初から組み込まれた物だって知らなかった。
期待と愛情の区別すらつかなかった。
なにか気持ちの悪い、軽薄な紙芝居を一枚飛ばしで見ているみたいに。
条件反射で飛び出た嫉妬心に、二度と塞げない傷を付けられた。
好意が愛情にはならなかった。
愛することが出来るほど、私は表現することが上手くなかったから。
ただ、適切であればそれだけで寂しかった。
もう春になるのにずいぶん肌寒い日だった。
まるで過去に置いてきた後悔みたいで。
ただ巡るだけの暖かさなら、もうずっと冬でいてほしい。
現実から目を背ける幸せは、そのまま現実の醜さだったし、私は現実の中で幸せになりたかった。
ずっと春が来なければ、きっと勘違う心だって凍てついてくれたんだろう?
夢うつつ、たまに射し込むリアリティを追いかけて地獄に来たんだから。
枯れ葉になって、そのまま土になった記憶に、たぶんあなたも居た。
理由の無い涙の、理由はきっとそこにある。
新しい緑を私はどうも好きになれなくて。
冬が雪で覆い隠した醜さを、春は許してくれるけど、許してくれないあなたが好きだったから。
四季折々、全部嫌いで全部大切だった。
あなたと迎えられなかった春が少しだけ恋しくなって、また頭の中のゴミ箱に宝物を入れた。
光が射して、分厚い雲だってどこかに消えてしまう。
抗えない光。
春が来た。
前を向かされて、後ろは振り返れない。
今しか見ることはできない。
それでも、今に空いた穴から、ずっと昔を想像してる。
寒くたって冬が好きだから。

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