ソル

暴力をなくしたくて物語る、肩書きと生涯無縁の六十三歳。硬派、ど・ストレートな長話は、堅…

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暴力をなくしたくて物語る、肩書きと生涯無縁の六十三歳。硬派、ど・ストレートな長話は、堅苦しく、トシヨリくさくて、意味不明? そこんとこ実地検分してもらえれば冥途の土産。「生きあぐねている感」「ひとりぼっち感」に、こっそりさいなまれている方、必見。「未来を拓くソルの物語」連載予定。

最近の記事

未来を拓くソル、番外編の第1話        「能登半島地震に、思う」

 2024年1月1日午後4時すぎ。  能登半島地震(震源近くで震度7)にすくみ上りました。  同県内、奥能登へは車を飛ばして三時間くらいの場所にいたのですが。  津波警報を受け、すぐそこが日本海、という職場では、即刻避難の指示。  一夜明けて。  生産や作業が中途で放り出された現場はすさまじい光景でした。  四十四年前に引っ越してきた当初。 「地震が少ない、ほとんどない」と、石川県で生まれ育った夫から聞かされたのに。  十五年後に離婚したあたりから、能登で地震が頻発するよう

    • 未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第7話 ミラー効果

      (一)前回は「力関係の不等式」  四十年前、大学病院精神科外来で。  すれちがっただけの小学生から、無意識に読み取った「何か」は。  結果として、私、必然的に我が子の、生死を分けることになったのです。 「人生最大の分岐点」と思い始めたのは、今から二十年ほど前。 「一瞬に秘められた救い」と思うまでには、さらに年月を要しました。  必死に命をつなぎながら、読み解いた「救い」の核心。  三つのうち、前回は「力関係の不等式」を取り上げました。 (二)ミラー効果  今回は、「ミラ

      • 未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第6話 力関係の不等式

        (一)一生にいっぺん、訪れるかどうかの救い  今からちょうど四十年前、大学病院精神科外来で。  名も知らぬ小学生とすれちがった一瞬が。  心を病み、疲れ果てた二十四歳の私に「絶対、治る」決心をさせました。 「一瞬に秘められた救い」といっても、その場は、それだけです。 ――わずか数分後の展開は、奇跡にして、人生最大の分岐点。  そう読み解くまで、ゆうに二十年はかかりました。  一生にいっぺん、訪れるかどうかの救い、だったのです。 (二)脳裏に刻まれた印象――インプレッション

        • 未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第5話 今日を映し出す鏡

          (一)今日を映し出す鏡  初アクセスの方と、既読の方のためにも。  第1~3話のあらすじを、プラスアルファもまじえて物語ります。  トシヨリの過去自慢ではなく、今日を映し出す鏡として。 (二)せいぜい、「妄想未満」  今から四十年前、二十四歳の私は。 「二十四時間体制の監視」にビクビクしながら生きていました。  つきまとって離れない、母親、夫、舅、姑。  一挙手一投足を見張られ、ささいなミス、一瞬の手抜きも許されません。  とはいえ。  彼らが「実際そばにいる時」「本当

        未来を拓くソル、番外編の第1話        「能登半島地震に、思う」

        • 未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第7話 ミラー効果

        • 未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第6話 力関係の不等式

        • 未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第5話 今日を映し出す鏡

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第4話 ソル流、子ども――人間の取扱説明書(7/7回)   

          (二十四)「ソル流、進化の物語」  ものすごい大昔、ヒトの命はつくづく考えました、とさ。  暴力をふるったり、ふるわれたり、暴力ざんまいで、「ムダ死に」続出。  ヒトが、とことん溺れ、ふけってやまない、暴力。  地球上にあまねくはびこって、青天井にエスカレートする、暴力。  多くが「これでは、生きられない」と泣き叫んでも、わが世の春を誇る、暴力。  放っといたら、ろくなことにならないぞ。  というわけで、命が目をつけたのは。 「外界・他個体と情報をやり取りしながら生きる」ス

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第4話 ソル流、子ども――人間の取扱説明書(7/7回)   

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第4話 ソル流、子ども――人間の取扱説明書(6/7回)

