火焔土器

 北海道に行った折 白老(しらおい)の老舗旅館別館に泊まったことがある。
太平洋岸面し断崖の上に作られたテラスは快適であった。
その館内にガラスケースがあり その中に置かれた置物に眼が止まった。
縄文土器が置かれ、レプリカと表示されていたが その造形は胸をざわつかすものがあった。
火焔土器との最初の出会いである。

後日 新潟県長岡市にある「馬高(うまたか)縄文館」を訪れた。
圧倒的迫力である。県内各所にある土器にも逢いに行った。

その迫力、素晴らしさについては色んな人が いろんなところで 表現している。

使い道は?

それとは別に 気になることがある。
その用途目的が 特定されていないことにある。
一言で言えば あれだけ装飾性の高いものが何のために作られたかである。

あまりに芸術性が高く評価されて 誤った方向への考察が危惧されます。
少し考証を加えてみます。
祭器として使用されたかはわかりませんが 普通に考えれば 生活の必需品
生活用品と考えるのが妥当と思われます。

実際 煮炊き 炊事用と考えると 容器の中に具材を入れて使うとすれば
焦げやら汚れがつくと その管理、汚れ取りの手間は大変なことになる。
あの装飾は 不要邪魔以外の何物でも無いことになるでしょう。
それでも日用品として使うとすれば 蒸し物用以外には思いつきません。

主たる用途として 主食に近い例えば栗や木の実 または米を蒸すと考えれば あの形状はまさに理想的に作られていると思います

底あるいは胴の部分の細身 縦に作られた文様 火が熱が上に向かって伝わるように設計されています
そして 上に広がった火焔文様の部分 よく見ると穴と波形で造られています。
これは 円形の広口部分に木の枝、細い棒を刺し渡し 安定させる受け組み手として作られています
何を乗せるかと言えば 篭 編んだざるあるいは筵のような敷物 そこに蒸される物を入れ 火焔造形部の内側にぴったりさせると全体で蒸し器になります。

あの火焔は単なる飾りでは無く 蒸し器の側面を形成する実用部品となります。

使い方

いったん実用品として基本形状が完成したら あとは気に入らない部分を修正し 芸術魂に火がついたら 思いどおりに表現し あの火焔土器となったと思います

従って使い方は まず下方の胴の部分に水を入れ 外側に熱源となる炭または薪を置き 火をおこす。
首部分の穴に木枠を橋渡しざるの受け台を作る。必要に応じ波部分に小枝を渡し安定した受け台とする。
ざるを乗せて蒸したい材料を並べ湯気の上昇を待つ 湯気が全体にまわったら あとは蒸し上がりを待つだけとなる。
 いい匂い うまそ

通常は囲炉裏から移動させることもなく 蒸発で減った水をつぎ足す程度で
どこも汚れることもなく日常炊事が可能となります。

検証

大半の出土品は きれいです。
水を入れるだけなら 汚れなく使えます。
たまに焦げた米が底についていたなら 使い方を誤ったと言うべきでしょう。
あの細い胴体部の中をこそげ落とし 水洗いをするのはあまりに大変です。
とにかく上部が邪魔になります。
昔から失敗する人はいるとの証です。

あと蓋はあった方が良いと思います
バナナの葉があれば理想的ですが 日本では無理
かしわの葉か ほか大きな葉 網代が組めたらそれも良いかと思います
昔の人も 一生懸命工夫したと思います

ぜひ実験したいとは思いますが、実物がありません
勝手ながら できる環境におられる方 ぜひ実証実験を期待します

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