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500年後の鳥の話と石の金の話をしよう

あなたは今にも飢え死にしそうな500年後を生きる「ある動物」である


季節は冬。
猛吹雪の中、裸で凍え死にそうになっている。
もう10日も何も食べていない。雪ばかり口にしているので下痢を繰り返し、何もかもが限界だった。

その時、1羽の鳥が目の前に降り立った。

空腹と寒さのせいで目はかすんでいるので、それがカラスなのか鳩なのかすずめなのかも分からない。
だが、あなたはただひとつだけ確信していることがある。

「絶対に、鳥は食わない」

これである。

なぜか?
あなたにとって、空を自由に飛ぶ鳥は「神様」と同列であり、神聖な存在で、食物の中には含まれないからだ。
いくら腹が減ってつらくて惨めでも、鳥は食わない。

ふと、遠くでぼんやりと空気が揺れるのが見えた。
火だ……松明だ……人だ、人がいる。「ヒト」がいる……!
と、同時に、背後の森の中から豹が近付いてくるのもわかった。大きな雌の雪豹だ。体長はおそらく2メートル以上あるだろう、足音でわかる。

あなたは、目の前の小さな鳥を見つめながら、立ち上がる。
ガクガクと震える手足で、後ろを振り返り、雪豹と睨み合う。
パン――と肉が弾けて、赤い血飛沫が雪の上を飛び散る。地獄のような咆吼が静かな雪山に響き渡る。
一際大きな叫びが山彦となった。
荒い息遣いの中、立っていたのは――あなただった。
あなたは、この雪山の主である雪豹に勝ったのである。

遠くで見ていた「ヒト」が石斧を手に近付いてくる。
そして、あなたに向かって言うのだ。
「お前は豹と戦って勝ったから、ヒトとして認める。今日から、お前の意見を聞いてやってもいい」

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――と、なんだか突然ぶっとんだ作り話が展開されたが、これは500年後の世界を描いた「とある有名漫画」をかなり魔改造したものである。

……500年後、豹も倒せない動物は「ヒト」としては認められず発言権はなく、石の通貨によって殺し合い・奪い合い・戦争をし、無知な者は奴隷として生き、ずる賢い者は自分達だけが得をするように社会のシステムを構築してゆく……(※超個人的読解によるものです)

2023年の今だからこそ読みたい漫画、そう、「望郷太郎」である!


皆さんご存知の、『望郷太郎』。
この作品は、2023年の今まさに読むべき漫画トップ10入り(※個人的希望)間違いなしの、絵柄のクセ強すぎィ!とノブさんも喜ぶクセツヨ漫画。

作品のリンクはあえて貼らないでおきましょう。
(これは小声でしか言えないが、マガポケというアプリをインストールしておけば、毎日1話ずつ無料で読めたり読めなかったり……個人の自由なので好きにしてほしい)

ちなみに、私は経済のことなんてほぼ意識せずに暮らしているパッパラパーなアラサーである

経済って、つまり、あの、お金でしょ、わ、わかりますよFP3級持ってるし……ゴニョゴニョ……みたいな感じで今までなんとか生きてきた。

だが、私の同級生はやたらと弁護士だ超大手企業のエリートだ、霞ヶ関だので、パッパラパーなアラサーをとことん刺激してくる。
お、おい、こっちにはFP3級があるんだぞ!

とほほ。

さすがの私も、NISAやiDECOについては3年くらい前に意識したことはあった――が、なんとな~く「これってよくわからんけど、暮らしに余裕があって、貯金に余裕があり、今後のライフイベント的に大金を出す予定があんまりない人間向け」のウレシイお話なんじゃな~い?
みたいに思って、漠然と毛嫌いして、それから2023年の現在も手をつけていない。

結果、今でもNISAやiDECOについて何も分かっていない。
お手上げである。

だが、ラッキーなこともある。
私の右手にいつもフィットしている5年前にネットで購入した格安スマホ。この相棒は今もサクサクとネットの広大な海をクロールしてくれ、『望郷太郎』という漫画に出会わせてくれたのだ。

なんで、紙幣には国名が印字されていないのだろう?

この素朴な疑問に答えてくれたのは、小学校の先生でも、大学の教授でも、会社の上司でも、親でもなく、『望郷太郎』の主人公である「太郎」氏だった。

淡々と過ぎてゆく日常の中、スーパーで買い物をする時、キャバクラで支払う時、ゲーセンで両替をする時、、、

日本のお金なのに、日本の国名ではなくて、日銀の名であるのは……はて?
と誰でも疑問に思ったことだろう。

そして、こうも思ったはずである。
紙幣ってなんだろう。
硬貨ってなんだろう。
なぜ硬貨と紙幣にわかれているんだろう?

『望郷太郎』を読んでくれ。課金しなくていいから

私も答えを教えてほしい。
不思議で不思議で。
一体誰が発行権を握っていて、出口はどこなのか……500年後、文明が一度滅びた後に金融システムを作るなら、今度は一体どうなって……あ、ああ……難しい話をしようとすると、じゃがりこしか食べられなくなる……。

だが、「お金について考える」上で、私なりの意見もひとつ述べさせてもらいたい。

500年後を生きる為に必要なのは、動物としての野生の勘なのか?


望郷太郎の話ばかりをして申し訳ないが、漫画を読んだことがない方のために、ざっくりとしたあらすじをご紹介したい。

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・500年前の世界ではそれなりにお金持ちだった主人公の太郎氏
・なんやかんやあって、世界滅亡の危機
・そうだ!冬眠カプセルに入って乗り越えよう
・長い年月を経てたった一人だけ500年後の世界で目覚め、豹と戦って勝ったら「ヒト」と認められたり、石を削って作られた硬貨(マー)を巡る悲惨な争いを見たりしながら、選挙に立候補したり、パンダに怯えたり……
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狩猟による生活をしている500年後の世界なら、さぞや無法地帯ばかりなのか……と思いきや、村もあれば、奴隷制度もあり、戦争も、選挙も存在することがだんだんと分かってくる。

面白いのが、500年後の世界でも手腕を振るって「金」を担保に交渉権を持っている主人公が周囲に信用されるのは、いつも「金」以上に「身体」を張った時ということ。

信用とはなんだろうか、と考えさせてくれるし、別に漫画の世界ではなくても、かつて石を削っただけの硬貨でやり取りしていた時代から2023年という時代になって人間は何を手に入れてきたのか。
動物としての野生の力、センスと確度、目に見えない「何か」みたいなものが案外大事だったりするのか……

とか色々考えたが、私はじゃがりこがうまければ今夜も「いい日だったよね」と思えるし、この世界を信用できている。

自分の中のセンスと確度を磨くものとはなんだろうか?
それは金だろうか。
金ではない、何かだろうか。
ある日、金以外のものでしか自分の価値を他人に認めてもらえないとしたら、何をするだろうか。

私なら、何をするでしょうね……絵が好きだから、唯一無二の作品を生み出すことに時間を使って、その絵をじゃがりこと交換してもらったり、コミュニティに混ぜてもらったりするのかな。

何をもってすれば、あなたはこの世界を愛せるだろうか。

500年後で目覚めたつもりで、今夜は眠りについてみたい。


#お金について考える


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