魅了

大学生になってから、
あなたは人から愛される人だよとか
魅力があるよという言葉を沢山もらっていたことに
今更ハッとする。

自分が動けなくなって、呼吸をするのも苦しくなったとき、あの時には信じられないほど、そばで心配してくれる友人に溢れていることにも、私はずっと気が付かなかった。

昔、人からいじめられてから、
嫌悪を向けられてから、
自分は嫌われ者なんだという呪いがずっとかかったままだった。消えない大きな傷の一つだった。
今振り返ると、そんな人達は一部の人たちだけで、
そしてその嫌悪は私への嫉妬心だったなんて、
思いたくても思えない日々が十数年も続いた。
私が悪者なんだと、自分が1番思い込んでいた。

私に刃を向けてきた人たちの何倍もの人が、私の事を愛してくれていた。魅力がある、と言ってくれて、そっと手を握ってくれていた。助けてくれた。
怖けずに、もっと堂々と生きても良いかもしれないと初めて思えた。呪いが解けたようにハッとして、現実にある優しい手だけがくっきりと鮮明に浮かび上がった。

人に恵まれているよね、と言われた言葉が初めて輪郭を帯びて私の目の前に映った。

今はまだ、出来立ての傷を癒すことしかできないけれど、いつかもし、今よりも空気がまともに吸えるようになったら、魅力を最大限に磨いて、打つこともできないピカピカに光る強く太い鍵になられるように生きていこう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?