日記 美術館、遊園地、蛸

美術館

美術館に行った。今年はちゃんとGWをやろうと思って、美術館をハシゴした。美術館をハシゴすることで、美術館はハシゴしない方が良いことを知った。

美術館に行くのが好きだ。興味を惹かれた特別展にしか行かないが、たまに行くと休日を有効に使った感じがして大変良い。美術館が好きなのか、美術作品が好きなのか、“美術館に行っている私”が好きなのかは最早わからないが、そこはもうわかんなくていいかな、という域まで来ている。
前半は現代アートを見に行った。でっかい机の下で流れ続けている猫の映像をしゃがんで見た。いろんな素材でできた石を触って、四角と丸でできた記号っぽい作品をじっと眺めた。この「(テーマや素材が身近なので)わかりそうなんだけど、わからん」の感覚が好きだ。あと美術館に漂っている「わからんくていいよ」の雰囲気も好き。これは歴史的な名画の展覧会と比較した好ましさだが、「何に強制されてるわけでもないのに、ある程度わかってなきゃいけない」雰囲気が無いから、とっても気楽に見られる。
そんな中で、特に記憶に残る作品があった。美術の知識、教養が足りていないので正当な価値をはかれない関係上詳細は書かないが、とある映像作品だ。
それが、本当に面白すぎた。どう面白かったのか書けないから全然伝わらないが、シュールな笑いのお手本って感じだった。「芸術」として展示してあるという状況も含めて面白い。現代アートはこういうことがちょくちょくあるから良いな。この映像を「ふむ......」みたいな感じで見ていたおじさんとおばさん、どういう気持ちだったんだろう。私はマスクを着けているのを良いことにニコニコしながらスクリーンを見ていたけど、二人は「なんて素晴らしい作品なんだ......」と思いながら見てたのかもしれないし、この作品の目的を真剣に探ってたかもしれないんだよな。良い空間だった。
後半は、明治時代の絵画の展覧会だった。良い作品がたくさんあり、ありすぎてパンクした。美術館からのインプットの許容量には限界がある。

遊園地

最近ちょくちょく一人で遊園地に行く。私にとって遊園地はジェットコースターに乗るための場所だ。ジェットコースターに乗るために、遊園地に行くというコストを払っている。多くの遊園地に対しては、だいたいの人がそうなんじゃなかろうか。というわけで、ディズニーやUSJは(その遊園地に詳しいか、一緒に長く過ごせる)友人と行かないとあまり意味のない場所になってしまう。払うコストの方が高くなってしまうので。
今回行った遊園地は大変良かった。舐めてかかっていたジェットコースターがとっても楽しかったからだ。足がプラプラになってぐりんぐりん走るコースター、楽しすぎる。いつか、世界一スリリングなジェットコースターに乗るために海外に行ってみたい。ジェットコースター行脚をしたい。幼い頃からずっと、家の外でやる遊びの楽しさランキング1位だ。2位が茶室。

「死なない蛸」のことをふと思い出した。国語の教科書に載っていて、ダントツで脳にこびりついた作品。あれを読んで、何を考えたり、答えたりさせられたんだっけ。全く記憶にない。ただただ、本来なら想像するのが難しい光景が、文章を通してありありと浮かぶ体験が楽しかったことを覚えている。自分の足をもいで、と思ったら自分自身を裏返して食べる蛸。今読み返してみると、これって蛸じゃなければ想像力が追い付かなかったろうな、と思う。蛸という生物がもつ面白さが物語の流れとガッチリ噛み合って、ほの暗い話だのに読んでいて気持ちが良い。学生の頃にこのお話と出会えて良かった。


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