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板倉選手のレッドカード

2022年9月4日
ボルシアMG 0-1 マインツ
シュタディオン・イム・ボルシア・パルク

前節のバイエルンミュンヘン戦では、マネ選手やサネ選手が板倉選手の担当ゾーンに侵入してきたが、上手く対応したと思う。ワールドクラスの選手に文字通り身体を張ってゴールを防いできた。さらにボルシアMGのゴールキーパーのソマー選手が大活躍で、防ぎ切って勝ち点1を確保できた。

今節のマインツ戦は板倉選手にとっては、辛い結果になった。一発レッドカード退場に加えて、対象の反則に与えられたフリーキックを決められ、それが相手の決勝点となった。フリーキックは、前節大活躍のソマー選手が一歩も動けない見事なものだった。

レッドカードの場面は、相手のロビングボールをセンターバックの板倉選手が前進して、ヘディングで敵陣に跳ね返す。そのボールが再度敵陣から跳ね返され、今度は味方の同じセンターバックのフリードリッヒ選手と敵選手がヘディングで競り合った。そのボールがオフサイドポジションにいた相手FWの前にこぼれる。その選手を後ろから追いかけた板倉選手が手をかけて倒した。ディフェンス側選手の前にはゴールキーパーしかおらず、「決定的な得点機会の阻止」と判断されレッドカードとなった。
即時にVARが介入となった。オフサイドであれば、この反則はなかったことになる。オフサイドか否かのビデオ確認が行われる。その確認がされるまでは、板倉選手はピッチに残る。その間、板倉選手はなんとも複雑な表情だ。
しかし、ビデオで見ると相手FWへのパスではなく、フリードリッヒ選手のクリアミスであることが明確で、オフサイドではないことが確認された。

ビデオ確認が終わり、オフサイドがないことが確定し退場を促すシーンで、主審が板倉選手の肩を抱きかかえ、何かいいながら外に出ることを促したのだ。とても人間味があふれる主審だなぁと思った。板倉選手の振る舞いも見苦しくない。退場シーンの多くは、退場対象者と主審が敵対して、口論の末に選手が退場するのが標準だから。

不運なレッドカードと言えるかも知れないが、板倉選手のポジショニングが正しかったのかなあと感じる。板倉選手がヘディングで跳ね返した後、ボールから目を離している。オフサイドポジションにいる選手はほっといて良いと思うのだが、ボールがこぼれる可能性を準備していないことが気になった。後から見ればなんとでも言えるけれども。

私は板倉選手のこの辛い体験を跳ね返して一段成長すると信じている。なぜなら、以前もみているからだ。
彼が高校2年生のとき、2013年Jユースカップで川崎U-18は準決勝に進んだ。クラブ史上初めてのベスト4だ。試合は90分で決着がつかず、延長戦となった。そこでのキーパーからの板倉選手へのパスをトラップミスした。そのボールを奪われ、失点して敗退した。試合後のセレモニーで彼はずっと泣いていた。
翌年、板倉選手はさらに責任感の強く自分に厳しい選手に成長し川崎U-18のキャプテンとして、その後はトップ昇格し、今がある。

出場停止明けの試合が楽しみである。

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