無題

朝起きるとベットから半径20cm以内に置かれたスマホを取って、ひとまず編集長からの電話がないことを確認する。
そして、通知を辿ると好きなアイドルグループを
通じて知り合ったLINE友達たちがメンバーのことで騒いでいた。
馬鹿だな〜とは思うが私も同類だ。
Twitterを見てもみんなとりあえず
「すごい!𓏸𓏸カッコイイ😭」
「私も行きたかった!」
「𓏸𓏸は私たちの誇り!」とズラズラと感動の
押し売りで埋まっていた。
これでは私の推しの情報はしばらく入ってこないことが予想され、嫉妬と苛立ちを覚えた。
やっぱり今の私には某アイドル事務所は
精神的に重すぎる。
凝り固まった方針について行く盲目のファンに
引きながらも、
「私の推しはみんなと違うんだ」と思いながら
みんなと同じく目を閉じている。
お笑い芸人を追っかける方が自分に合っているとは気付いているが、気付いていないフリをして
今日もTwitterに推しへの愛を叫ぶ。
また通知を辿ると
ママがユニバへ行った写真を送っていた。
友達2人と可愛い被り物をしてメリーゴーランドに乗っていた。
楽しそうで何よりだ。
届いた新聞を広げて自分の書いた記事が
北海道版のトップとなっていた。
ほぼ文章が修正されていないことに喜びを覚えて
新聞を閉じた。
もう20日だと言うのにあと8本も書かなければ
ならず焦りもあるが、書けないもんは
しょーがないと開き直っているので大丈夫かなと思う。
外を見ると雪が降っており、まあまあ積もっていた。
こんな日は家にこもるのが1番だと決め込んで
またベットにダイブする。
私の生ぬるくて何も変わることの無い朝の
ルーティンに吐き気がする。


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