R5 SM PM2-2 サービスレベル管理におけるサービスレベルの合意について



設問ア
1.携わったITサービスの概要
 Z社は、自社開発のネットワーク機器を販売する通信事業者である。Z社は自社開発の設置からサポート対応までを自社にて行い、それらはZ社技術部が対応する。
 Z社技術部は、サービス要求の受付や電話対応などの内勤作業をサポート課にて対応している。サポート課の対応でサービス要求やインシデント対応(以下、これらをサポート対応という)が完了できなかった場合、機能的エスカレーションとして顧客先まで訪問し作業を実施する外勤業務を遂行するサービス課が実施する。
 また、サポート課及びサービス課のサポート対応において、専門性が高いものは常設された専門チームにより機能的エスカレーションを実施する。ただし、この専門チームの機能的エスカレーションは、電話での問合せのみを実施する。
 サービス課の外勤業務は、サポート課において一部を負担する。例えば、時系列における前後のサポート対応の調査など、外勤業務の補佐業務(以下、これらを外勤ヘルプという)を実施している。
2.討議を要することになった背景
 私は、サポート課に所属するITサービスマネージャとして、外勤ヘルプのサービスレベル管理を実施している。
 サポート課とサービス課は、月次でサービスレベル目標の報告及びレビュー(以下、これらを定例会議という)を実施している。
 先日の定例会議において、サービス課の要員から、サービスレベル項目のうち回答応答時間と回答時間の目標値の設定及び遵守を要望された。
 これは、サービス課のサポート対応が、情報技術の進展など作業環境及び対応内容が、多様化・複雑化・高度化しているためである。これに合わせ外勤ヘルプのサービスレベルを現状の回答応答時間を5分、回答時間を20分を目標値を設定した。
749-1549

設問イ
1.サービスレベルの合意に向けた取組み
 私は、設問アで述べたサービスレベル項目について、現状の把握をすべく前月の同項目を確認した。回答応答時間及び回答時間共にサービスベルの目標値をクリアしていた。ただし、前月はZ社の業務閑散期だったことの影響も考えられ、何らかの対策が必要であることが考えられた。
 私が検討したのは、以下の二点である。
1.1 専門チームのエスカレーション回答時間の遵守
 回答時間について検討した際に、確認したデータは全ての外勤ヘルプのうち、対応時間が多いものの上位の対応(以下、時間超過対応という)である。私は、これらの時間超過対応に共通する問題があると考えた。
 この考えに基づき検討した結果、時間超過対応は、専門チームの機能的エスカレーションを代理で実施している案件が多数を占めることが確認された。
 私は、専門チームの要員に依頼し、外勤ヘルプの問合せに関して、優先的に取り扱うことを依頼した。
1.2 チャットボットによる自動応答
 私は、次に回答応答時間について検討した。これは、外勤ヘルプの要員が全て対応中であった場合に、発生する可能性がある。この対策には、人員の増強が最も効果が高いと考えられたが、配置変換及びそれに伴う教育などは実行に時間がかかり現実的ではなかった。
 私が、実施したのは外勤ヘルプに関して、よくある回答などをまとめたチャットボットによる自動応答による対応である。外勤ヘルプのセルフヘルプによりサポート課からの問合せが減少できれば、回答応答時間のSLA遵守は可能と考えた。
2.サービスレベル管理の仕組みについて
 私は、外勤ヘルプのサービスレベル管理について、サービスレベル目標の未達が危ぶまれる事態が発生する前に、その兆候を早期に発見し、迅速な是正処置などが必要と考えた。
 私が、実施したのは従来は週次で集計していた、各サービスレベル項目の集計を日次に集計することである。
 私は、RPAにより、日次集計を自動化し、前日の実績値を測定可能なように手配した。
1600-2200
設問ウ
1.取組の評価
 私が、設問イで述べたサービスレベルの合意に向けた取組について、対策を実施して一か月が経過し、定例会が開催された。
 定例会では、SLA項目が遵守されたこと、及びそれらによってサービスかの対応の品質向上・効率向上が確認された、とサービス課の要員から評価があった。
 私は、以上から、サポート課とサービス課、双方のサービスレベルの合意は現状では達成することが可能であったと考えた。
2.今後の課題
 ただし、設問イで述べた取組のうち、チャットボットによる回答は課題と考えた。それは以下の二点の理由による。
 ①利用頻度の低さ:これはサービス課に利用を促したが、まだ浸透度が十分でなかった為、利用が想定よりも低い結果となった。これに対しては、サービス課の要員の協力を要請し、一層の利用を促すようにする。
 ②回答精度の低さ:これは、チャットボットの精度が低いため、利用したものの十分な回答が得られず、問合せの減少に寄与しなかった。私は、チャットボットの利用が進めば、外勤ヘルプのサービスレベルの維持に大きく貢献できると考えた。私は、このチャットボットについて実用に耐え、より精度の高い回答が可能なように、サポート課の要員に指示をした。
 私は、サービスレベル維持、及び向上には継続的で定期的な効果測定が必要と考え、以上の二点について、次回の定例会でもその効果を測定できるように、RPAで日次集計を実施できるように手配した。

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