高村薫 3選

重厚だけど読みやすい、淡々としているからこそ、感情が伝わる、そんな高村薫さんの作品のなかでも心に残る3作品を選んでみました。

冷血

なんといってもこれ。すごかった。

この作品読む前に、カポーティの冷血を読んでいました。この頃、「事実は小説より奇なり」で、ノンフィクションノベルという実際に起こった事件を基にした小説(佐木隆三さんとか)が好きで、凝ってたんです。

北海道の三毛別の熊の事件もこの頃知って、吉村昭さんの「熊嵐」読んだりして、怖くて夜寝れなくなったりしました。

カポーティの「冷血」も実際アメリカで起こった事件で、取材して取材して、動機というものに焦点を当てて書かれたものです。

高村薫さんも書くときは、凄い取材されると聞いて、まさに❗頷ける❗となりました。

「照柿」という作品があり、鉄を精製する工場なのかな?もう読みながら熱くなってくるという、リアルさ。これも実際に工場に行って何日も汗だくで取材したそうです。

さて、「冷血」ですが、これもまた動機にスポットをあてた、なんともやるせなさがつのる話です。私見ですが、犯人の1人が歯が痛くて痛くて…。もちろん歯が痛いから殺人とはならないんだけど、結局歯って命に関わるわけじゃないから、後回しになるっていうか、痛み止め飲んでやり過ごしたりして。子供の頃の生い立ちとか、歯のケアに少なからず影響しますよね。歯も心も少しずつ少しずつ蝕まれていくような。根深いものがヒタヒタと迫ってくるような。

だから、動機っていってもこれというのはなくて、やけくそ?みたいな、たまたま歯医者あったから…。歯もいてーし、車もボコボコにされてよー、みたいなノリで。なんか現代社会での突然日常が壊されるみたいな気持ち悪さを感じました。上手くいえないけど…。 

レディジョーカー

これもグリコ森永事件を彷彿とさせるようなお話です。ドラマでも見たんだけど、ことの発端になる「被差別部落」のことが、小説では詳しく書かれているんですが、やはりテレビではそこまで深くは切り込まなかったですよね。この犯罪の過程ですごくすごく重要なところなんですけどねー。

この会社の体質がそう言うところにあって、かなり根深い。小説読んだあと、wowowのドラマで見たんだけど、原作を読んでいたので、見ごたえありました。社長が柴田恭兵、刑事の合田が上川隆也でした。ふたりともしぶーい(^-^)vとてもナイーブな内容なので地上波ではできなかったとか(マークスの山も)

テレビもここで大きくタブーに切り込んで行ってほしかったわー。ほんと。

マークスの山

これは先に映画から見ました。暗ーい冬の山で排気ガスで心中した家族の子供が1人で吹雪の中を歩いているシーンから始まるんですけど。

冬になると、朝早くゴミ出しに行くときいつも、このシーンを思い出します。それくらい衝撃的❗

ことの発端は、連続殺人事件が起きて、被害者の繋がりがわからなくて…。

映画では、主人公は…刑事の合田でしょうか?これは中井貴一でした。そして、冒頭冬山で一家心中をして、生き残った息子のひろゆきを萩原聖人がやっていて、ニコニコしてるときと、クレイジーなときとがギャップが凄くて怖かったです。でも排気ガスの影響で精神異常になり病院に入退院を繰り返すという設定ですから、まさに狂気の演技です。

もう映画観たのもかなり前なんですが、覚えているのは雪山と名取裕子とのベッドシーン。その後、しばらくして、wowowでのドラマを見たのですが、高良健吾のひろゆきより萩原聖人の方が狂ってましたね。


さて、初めての作家さん三選でしたが、原作を読むと映像で観たくなり、映像を見ると原作を読みたくなります。

次は日本のドラマをやりたいな、と。

ではまた➰👋😃

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