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“Strange Fruit” ビリー・ホリデーのバタフライエフェクト

NHKの「映像の世紀バタフライエフェクト」という番組が好きでよく観ます。

先日はジャズシンガーのビリー・ホリデーさんが歌った“Strange Fruit”という曲と共に彼女が歩んだ激動の人生をとりあげた回。
お恥ずかしながらその歌もご本人も存じ上げなかったのですが、衝撃的でした。

アフリカ系アメリカ人の方々の歴史は人並みくらいには知っているつもりでした。
実話を元にしたという映画もいくつか観ましたし、現代のアフリカ系アメリカ人の方の未だなくなってはいない差別に関する体験談の演説などもインターネットで観たりしていました。

しかし、情報として頭に入っていたものと、今回見た実際の当時の写真や当時の当事者の方々の生の声は全く異なるものでした。

壮絶なリンチによって殺された挙句、木に吊るして人目に晒されている遺体が“Strange Fruit”という曲名の由来。
私が一番衝撃を受けたのはその資料写真。

白人の人々が、その血みどろだったり、焼かれて黒焦げとなり手先や下半身が焼け落ちている遺体の前で笑っているのです。
まるで動物園で檻の前にいる客かのように。

遺体はモザイクなどの画像処理はありませんでした。
いわば殺人の被害者のご遺体です。見ていて辛かったので一瞬チャンネルを変えようとしたのですが、変えませんでした。

あの方々に起きたことを、なかった事にしないために私は目を背けずにしっかり見なくてはと思ったのです。

もちろん、他の国や地域でも悲惨な歴史がたくさんあるし、今現在も虐げられている民族があります。
しかし、それら全てを調べ尽くしたり慮ることは、私には難しいのが現実。

それならば、知ることができたこの機会はしっかり活かしたい。

少し大袈裟かもしれませんが“起きた事実から目を逸らさずにちゃんと知る”これが遠く離れた国で平和に暮らすちっぽけな私が今できる精一杯の敬意の示し方だと思いました。

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