テレビ出演の裏側:「一般人」の正体とメディアの舞台裏の仕掛け

2003年の頃、土曜夜11:30からのフジテレビの番組(あのねるとんのコーナー、名前がちょっと思い出せないんだけど! 恋のから騒ぎじゃないやつさ)を視ていた、まさにその時。そしたら友達が叫びましたよ!

「おっ、これって○○ちゃんじゃん!」

そう、その○○ちゃんというのは、友達が仕事でご一緒になったことのある、あのモデルの女の子だったんですね。

まぁ、そのテレビ番組のコンテンツはと言いますと、ごく普通の視聴者の男女が、ほんのちょっと会っただけで限られた期間中にスポーツや何かしらのアクティビティをひたすらがんばり、その過程で愛を育んでいくっていうお話でしたわけ。

その種の、いわば一般視聴者も参加できる恋愛リアリティー番組で、ちょっと前に大ヒットした「あいのり」の原点みたいな感じなんですよね。それで、思わず質問が湧いてきたわけです。

なんで、モデル事務所に所属している彼女が「今夜の女性は、東京都にお住まいのOL、××さん」として出演しているのかしら?

うーん、そうか。きっと○○ちゃん、彼氏がほしくなったんだろうな、って思ったりしたんですよ。

でもね、そう友達に話してみると、ちょっと厳しい突っ込みをもらっちゃったんですよね。
「おいおい、それはサクラだろうが!」と、私の友人が怒り気味に声を荒げた。

「えっ、サクラ? でも、あの番組って一般の人も出られるんでしょ?」と、私は友人に向かって尋ねた。

友人はちょっと首をかしげながら、こんなことを言ってきた。

「おい、ちょっと待ってくれよ。そもそも、普通の人って、いきなり会社を一週間も休んで、テレビ番組に出るなんてこと考えるか?」

そういえば、その通りだ。普通の人は、恥ずかしがりやだし、自分の恋愛事情が全国に晒されるなんてことを考えただけでもイヤだろう。テレビに出ている間、お父さん、お母さん、元カレ、だれかに見つかるかもしれないのだから。テレビを見て、みんなにどんなことを言われるのか、それこそ近所の人にまで言われることを考えると、恥ずかしい気持ちになるに決まっている。

その点で、友人の言うことは理にかなっているように思えた。

友人はさらに説明してくれた。

「さらに言うと、こんなにプライバシーを晒すような番組で、なんて参加者を募るっていうんだろ? 普通、そんなこと考えもしないよ。」

なるほど、友人の言葉には一理ある。普通の人が自分のプライベートをテレビで晒すような番組に参加するなんて、考えにくいことだろう。
万一に備えて、もしも何人かが現れることがあったとしても、テレビに映すのは到底無理なほど容姿に恵まれている人々だろう。

それゆえ、結局はモデル事務所の手を借りるしかないわけだ。こうしたモデル事務所と聞いてしまうと、美しい売れっ子たちがずらりと勢ぞろいしているように思えがちだが、実際は違う。実のところ、山ほどの女性が登録し、中にはほとんど声をかけられないような「普通の子」が数多く存在している。このような女性たちに「テレビに出てみませんか?」と声をかければ、彼女たちは大いに歓喜するだろう。たとえそれが、視聴者のふりをする役割であるとしてもだ。

恋愛をテーマにしたリアリティ番組「恋のから騒ぎ」をご存知だろうか。この番組に登場する、バカ正直な女の子たちの中には、ほとんどが「いつかテレビに出たい!」という夢を抱く、まさにモデル志望の若者たちである。実際、この間、私の知り合いのモデル、△△ちゃんが、所属事務所から「恋のから騒ぎに出演してみないか?」と誘われたと聞いたことがある。
当然のことながら、自身のプライドを保ちたくて、その申し出を拒否したとのことだが、事情はそう簡単ではないようだ。

この世界では、こういった出演オファーは日常茶飯事のようだ。基本的に、一般の人々からすれば、「あんな番組に誰が応募するんだろう?自分なら応募できないよ」と思うであろうような番組がほとんどだと言っても過言ではない。なぜなら、番組内で明確に「これは全くの素人です」とアナウンスされることはまずなく、モデル事務所に所属する女性たちであっても、テレビを通じて視聴者には変わりないからだ。モデルであるといっても、それだけでは生計を立てるのは難しく、お水をしたり、他の仕事を持っていたりすることが多いため、一般の人々と大差はない。

友人はこう付け加えた。

「新婚さんいらっしゃい」や「愛ラブクリニック」、そして「キスイヤ」などは別かもしれないね。俺はあの番組が好きなんだ。なんせ、そこではエッチなことを聞いているからな...。

まったく、趣味の悪い友人である。

※こうして原稿を書いた半年後、友人は撮影から帰ってきて、こんなことを漏らした。

「今日も恋のから騒ぎに出演しているモデルさんと仕事をしたよ。ちょっと裸も見てしまった。いひひ...」と言っていた。

そういえば、最近では恋のから騒ぎも、出演者がモデル志望者であることを隠すことはなくなったようだ。

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