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消化器内視鏡領域における PuraStat の立ち位置とは?

現在、国内においては、消化器内視鏡領域で使用が為されている局所止血材はピュアスタットだけです。(バクスターのフロシールや、バードのアリスタAH 等、使用を意図した開発が行われた止血材は他にもありますが、明確に「消化器内視鏡領域」をうたって承認を受けたのは、ピュアスタットだけです。)

それでは、欧州や米国でも事情は同じかというと、消化器内視鏡領域における止血が Indication for Use となっている局所止血材が PuraStat 以外にも幾つか販売されています。

その中でも、PuraStat よりも早く承認を受けているのが、アメリカの大手医療機器メーカーである Cook 社が開発し、製造販売を行っている Hemospray と、同じくアメリカの EndoClot 社が開発し、複数の企業(その中にはOLYMPUSの名前もあります)から販売されている EndoClot があります。

どちらもパウダータイプの止血材で、止血力に関しては、PuraStat と同等か、出血のタイプによっては上回るという製品です。

販売力においても、大手企業である Cook が直販する Hemospray はもちろん、こちらも複数の大手企業に販売を委ねている EndoClot も、 FujiFilm が販売を行う PuraStat に少しも引けをとらないと言えるでしょう。

それでは、欧州において PuraStat は Hemospray と EndoClot に対して不利な戦いを強いられているのでしょうか? 

いいえ。逆に、両止血材の市場を PuraStat が奪い取っている、少なくとも、新たな市場の開拓においては、この2つの競合止血材と比べ、はるかに有利に事を進めていると言えるでしょう。

Hemospray と EndoClot の具体的な売上は、どちらも公表はされていませんが、そもそも欧州の GI 内視鏡の術中出血に対する止血材の市場規模は、当初 10億円と見積もられていました。(フィスコレポートの記述より)  それ以上に売上を伸ばすには、新たな用途での使用が始まるか、または競合止血材の顧客を奪い取るか、そのどちらか、または両方が必要です。

そして、前期の PuraStat の欧州売上は 8億を超え、今期の目標は 20億に近づく水準に達しています。この事から、PuraStat が Hemospray と EndoClot に、消化器内視鏡領域の止血材として優位性を持つ事に疑いはないと思われます。

では、PuraStat が、これらの止血材に確実に上回る点とは、何でしょうか。

ひとつは、Hemospray と EndoClot がパウダー止血材であるため、使用後しばらくの間、内視鏡の画像を塞いでしまう事でしょう。そのため、止血を行う度に、術式を中断する必要が発生します。

次に、パウダー止血材は、パウダーを患部に送達するための専用の機材が必要になるために、そのための特別な費用が発生する上、その機材の保守点検が必要な場合があります。使い捨てのプレフィルド・シリンジから、必要な時にすぐに使用可能な PuraStat の優位性は明らかです。

そして、何よりも大きな利点が、PuraStat の持つ高い創傷治癒効果と、それに基づく後出血予防効果です。

例えば、Hemospray も放射線性直腸炎に対する適応拡大を目指した臨床試験を実施しています。

Trial of Argon Plasma Coagulation Versus APC and APC and Hemospray in the Treatment of Radiation Proctitis
Study Start Date :September 2014
Estimated Study Completion Date :December 2015

しかし、今に至るまで、この臨床試験の結果は報告されておりませんし、Cook が Hemospray の RP への適応拡大を、どこかに申請したという事実もありません。

EndoClot は、後出血予防効果を確認する臨床試験を、複数回行っています。

EndoClot for Preventing Rebleeding After Endoscopic Mucosal Resection (EMR)
Study Start Date :April 2010
Actual Study Completion Date :March 2012

そして、この臨床試験から 10年以上が経っていますが、EndoClot が後出血予防材として承認を受けたという事実はありません。

PuraStat が持つ、創傷治癒効果と後出血予防効果。これは、他の止血材が持とうとしても、どうしても持ち得なかったものです。

これが、PuraStat が Hemospray とEndoClot に対して持つ、絶対的な優位性といえると思います。

そういった意味において、競合製品はあれども、PuraStat は世界の全ての消化器内視鏡領域での局所止血材として、One and Only の製品と言えるのではないでしょうか。


 

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