卑怯者
卑怯者
母が危篤になる3ヶ月位前のこと。面会制限が何度もあって、初めて「担当者会議」を介護施設で開きました。
「担当者会議」という名前から、介護の関係者だけの「進捗会議」と誤解されがち(特に施設代表者または施設長)ですが、被介護者、その家族、ケアマネージャー、医療関係者、介護レンタル業者、担当介護士、デイケア業者代表者などなど、本人達を囲んで「介護方針」を決める、大事な会議です。
その会議で、「トイレ誘導を行うのは、立位(立つこと)が困難な為、数人がかりでないと不可能で、それだと「介護点数」が足りない(介護保険でのお金が足りない)というものでした。
人の口には戸は立てられません。後で分かったことですが、若手のヘルパーがストライキしたのです。「厄介なので、『オムツ交換』にしてくれ、と。
私は、私が面会に来たとき、介護士さんを手伝うから、と主張してきました。
男ケアマネ(ケアマネージャー)は、私の家に「家庭訪問」(被介護者の当人または家族への報告と今後の方針の打ち合わせ)の際、私に全面賛成して介護施設の悪口言ってたのに、見事な「掌返し」。
美人施設長に「ほの字」だとすぐに分かりました。目に♡が入っていたから。
そして、施設の言い分を全面的に支持、訪問看護の代表に「オムツですよね、無理ですよね。」と返事を強要しました。
私1人を悪者にして、事を収める様子に、「点数がはみ出ると言うなら、ある程度なら実費になってもいい。」と言ったら、禁を犯した爆弾発言。「親の金を勝手に使うのか!」
流石に、私は黙っていられなくなりました。
色んな介護事業者に相談、市役所に相談した結果、彼を派遣しているデイケア業者に連絡して、爆弾発言を暴露して、交替を申し出ました。
彼の上司がやって来て、土下座をしてくれました。本来なら、本人を連れて来て一緒に土下座するのが「筋」ですが、許容して、交替して貰いました。
「担当者会議」に母を連れて来なかったのも反則ですし、キーパーソン(家族の代表)に向かって暴言を吐くなんて許されるべきことではないのです。
私は、「勝手に」母のお金を出納しているのではなく、母の「代理」として責務を果たしているのですから。
施設長は、「いつもと口調が違う」と言ったら、「いつもと同じ」と応えました。
詰まり、顧客モードと施設長モード(施設モード)を切り替えていたけれど、両方相手にした時に、偏ったと言う訳です。
訪問看護も変更しました。今まで、「約束を守らなかった」訪問歯科も訪問リハビリも「クビ」にしてきました。全ては母の為です。介護施設も「3回目」でした。
いつも、最初だけ良くて、営業が順調になると横柄になって行ったからです。
交替した、女性ケアマネージャーに詳細を聞き出して、「緊急時に電話する権利」という項目があることが判明しました。
緊急時に電話するのは、当たり前だし、恐らくそれは『持病の為、頻繁に救急車を呼ぶ可能性』のある被介護者の為の項目なのでしょう。母は当てはまらないし、そう言う場合は、介護保険外になっても仕方がない(実際は施設の義務の筈ですが)と思います、と、新ケアマネージャーに省いて貰い、新しい訪問看護(切迫していたとは言え、男ケアマネの言いなりになったので、変えました)の看護師と一緒にトイレに連れて行き、排泄は出来なくとも、運動は出来るようになりました。
結局、おかゆを砕いた汁(ミキサーで砕け切っていなかった)の誤嚥で、休日訪問看護師の活躍で事が収まった次の日、「コロナにかかったから、家族も訪問も停止」と介護施設社長から電話がありました。
母は4回目の枠朕接種から体調を崩して行きました。
隔離が済んで、さあ、これからという時に危篤、救急車を呼び、救急病院へ。そして、今の療養型病院へ。眠ったままが多かった母は、突然「トイレ、トイレ。」と言い出しました。
意識が戻ったのは良いけれど、今の状況を説明して「身動き出来ない状態で、『おまるに座る体力ないからビニールにおしっこする』ように医師が指示した、と丁寧に説明しましたが、「殺してくれ!!」と母は言いました。
母と私の「絶望の日々は、2年近く経った今でも続いています。
勝手に「重度の」認知症と決めつけ、勝手にヘルパーが『トイレ誘導』を拒んだ事が遠因していると思っています。
「卑怯者」が「寝たきり」を早めたと思っています。
実話です。地獄はまだ終らない。
―完―