家なき子
マンションを、売ると賛成したわけではなかったが、不動産情報には、うちのマンションが売りに出されて落ち着かない日々が続いた。
時々内覧に夫婦でやってきて、その都度部屋の掃除をして迎え入れるのが面倒だった。
立地、間取り問題ないけど、値段が。。もう少し安くなりませんかという問い合わせに首を振らず、半年程過ぎていった頃、東京から1人の男性が内覧にきた。
その日は、私がいなかったので、大吾が内覧に立ち会った。その頃には、片付けるのも面倒でありのままの我が家を見せることで、買い手もつくはずもないと思っていた。
ところが、その男性が痛く家を気に入ったらしく、是非買いたいと言ってきた。しかも、7200万円値切りなし、契約後半年は住み続けてもいいという条件で買いたいと言ってきた。
この好条件に大吾は売る気満々、でも、私は売らない方向に話を進める。この争いがしばらく続いた。
そこに現れたのが、例の悪友、今が売りのチャンスと大吾に肩入れをした。
売ったとして、じゃあ家族5人どこに住むの?
何度も何度も聞く、でも、はぐらかす。
その間も、会社の経営難は続いている。
平行線のままの話し合いだったが、最後は勝手に大吾が契約を結んだ。
これって、離婚案件じゃないか??
半年後家なき子になる現実を、真剣に考えているのだろうか。
契約をした後も、平行線の話し合いは続いた。
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