伝説のバケツドリ

農業が栄えたある村がありました。その村にはマオという15歳の女の子がいました。マオはばあちゃんと二人暮しで、ばあちゃんは村1番の占い師です。マオはばあちゃんの元で占いを学び毎日を過ごしていました。


ですがある日突然、村について占ったばあちゃんが「今年この村に600年に一度の大きな災いが起きる。」と予言し「村長に知らせなさい。」と言って倒れてしまいました。
マオは急いで村長に伝えに行き、「村の書庫に入らせてください!」と頼みました。村長ははじめ子供に書物を見せることを少し渋りましたが、おばあちゃんの頼みだと聞くとそれに応じました。


書庫は思っていたよりも荒れており、マオは600年前の書物を丸三日日かけて探し出しました。そして無我夢中で災いについての記録を探しました。すると大旱魃についての記録を見つけました。それは、この村は600年前に大旱魃が起こり村が飢え苦しんだというもので、それと共に伝説の鳥によって大旱魃は救われたという記録も残っていました。


マオはすぐにその伝説の鳥について調べましたが中々資料は見つかりません。村では大旱魃の話がすぐに広まり、村のみんなは大混乱に陥りました。マオは焦るばかりです。いつ急に降らなくなって大旱魃に襲われるか分かりません。


予言から五日目の朝、ばあちゃんがやっと目を覚ましました。医者によると病気の可能性はないということでしたが、マオの家族はただ1人ばあちゃんだけなので安堵の気持ちでいっぱいでした。
「マオ、1人にしてすまなかったね。よく頑張ったよ。」「あまりに強い未来をみるとアタシは昔から気を失ってしまうんじゃ。」「伝説について何か分かったかい?」
「ばあちゃんの体調がもどったなら良かった。」「でもばあちゃん、伝説って伝説の鳥のこと知ってたの??」
「そりゃあそんぐらいは知っとるさ。マオならそこまでたどり着けると思ってね。言わなかったんだよ。」
「なによそれ。丸三日もかかったんだよ?」
「すまなかったよ。怒らないどくれ。アタシもあまり考えられる時間がなかったんだよ。」
「もう、わかったよ。で、ばあちゃんは伝説の鳥のこと何か知ってるの?確かに最近雨が少なくてその量はどんどん減っていたの。預言を信じてない人もいるけど、ばあちゃんの予言ってこともあって村の大半が信じて混乱してる。早くみんなを安心させないと、だから早く教えて!」
「まてまてアタシもそんなに知っている訳じゃあない。知ってるのは呼ばれている名前と時期だけ。その鳥はバケツドリと呼ばれていてな、年に一度だけ目覚めるんじゃ。」
「1度だけ??じゃあ、今年もう目覚めていたとしたら助けてもらえないの?」
「そうかもしれない。でもな、昔どこかで読んだ本にたしか、産卵を控えているバケツドリは気が立っているから一年中眠らないと書いてあったと思うんだよ。」
「ほんと??じゃあ、もし産卵するバケツドリを見つけることが出来たら、村を救えるかもしれない??」
「救えるかもねえ。」
「でもどうやって見つけるの…?」
「マオ。前したうちの家系は代々占いをしてるって話は覚えとるかい?」
「うん、覚えてる。」
「実はね、600年前から続いているんだよ。」
「え?」
「アタシ達の先祖がその大旱魃を言い当てたんじゃ。それがあったからうちの家系は代々占いをついでいる。だからバケツドリの探し方は記録が残っているかもしれん。うちの書物を探してみるといい。」
「そうだったのね…。わかった。やってみる。」
「ところでばあちゃん、なんでバケツドリって名前なのかな?」
「んん?知らんなあ。それも載ってるかもしれん。」
「うん、わかった!ばあちゃん、ありがと!これでみんなを救えるかもしれない!」
「ばあちゃんは動けなくてすまんな。アタシはマオに任せたぞ。」


そしてマオは家の書庫を隅から隅まで探し、1週間かけやっとの事でその記録にたどり着きました。バケツドリの習性が書いてある本を見つけたのです。そこにはこう書かれていました。「バケツドリは少し大きい卵を生む。よって敵に見つかりやすく狙われやすい。そこでバケツドリは人間が住んでいる場所に置いてあるもう使われなくなった籠に産んだ卵を隠し感謝の気持ちからその地域の豊作を願って雨を降らせる。」と。そしてバケツドリという名前の由来は、バケツドリを発見した学者が初めて目撃したのがバケツに卵を隠すところだったからでした。


「ばあちゃんわかったよ!名前の由来が関係してた!これでバケツドリを呼べるかもしれない!」
「よくやったよマオ。お前に頼んでよかった。」


マオは村長に話をし、村中の安全な場所に古びたバケツや籠を置いて回りました。村人もそれに協力しました。


予言から約2週間雨は降らず、少しづつ作物が弱り始めていました。信じて待つしか手のない村人は毎日毎日バケツドリを信じて天に願いました。


すると予言から約1ヶ月後。突然朝から村に綺麗な雨が降り注ぎました。村人は大喜びで天を仰ぎました。そこには大きな翼を広げたバケツドリが2羽嬉しそうにゆったりと飛んでいました。つかの間バケツドリは山の向こうへ飛んでいきました。
よって村は大旱魃を免れ、マオは村中の人に感謝されました。そして、バケツドリの卵は村人全員の手で大切に育てられましたとさ。

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