          (二十)命は、こんなに!うまく!!できている ――屁理屈屋のアタシが、顔を輝かせて、いわく。 「云々、かんぬん……だから、神経質はサイコー!」 「リスク評価と対処プラン(なんちゃって)でパワーアップすれば、きっと活かせるよ、ガンバレ」――  哀れな「神経質」に、立つ瀬くらい見つけてやろうと。  ココロを砕き、アタマをひねるうち、私は。  負けず劣らずうっとうしい「理屈っぽい」を大活躍させていました。  初めに生みの親が、すぐに自分も、やっかい者扱いした性質たち。  ふたつ合

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第4話 ソル流、子ども――人間の取扱説明書(6/7回)

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第4話 ソル流、子ども――人間の取扱説明書(5/7回)

          (十五)暴力検出器  ――毎度、モノローグ。  アタシ、暴力検出器。  自分への暴力、だけじゃない。  生物以外、モノだろうと酷い目に遭ってると、針が激しく揺れる。  発信源の遠近を問わず、暴力らしくなく、ミクロサイズでも、反応する。  自然の脅威を別として、人がふるう暴力くらい、恐いものはない。  義務やチャンスに駆られるや、人は、自然に暴力をふるえる。  ゆえに人のつくる社会は、家庭から国際エリアまで、基本的に暴力装置。  暴力対策の道徳、ルール、法律なんか、カマキリの

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第4話 ソル流、子ども――人間の取扱説明書(5/7回)

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第4話 ソル流、子ども――人間の取扱説明書(4/7回)

          (十一)けなすより、活かそう ――これ、アタシのモノローグ。  アタマと運動神経、両親の愛情に恵まれて、のびやかに育った。  家事育児、専門職を両立させながら、将来設計、資産形成にも怠りない。  知的でタフ、モノゴトや自分の意見を的確に言い表せる。  それでいて、あかるく、おだやか、ユーモアがある。  料理と趣味、おしゃれの腕はなかなかで、センス、スタイルもばつぐん。  気の置けない親しみやすさが、家庭内外の誰からも好かれている。  ……フン。  ひとつ残らずひっくり返せば

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第4話 ソル流、子ども――人間の取扱説明書(4/7回)

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第4話 ソル流、子ども――人間の取扱説明書(3/7回)

          (八)人はいつ子どもでなくなるのか  短所が、人生を損なわないように。  長所を、人生に反映させるために。 「短所/長所」は役立つ見方でも。  タマにキズは、単純明快すぎること。 「今しも、育ちゆく」子どもの長短を絶対視するのは、無謀。  だいたい、人はいつ子どもでなくなるのか――成長を終えるのか。  法律上の成年は、形式的な境目です。  二十から五十代までは言うに及ばず、六、七、八十代でも。  乳幼児顔負け、おのれしか眼中になく、他者や状況におかまいなし、という人物は存在

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第4話 ソル流、子ども――人間の取扱説明書(3/7回)

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第4話 ソル流、子ども――人間の取扱説明書(2/7回)

          (四)子どもなんか、生んでもいいことない?  高校時代は、四人家族の父が単身赴任中、姉も遠方に住んでいて、母と二人暮らしでした。  平日の早朝、よくもまあ、嘆かれたものです。  ネタは、私の短所ではありません。  小さな縫製工場を一手に取り仕切る母は、ぴったり五時半、ハイヤーで出社します。  帰宅は、夜十時、午前零時、三時か、聞かされたためしがありません。  私が五時過ぎに起きると、いつも。  ダイニングキッチンのテーブルに手作り弁当……何だか、すまなくて。  鏡台の前に立

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第4話 ソル流、子ども――人間の取扱説明書(2/7回)

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第4話 ソル流、子ども――人間の取扱説明書(1/7)

          (一)理屈っぽい屁理屈屋  私が大学進学を機にそばを離れるまで、母はいくたび嘆いたか。 「おまえはホントに……理屈っぽいね」 「そんなに理屈っぽいと、お嫁に行けないよ」  夫も、せせら笑いながら。 「おまえなんか、しょせん屁理屈屋」 「おふくろは、そういうヤツを“ぐでん”って呼ぶんだぜ」  そいつが赤の他人になって、三十年近く。  母も、亡くなって十二年目。  折々、どちらに対してともなく、言い返します。 ――お言葉ですが、お嫁には行けた。 「おまえなんか、死ねッ!」 「鬼

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第4話 ソル流、子ども――人間の取扱説明書(1/7)

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第3話 脳って、スゴイ!

