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飲食と人生 ( 取り留めのない放言とレシピ) その15

 マグロ素人談
私は、学生時代より46年住んだ山陰から、つい最近、思いもしなかった縁と絆をもらって、関東の外れに住んでいます

 魚屋さんや鮮魚コーナーで驚くのはマグロの豊富さです。いわゆる本鮪に限らず、メバチ、キワダ等の地元産が豊富です。
 柵(切り身)で買えるので、肉と同じ感覚で扱えるのも便利ですね。

 鳥取県境港市の魚市場には6-7月ころに、世界的に悪名高き、巻き網漁があり、生の本マグロの子供を丸ごと頂いたり、柵で買えます。(それなりの値段はしますが)
 私は、悪い奴で事情を知っていて、頭では良くないと禁漁には基本的に賛成ですが、では食べないのかと言うと、食べます。
買ってでも食べてしまうのです。
本当に悪いヤツです。
 あの旨味、生の良い香り、小型ゆえの繊細な脂、小型であっても各部位の特徴ある様々な味の前に抵抗力が有りません。
 もうすでに死んでいるので、コレを食べないのでは、このまぐろは無駄死になってしまう。と作為的に納得させる訳です。
 繰り返しますが、この漁法、時期は
サステナビリティに欠けていて、賛成できるものでは有りません。

10キロ未満のモノでも、(  牛のバラ、サーロイン(上部、中部、下部)、もも、モモの真玉、等の違いと同様に)
部位によって、様々な特徴が有ります。
 先ずはトロ、ハラカミあたりの脂の強いところでも、日本海のイカを主体に食べたモノは、味も想像以上に濃く、良い血の香りだけでなく、脂の軽さ、細やかな(入り)が自慢です。
7、8キロを超えると赤身(上身)にも細かいサシが入ります。
 砂ずりやヒレ下、頭肉も、小さいのにキチンと特徴ある味わいを持っています。
 頭肉はその中でも特に、味が濃く、見た目は赤身ですが、上品な脂が、凄い。常温では、流れ出るほどの良質の脂を含んでいます。
まな板を冷やして、頭肉の筋を取り、なめろうのように叩きます。ネギ、大葉 等の薬味は要りません。出来れば、無塗装の木や竹の匙ですくって食べてほしいと思います。
(普段は、気にしない様にしてますが、金属製のスプーンは、独特の金属臭? イオン? を感じる為です。)
 赤身も上身は、刺し身にして、
生の風味を楽しみます。血のような香りが、堪りません。罪深い話です


 山陰では、(   刺身醤油  )、という、焼酎味醂、白砂糖や人工甘味料がこれでもか!!と入った醤油がありまして、文化の1つになっています。近年では、全国各地にあるそうです。とろりとして、人気が有ります。
 良い組み合わせだと思うのですが、あの鋭くて、強い甘み、後口が嫌で、私は、蕎麦屋さんが仕込む、本返しを自作して、昆布水で割ったモノで頂きます。更に、純米酒で、好みに割るのも大変、調子の良いものです。ハハ。

 この素晴らしい、稀有な機会に於いても、(私、生魚が苦手です。)という方がいます。その場合、先ずは、5分ほど全体に塩を振りかけ、湯霜にしてから、本返しに、香るくらいの山葵を溶いたタレでジプロックに30分ー数時間、漬け込みます。  (その後、ペーパーで包んで1-3日、熟成させると 別物の美味さが有ります。)
 いわゆる(  漬け  )ですね。生魚はサーモン!!なんていう方達にも、好評です。
 更に、小皿に本返し、マヨネーズ、一味唐辛子なんて組み合わせも有ります。そうです。炙ったスルメのタレに使われるものです。
私の家飲み会メンバーにも、刺し身嫌いが居まして、今では、いろいろ食べるようになりましたが 今でも、初夏に近づくと、鰹や本鮪をアレで食べたい、などと言ってくれます。
市販品のマヨネーズも、以前は使ってある植物油が嫌な匂い、味が我慢できず、自作していましたが、近年は圧搾油や平地飼いの卵黄、純米酢等を使った良い既製品も有りますし、自作しても冷蔵保存し、空気に触れないようにすれば、1か月後でも全く、品質の変化はありません。(乳化しているからです。納得できない人はネットで調べましましょう。)
 しかし、やはり醤油、酢、昆布水、純米酒、和辛子、山葵、一味唐辛子、等に 貝割れ菜、ねぎ、大葉、みょうが等を
好みで組み合わせ、1切れ毎に
ああでもないこうでもないと考えながら、お酒で口を戻しながら、、、というのが私の楽しみの一つです。
 余った漬けは、3-4日経ったものを、純米酒(アルコール分を飛ばす)、水,3:7位に,海水塩(あれば天日干し海水塩)で澄まし汁より少し強く塩味を付けて お茶漬けにするのも
しみじみ美味しい。

コレはメバチやキワダでも充分な美味しさです。

 フィリピン、ミンダナオ島のジェネラルサントスという旅行者にとってはとても危険だとされる漁港にブルーフィン(本鮪です。)にツラレて、買いに行ったことが有ります。
 200kg位の鮪の腹身とその上身(赤身)を、8キロ位、手に入れて、ホテルの厨房に頼み込んで、刺し身、漬け、天麩羅、幽庵焼き、カルパッチョ、本鮪オムレツ等を盛大に作って、友人とその家族、親戚、ホテルスタッフ、コックさん達と大宴会した事が有ります。
現地の人達はソテー、ステーキ、グリルが、一般的な調理ですが、刺し身、カルパッチョ、幽庵焼き、天麩羅が特に好評で、レシピを書いてくれ、ホテルのメニューにする、なんて言ってました。ははは。
 もちろん 洋風の一皿にも仕立てられます。私のオリジナルは、辛子ソースです。濃い昆布水を熱くして(沸騰させない)和辛子粉 (より洋風に振るならバターで炒めた玉葱を徹底的に昆布水とミキサーしておく)、青葱、大葉、貝割れ菜等を混ぜて皿に敷き、湯霜、又は、焼霜した鮪を乗せ、残った薬味を散らします。マヨネーズを混ぜ込んだり、添えるのも有りです。
 もちろん、伝統的なフランスのソースも いろいろ試せそうです。

 そうなるとワインですね。新酒のシャルドネは、当たり前すぎるので、
オススメを一つ。シャルドネをウイスキー樽で寝かした物です。(ネットで調べましょう)  香りはウイスキー、呑み口はシャルドネとウイスキーを気持ちで味わい分け出来る、不思議なワインでした。

 中途半端な鮪の話でした。
 何故こんな膨大な歴史と地理、伝統と文化を持つマグロを題材にしてしまったのでしょう。ははは。

 今後、関東にて、ほとんど経験の無いキワダ、メバチに取り組んで、いろいろやってみたいと考えています。
 
 

 

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