
4度目で見えてきた魅力
おはよう!こんにちは!!こんばんは!!!
Moyuです。2025年も1カ月が過ぎようとしていますが、
今日は、2024年4月~2024年6月まで上演されていた舞台「Le Fils 息子」「La Mere 母」の感想をつらつらと書いていきます!
同時上演&再演
今回上演された「Le Fils 息子」は、2021年8月~2021年10月に岡本圭人を主演に、父親役に岡本健一を起用して行われた。親子役に実際の親子が役を務めるという前代未聞の作品でした。
今回もキャストは3年前と全員同じで、初演を観劇した私にとっては、激熱でした🔥
というのも、初演時は新型コロナウイルスが大流行している時期で、共演者同士の絡みもほとんどなく、かつ最推しの岡本圭人くんはSNSをやっていなかったため、リアルタイムで情報を追っかけられる時代ではありませんでした。
一方で今回、日本初上演となった「La Mere 母」は「Le Fils 息子」で母親を演じる若村麻由美さんが主演の作品です。
フロリアン・ゼレールが描いた親子3部作は、他にはない特徴的な部分があります。それは、どの作品も登場人物の名前が同じであることです。
しかし不思議なことに同じ家族の物語ではないのです。どの家庭にも当てはまるようなお話、観る人が身近に感じられるよう、あえてゼレールが同じ名前を使っているのです。
そのため、今回上演された2作品は全く別の家庭を描いていますが、名前が同じだからこそ、通ずる部分や違いによって二つの家族に悲劇をもたらしている部分など、非常に見応えのある作品でした。
これ以上書くと序章ではなくなるので、ひとまず次の見出しに移ります(笑)
進化した「Le Fils 息子」
あらすじはこんな感じ。
両親の離婚後、学校にも登校せず一日中独り行くあてもなく過ごしていたニコラは、とうとう学校を退学になって しまう。
そんなニコラの様子を聞いた父親ピエールは、離婚・再婚後、初めて息子と正面から向き合おうとする。
生活環境を変えることが、唯一自分を救う方法だと思えたニコラは、父親と再婚相手、そして年の離れた小さな弟と一緒に暮らしはじめるのだが、そこでも自分の居場所を見つけられずにいた。
ちなみに二コラが岡本圭人くん、ピエールが岡本健一さんです。母親アンヌは若村麻由美さんです。この3人は「La Mere 母」でも同じ役名になります。
このあらすじは、序章に過ぎなくて、中盤から結末は文字に起こせないほどつらく悲しい展開でした。初演で観劇していても、何度観てもその苦しさを拭うことはできませんでした。心に残るのは、どうしたら孤独な二コラを救えるのか。観劇した方は皆同じ問いを抱えて、帰路についていたと思います。
初演時は、17歳の二コラと年齢がほとんど変わらず、二コラが社会や大人に対して抱く不満や漠然とした将来への不安が痛いほどわかりました。当時は新型コロナウイルスも流行していて、理想とかけ離れた日々を生きることに必死でした。
今回は、二コラの年齢は変わらないけど、私は4つ年齢を重ねていて、大人の一歩を踏み出していました。だからこそ、父親ピエールのいうセリフも共感でき、でも時々発せられる都合のいい発言は二コラに寄り添いたくなり、どちらにも共感できてしまうことが逆に辛くもありました。その分私も成長したんだと実感もできましたが(笑)
そんな変化も楽しみながら、作中のセリフに救われたのです。
再演される4年までに私自身も色んなことを経験し、ずっと気がかりなことがありました。そのモヤモヤを二コラのセリフが掬い取ってくれました。言葉にできず、心の中にずっとあった靄がスッと消えていきました。それと同時に涙がこぼれ、自身の感情をやっと頭で理解することができました。まさか舞台観劇で自身の悩みを掬い取られるとは思わず、その後は茫然としていましたが、作中の二コラと自分は一緒なんだ、1人じゃないんだと気づくこともできました。
作品は、非常に暗く苦しく、つらいものですが、今回は初演時と違い、少しのユーモアも加えられていました。クスっと笑え、和む瞬間が、舞台上にいる家族3人が現実のように見え、感情移入がより深くなりました。
笑顔が生まれるからこそ、より現実味のある家族に見え、前回との演出における大きな違いだったなと感じました。
セリフも変わっている部分があり、初演を観劇したからこその楽しみ方もできました。今まで、同じ作品を何度も観ることはあっても、再演を観劇したことはなかったので、普段以上に舞台観劇を楽しめました。
ちなみにこの記事は、この作品の取材記事の中で一番好きなものです♡
岡本圭人という役者について、知っていただけるといいな…。
若村麻由美の芝居
続いて、「La Mere 母」について書きます!
