神社仏閣を楽しむ:神社の肩書の源? 「社格」とは何か? その歴史は?
こちらの投稿は、「大人散策辞典 ”wiki stroll” ~tomoaki blog~」の "Original の記事" を基本同じ内容で、記載している記事になります。Original の記事では、より多くの写真も含め記載しておりますので、併せてご参照頂けますと幸いです。
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【はじめに】
こちらのページでは、神社の肩書と言って良いと思いますが「社格」に付き考察を加えさせて頂きます。
皆様は、神社めぐり等は、されますでしょうか? 私達夫婦は、寺社巡りが好きで、多くの神社仏閣にお邪魔させて頂き、大人散策を楽しんでおります。本ブログ別記事で紹介させて頂きました、「狛犬ではない、狛〇シリーズ」と言った観点や、居住地川越での「七福神巡り(基本お寺ですが…)」、読み方から野球に関連しバット絵馬等がある「東松山の箭弓神社」、「通りゃんせ♪」発祥の地と言われる「川越の三芳野神社」、江戸風鈴の飾りが見事な「川越氷川神社」、日本一の参道の長さを誇ると言われる「氷川神社の総本社・大宮氷川神社」等、様々な特徴のある神社等にお参りさせて頂き、大人散策を楽しんでいます(それぞれ詳細は別記事参照)。
御朱印ブームもあり、多くの方が神社にお参りにいらっしゃる様になった昨今ですが、実際に神社めぐりをしていると、神社名を標記した石柱に「村社」と記載されている神社であったり、それがセメントで覆われて見えなくなっている神社もあれば、「一宮」や「官幣大社」を謳う神社もありますし、「総社市/一宮」の様に地名にまでなっている地域もあり、様々な場所で、ちょっと疑問を持ちたくなる光景や事象を目にしたり、耳にしたりするのでないかと思います。言い換えると、「何で神社の石柱がセメントで覆われているの?」、「『〇〇国一宮』・『官幣大社』ってどんな肩書?由来は?」、「『総社』ってそもそも何?」と言った様な疑問が湧いてきてしまった経験がある方も多いのでないかと思います。
こちらのページでは、上記の様な疑問を解決すべく、神社の肩書とも言える「社格」に関し、その内容と歴史に付き調べた上で考察を加えさせて頂きました内容を共有させて頂きます。
【「社格制度」の名残?:別表神社とは?】
上記の様に「官幣大社」と言った肩書を、神社にある石柱でも見る事がありますし、大宮氷川神社の様に「武蔵国一宮」とも、HPに大々的に記載している神社もありますが、現代ではそういった肩書的な「社格」は正式には存在していない様で、それに代わるものとして、「別表神社」と言う ”カテゴリー分け” が存在しているのみの様です。Wikipediaの「別表神社」の項目には、以下の様にあります。
戦後、「戦争原因の一因が『神道にある』」との理由で「国による神社の管理禁止」が、GHQから命令された事(神道指令:信教の自由や軍国主義の排除、国家神道を廃止、神祇院を解体し政教分離を果たすために出されたもので、公的機関による神社への支援、資金援助が禁止された)により、新しい制度として生まれたのが「別表神社」と理解しています。その一覧表もWikipediaより引用いたしましたが、その顔ぶれは、(勿論存じ上げていない神社もありますが)比較的大きな、有名処の神社の様で、(伊勢神宮だけは別格の様ですが)別表神社に名を連ねる事は、「格付けではない」の「建前」はありつつも、一種のステータス的要素であるよな気もした次第です。信仰心には上も下もないので、「その建前」は時代にそくした物だと思う反面、国家の礎を築き、その役割を信仰と共に存在し続けてきた神社側の視点から考えると、自社のアイデンティティ・「社格」的要素を「建前上」堂々と謳えない事は、ちょっと割り切れない心情もあると思い、現在でも以下に記載する、大宮氷川神社の様に「武蔵国一宮」を謳ったり、秩父神社の様に「国弊」を謳ったりするのは、仕方ないと思った次第です。
【「社格制度」の歴史】
上記の様に、現在では「(伊勢神宮は別格として)建前上、上も下もない社格」ですが、今尚、大宮氷川神社の様に「武蔵国一宮」&「官幣大社」を謳う神社がある事も事実です。では、『その「社格」は、いつの時代のどんなものだったのか?』を理解すべく、時系列で、社格制度の変遷を見て行きたいと思います。
・上古社格制度
上古社格制度は、古事記や日本書紀の編纂前にはあったと言われている制度の様で、天津社と国津社に分類した制度と理解しており、「社格」と言うより、簡単に言ってしまうと「天皇家に直結する純粋な味方の血統か否かの分類」と思った次第です。Wikipediaの「天津神・国津神」の項目には、以下の様にあります。
参考
天津社=天津神(天照大御神を代表する「高天原もしくは高天原からの神々の総称」)を祀る神社
国津社=国津神(スサノオや大国主命を代表する「葦原の中国(この世?)の神々の総称」)を祀る神社
・古代社格制度