          (一)キッチンドリンカーの醜態  県立精神衛生センター(四十年前の名称、現在の同機関は別名)を訪ねた当初は、「カウンセリングを受けて、良くなろう」と思えたのです。  じき、ドクターショッピングとアルコールへの依存が始まり。  病名を告げられず、次回診療の予約もなしに処方された薬――効能不明――の過剰摂取にも及んで。  しかし、夫以外にはバレないよう、慎重にふるまっていました。  尖りに尖らせた全神経を張り巡らせておけば。  私の「何も問題ありません」様子を疑う人はいません。

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第3話 脳って、スゴイ!

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」   第2話「生きあぐねる、苦しむ人の力になりたい」夢が生まれた

          (一)「不登校」対応の変遷  四十年前、大学病院精神科を受診した私が。  まったくぐうぜん、行き合わせた。 「登校拒否」だから「精神科を受診させる」リアルは。 「不登校」と呼ばれる今日、「やりすぎ、的外れ」の感があります。  対応に「これ」といった決め手がないのは、あいかわらずでも。 ――頭から、病気と決めつける。 「問答無用!」で登校を強いられた当人が、心の安定を保てなくなる。―— 「逆効果へ、一直線」という親子は、今や少数派にちがいありません。 「不登校」対応の変遷を念

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」   第2話「生きあぐねる、苦しむ人の力になりたい」夢が生まれた

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第1話 大学病院精神科外来の長椅子で

          (一)大学病院精神科外来の長椅子で  今からぴったり四十年前、まだ二十四歳だった、その日。  私は、大学病院精神科外来の長椅子で、診察の順番を待っていました。  膝を抱え込むほどうなだれ、涙と鼻水を際限もなく垂らして。  受付から、ゆうに一時間は経過していたのです。 (二)幻聴  最初に名を呼ばれた時は、何も知らされないまま、医学生の練習台になりました。  面前の一人が「で、気分が悪いのは朝?」  もう一人が「それとも、夕方?」  威厳の練習でもあるのか、医者らしく装っ

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第1話 大学病院精神科外来の長椅子で

          未来を拓くソル「新・精神障害の母、発達障害のある?子どもと生きて四十余年」第11話「まさかの夏、最終回」

          (一)まな板の上の弱気  ソルのこだわりとモットー。 ――あってほしい、はずもない「思い通りにならないこと」  その細部・深部には、人生の吉凶を分けるカギが隠れている。 ――「わざわい、転じて福」に「いつだって、ここが、スタートライン」の「結果、オーライ」  こういうものを、スキになってもらえるかどうか?  ハイ!  ぜんぜん自信がありません。  いまどき、SNSのイロハも知らない私。  アクセス結果が、「うざい、要らん」だったら、オーマイガッ! 「ソルの物語」は、ほとんど

          未来を拓くソル「新・精神障害の母、発達障害のある?子どもと生きて四十余年」第11話「まさかの夏、最終回」

          未来を拓くソル「新・精神障害の母、発達障害のある?子どもと生きて四十余年」第11話「まさかの夏、第3回」

          (一)まさかの夏に、トドメの一発  今日は8月28日、月曜日。  コロナ(たぶん)発症から丸二週間経って、明日から職場復帰の予定が。    昨夕、まさかの夏に、トドメの一発。  離婚の半年前に購入して以来、二十七年間。  地方都市のはるかなる道を、仕事、日常の買い物、気晴らしへ。  なくては生きられなかった、大好きな薄紫の矢車草色に輝く軽四が、決定的な走行不能に陥りました。  今日までの走行距離数、173,853㎞。  買い換えようにも資金がなく、毎朝、毎夕、声をかけてきた

          未来を拓くソル「新・精神障害の母、発達障害のある?子どもと生きて四十余年」第11話「まさかの夏、第3回」