この作品は、「Le Fils 息子」では母親だったアンヌが主人公の物語です。
アンヌはこれまで自分のすべてを捧げて愛する子どもたちのため、
夫のためにと家庭を第一に考えて生きてきた。
それはアンヌにとってかけがえのない悦びで至福の時間であった。
そして年月が過ぎ、子どもたちは成長して彼女のもとから巣立っていってしまった。
息子も娘も、そして今度は夫までも去ろうとしている。
家庭という小さな世界の中で、四方八方から逃げ惑う彼女はそこには自分ひとりしかいないことに気づく。
母は悪夢の中で幸せだった日々を思い出して心の万華鏡を回し続ける――。
私にとっては未知の領域でした。だって、母親というものを経験したことがないから。今回、3回観劇させていただきましたが、やはり私にはまだ理解する力が備わっておらず、腑に落ちない点が多々ありました。
ただ、友達が親と一緒に観たらしく、友達が親御さんにめちゃくちゃ共感できたと言われ、気まずかったそうです…
加えてこの作品は、とても不思議な展開でした。
上記のあらすじの最後の1文を読んでください。
「心の万華鏡を回し続ける」
この作品は同じシーンが何度も繰り返されるのです。しかし繰り返されるたびに少しセリフや状況が変わっていて、でも同じセリフや出演者で、想像する物語ではありませんでした。アンヌは、幸せだったころを思い出して、それを家族に押し付け、現実から逃げているようで、アンヌの頭の中が舞台上で表現されていました。
そして、主演の若村麻由美さん。本当に素晴らしかったです。
「Le Fils 息子」の初演時は、圭人くんに会えることばかり考えていて、恥ずかしながら、共演者の方のお芝居までしっかり観れていませんでした…
この「La Mere 母」は、麻由美さんの1人芝居といっても過言ではないくらい、約1時間40分舞台に立ち続けていました。
『Le Fils 息子』とは異なり、感情が表に出過ぎる役だったからこそ、麻由美さんの芝居力が発揮されたのだと思います。
この迫力は今までに観てきた作品でも数少ない感覚を味わった時と同じでした。瞬きすら許さず、観客を惹きつけ、そこに役の本人がいるかのように虜にする時間でした。
この舞台を観てから、偶然なのか必然なのか私の麻由美さんが観たいという欲望を叶えるかのように、テレビドラマに出る機会も増え、舞台とは異なる芝居を観られたのもとても嬉しかったです。
個人的には、「ザ・トラベルナース」の元看護師兼患者の八木めぐみ役がオススメです!
私がもっと大人になって、この『La Mere 母』を観てみたいと思いました。
そうしたら、見え方・感じ方が180度違うのかなと…
舞台はその瞬間でしか味わえないからこそ、私がこうだったらという“たられば”を考えてしまいます。
それが面白くもあり、切なくもある舞台の醍醐味なのかもしれません。
🍵Moyuのひとりごと
下書きは昨年には書き終えていたものの、作品への熱量が高く、ハチャメチャな内容だったので、少し期間を空けて推敲してから投稿しよう…
そう思っていたら、2025年になっていました。
岡本圭人くんは、この作品のあとに2作品舞台を経験し、今年もすでに3作品が決定しています。
全くレポを書く暇がなかったため、思い出したかのように過去のレポをあさって、残そうと必死になっております(笑)
4月からは新生活。まだ先が見えず、不安ばかりが漂っていますが、まずは今を楽しんで、素敵な時間を過ごしたい!