R04 SM PM2-2 ITサービスの運用品質の改善について



設問ア
1.携わったITサービスの概要
 Z社は、自社開発のネットワーク機器を販売する通信事業者である。Z社では自社商品及びPCやネットワーク一般の問合せやインシデント対応(以下、これらをサポート対応という)を実施している。サポート対応は、電話を中心とした窓口対応をサービス要求として、電話による口頭誘導を実施する。この口頭誘導でサポート対応が完了しなかった場合、複数拠点に滞在するZ社技術部サポート課の要員が訪問しサポート対応を実施する(以下、これらを訪問対応という)。
2.運用チームの構成、及びITサービスの運用品質の改善目標とその設定根拠について
 Z社技術部は、全国50拠点に拠点を持ち、それぞれに1名の拠点長と5人~10人の技術部構成員(以下、メンバーという)が所属している。
 私は、技術部に所属するITサービスマネージャとして、サポート対応の品質管理を指揮している。
 Z社では、市場環境の変化、具体的にはRPAやAIといったITソリューションの高度化に伴い、サービスレベルの向上により顧客の期待を応えるためのサポート対応の品質改善が求められていた。
 私は、上記の品質改善の為に、訪問対応における複数回の対応に注目した。これは同一のサービス要求に対し、初回の訪問対応では復旧できず、複数回にわたり訪問対応を実施した(以下、再訪問対応という)対応となる。
 この再訪問対応の件数を削減することで、サポート対応の品質改善が図られると考え、私は、以下のように改善目標と目標値を設定した。
 改善目標は、サポート対応における総訪問対応に占める再訪問の割合(以下、再訪問率という)の削減である。目標値は現状の35%を30%とし、達成期限を設け、これを半年として設定した。ただし、最初の一か月でレビューを実施し、目標の設定の妥当性を確認することとした。
773-1573

設問イ
1.改善目標の達成の為の方策について
 私は、設問アで述べた改善目標の達成について方策を立案した。この方策については単一の方策ではなく、複数の方策を採用するようにした。それは、単一の方策の実施よりも複数の方策を実施することで相乗効果が発生すると考えたからである。以下がその内容である。
1.1 方策の内容
 方策の内容は、プロセス、ツール及び人の観点で設定した。以下にその具体策を述べる。
 ・プロセス:これは、再訪問となった場合の理由及び次回の対策を具体化する。Z社技術部では、サービス要求ごとに障害対応DBに起票し、サポート対応の内容を記載する。この記載内容を上記のように記載することで、拠点長が再訪問の妥当性をレビューする。
 ・ツール:二回以上の再訪問対応について、拠点長及び関係者に自動的にメールで通知をし注意を促す。
 ・人:運用チームのメンバのスキルの向上を図るために、週次で行われる週礼において、高難度であった対応について周知を図るように発表するよう指示する。
1.2 管理指標
 管理指標は、再訪問率とした。これを日次、週次で集計した結果を通達する。
2.運用チームの実態を踏まえて工夫した点について
 方策の実施にあたっては、運用チームのメンバーが改善に向けて動機づけを得られるように配慮した。これは、管理指標を遵守を徹底させ過干渉になってしまうマイクロマネジメントを防ぐことで計られると考えた。具体的には、管理指標について週次で通達する管理指標について、改善効果があったものについて拠点長から称揚するよう指示した。改善効果があったメンバーに対し、称揚することで、これをベストプラティクスとして周知する。これは、クイック・ウィンという手法を用い、目に見える改善により改善活動に対してメンバーに対して協力を促す為である。
 私は、以上を再訪問率削減の達成の為の方策としてまとめ、技術部部長に提出し、実行することとなった。
1580-2180

設問ウ
1.管理指標の達成状況と改善目標の達成について
 私は、設問イで述べた方策を実施して一か月が経過し、目標値を確認することとした。管理指標は週次での改善が見られ、改善目標である再訪問率も33%を記録し、改善効果が見られた。期限を半年として設定したため、このまま周知徹底を図ることで目標達成は十分に可能と考えられる。
2.改善の取組の評価について
 私は、次に改善の取組全体のレビューを実施した。これは、以下のようにまとめられる。
2.1 良かった点
 改善の取組において、運用チームのメンバーが主体的に活動できた点は各拠点長から良い評価があった。これは今後も同様の改善活動を実施する際に、運用チームのメンバーが主体的に参加できるよう、トップダウンの手法だけでなくボトムアップの手法も取り入れることが必要であると考えられる。
2.2 悪かった点と今後の改善点
 悪かった点は、施策のうち人に対する施策である高難度であった対応の発表が効果が不明瞭であった点である。これは、発表が一過性の物であったため、技術が定着しなかった為と考えられる。
 ただし、今後とも顧客の期待を応えるためのサポート対応の品質改善は継続的に実行しなければならない。この為、再訪問対応を要する可能性のある高難度の対応については、周知を図る必要があると考え、私は各拠点長にこの発表に対して各メンバーに定着を図るよう指示した。


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