古代社格制度は、平安期位に定められた制度の様で『「延喜式」と呼ばれる法令にて、「式内社」と「式外社」に神社を分類した内容で、同時に、官幣社は神祇官より奉幣を受ける神社で、国幣社は国司より奉幣を受ける神社といった分類』を見て取れる様です。Wikipediaの「社格」の項目、「古代社格制度」の段落には、以下の様にあります。
私の理解は、①まず全国各地の神社を「式内社」or「式外社」に分け、②「式内社」を「官幣社」or 「国幣社」に分けた』と理解させて頂きました。つまり『「式内社(「官幣社」 > 「国弊社」)」>「式外社」』といった理解になった次第です。言い換えると、「官弊/国弊」等を謳う神社の由縁は、この平安時代に定められた「古代社格制度」にある様です。1000年以上昔の「社格」が今尚「神社の肩書」に使われている所もある様で(使っていない所もあると思いますが…)、神社の視点から見た時、「昔からある由緒正しい神社です!」とアピールしてる様に感じた次第です。
・中世社格制度
平安期も後期にさしかかるタイミングで出てきたのが、「中世社格制度」と言われている様です。Wikipediaの「社格」の項目、「中世社格制度」の段落には、以下の様にあります。
良く聞く「〇〇国一宮」や「総社/一宮」の地名の由来は、「中世社格制度」にある様です(総社市:総社のあった場所、一宮:国の一宮があった場所)。日本各地に多くの神社がある中、国の礎であり、神道の拠点でる神社を、国(地域)を管理する国司は、巡拝する必要があったが、車もない時代に回るのは非常に大変なので、「社格を決めたり(一宮の設置)、一か所に合祀し(まとめ)たり(総社の設置)して、業務の効率化を図った」ものが、「中世社格制度」と理解しました。神社側の視点で言い換えると、「国司が優先的に巡拝する由緒正しい神社です!」と言ったアピール材料になり今尚これが使われていると思った次第です。
・近代社格制度
近世社格制度は、明治期に新たに神社の等級(ランキング?)をやり直した制度と理解しています。Wikipediaの「近世社格制度」の項目には、以下の様にあります。
地方の小さなな神社めぐりをしていると、入口にある石柱の「村社」の部分を、セメントで隠した、もしくは隠した痕跡のある神社に出くわすことが多々あります。これまでその理由が分からなかったのですが、敗戦によるGHQの干渉を恐れた事が理由との事、腑に落ちた感じがしました。上記に記載した「別表神社」の前の社格制度が、この戦争の原因の一因になったとされる「近世社格制度」で、戦後GHQの「神道指令」によって廃止されたと理解しましたが、同時に、現在の日本人の宗教観を見ていると、「GHQは、日本人の宗教観を変えようとしたが、結局日本人の『八百万の神々』の本質は、いい意味でも悪い意味でも変わらなかった」と思った次第です。
【最後に】
以上が、神社の肩書と言って良いと思いますが「社格」に付き、それぞれの時代における制度の概要理解とそれに基づく考察をさせて頂いた内容になります。
国家の礎を築き、その役割を信仰と共に存在し続けてきた神社という神道の拠点。その等級を「社格」として、「上古社格制度(天皇の見方の直系か否か)」⇒「古代社格制度(式内社:国弊・国弊/式外社等)」⇒「中世社格制度(一宮/総社等)」⇒「近代社格制度(官社/諸社等)」と時代の流れと共に変遷してきたが、戦後は「建前上」その等級は(伊勢神宮は別格として)なくなり、「別表神社」として形を変えた訳です。
しかし、上記「近世社格制度の段落内のWikipediaの引用(社格とは国家による待遇の差を表したもので、その神社への崇敬の厚さを表したものではない)」にもある様に、今も昔も「『社格は存在しているが、信仰心に上も下もない』」と考えていたんだなー」改めて感じたましたし、神社側のアピール材料の視点としては、現在では、「建前上」なくなってしまった「社格」を時代を遡る事でアピールし続けているとも思った次第です。同時に、長い歴史を持つ日本だからこそ、様々な視点の様々な都合に基づく表現が絡み合っているが、それを上手い事使い分け、社会が成り立っている様にも思え、「これこそ日本人の得意技!」とも思った次第です。
今後も神社巡りは継続していく事になると思いますが、上記の視点も加えてつつお参りさせて頂く事で、大人散策的要素を加えた神社巡りが出来るのでないかと改めて思いました。
尚本ブログでは、諏訪大社や熱田神宮、大宮氷川神社、川越喜多院と言った有名何処の神社仏閣に加え、日本三大怨霊 / 日本三大八幡 / 神社の社格 / 神社のカテゴリー分類と言った内容に関する考察の記事も記載しております。以下に、本ブログで記載した(一部記載が追い付いていない神社仏閣もありますが…)祭神の系統や社格(神社)や宗派(仏閣)といった切り口で、マトリックス上にまとめた一覧表を共有させて頂きますのでご参照頂けますと幸いです。また、今後調査や訪問を行い、本ブログで記載していきたいと思って折りますので、「更新中」である事を予めご容赦頂けますと幸いです(画像では見にくいので、クリック頂くとpdfのファイルが開く様になっております)。
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