H29 SM 午後2-1 ITサービスに対する顧客満足の向上を図る活動について

設問ア:ITサービスの概要と、顧客コミュニケーションの仕組みについて800

 Z社は、法人向けにOA機器を販売し、そのサポートや運用までを一括で行うソリューション事業を行っている。Z社の扱う商品のうち、プリンターやファックスなどの機能がある複合機(以下、複合機という)は、ネットワーク環境が整っていれば、ネットワーク回線を通じてエラー通知や、トナーの残量に応じて自動で発送を促す機能(以下、通知機能という)を利用可能なため、事前に故障前に利用不可となるインシデントに発展する前に対応が可能である。これら通知機能は、Z社技術部サービス課が管理している。
 また、Z社は、法人向けのソリューション事業者のため、平日月曜日から金曜日の9時から19時まで、土曜日は時間を短縮し9時から17時までをサポート対応の時間とし、日曜日と祝日の対応は実施していない。
 私は、Z社技術部サービス課に所属するITサービスマネージャとして、Z社の提供するOA機器を複数利用する大口顧客に対して、半期に一度、顧客先へ訪問し、経営層に対して期間内に発生したインシデントの報告及び説明を実施している。
 この定期訪問に先立ち、Z社では大口顧客を対象にしたアンケートを実施している。私は、その内容を分析し、調査結果を定期訪問の際に顧客へのサービス報告の一部としてしている。
 今回の定期訪問では、複数の店舗を展開する飲食店のA社である。A社のアンケートでは、店舗の一つから、トナー配送の遅延が起こり、店舗の複合機が一時的に止まってしまったインシデントが発生した件について書かれてあった。A社店舗は日曜日も稼働しているため、Z社のサービス課が機能していない日曜日にトナー配送が遅れ、このインシデントとなったものだった。
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設問イ:サービスの報告でレビューしたサービス目標の達成状況、課題、及び課題の対策について800-1600

 A社とのSLAは、サポート対応時間は、Z社のサポート対応時間と同様で、インシデントや故障などのサービス停止からの復旧は三時間以内としている。
 今回発生した、トナー配送遅延によるインシデントは、SLAで定義したサービス目標は、サポート対応時間とサービス停止からの復旧は数値的には問題がなかった。しかし、今回のトナー配送はZ社技術部が対応を開始し、配送が完了したのは、週明けということもあり二時間半かかり、SLAの達成が危ぶまれていた状況であった。
 定期報告でもA社経営層からは、この点の説明が強く求められた。
 事前の調査では、今回のインシデントは、A社の店舗において、非定期に行われたイベントでの印字の利用があり、通常のトナー使用量とは異なっていた。そこにA社がZ社サポート時間外の発生が重なり、今回のインシデントとなっていた状況を説明した。
 A社経営層からは、今回のインシデントに対する何らかの再発防止策を検討するよう課題として与えられた。そして、サポート時間についての変更が難しいことは了承しているが、サポート時間外のフォローについても同様に検討することを課題として与えられ、定期報告を終えた。
 私は、A社のようなZ社のサポート時間外にも営業活動をしている企業に対してのインシデント対応について検討するために、まず通知機能について確認した。
 通知機能は、トナー残量が一定の値を下回ると発報する機能であり、Z社規定では80%と設定されていた。
 私は、A社をはじめ、Z社のサポート時間外にも営業活動をしている企業については、このトナー残量を50%から80%の間で、該当顧客の利用状況に合わせて設定することとした。この設定によって、従来よりもトナー発送が早くなり、トナー遅配のインシデントの発生が抑制されることが期待される。
 また、通知機能を通じて、送られてくる情報のうち、エラー通知の情報も利用することとした。このエラー通知と実際に発生したインシデントの相関関係から、より事前にインシデント発生を抑制できると考えた。
 私は、この通知機能を管理するZ社技術部の複合機部門の要員を手配し、確認した。これについては、いくつかのエラー通知に対応して、必要な部品を事前に準備することが確認できた。
 私は、以上の二点をA社経営層に報告し、了承が得られた。

問ウ:設問アで述べたコミュニケーションの仕組みを使って把握した顧客の期待と満足の状態、及び顧客満足の向上のため策定した活動計画と実施状況について

 私は、アンケートの結果を受けて、顧客の期待と満足の状態を把握することが必要と考えた。A社の経営者層とアンケートに答えた利用部門のユーザーの、自社物件の取り扱いは異なっている。このため、特にユーザーの利用実態を踏まえた顧客満足度の状態の把握が必要と考えた。
 A社ユーザーの場合、Z社との連絡が取れない状況で、顧客満足を大きく棄損する可能性がある。この為、定例報告でもあったサポート対応外のフォローを用意することを検討した。
 私が、策定したのは、サポート対応外でも顧客自身によって対応が可能となるFAQの充実と、Eメールによる受付である。
 FAQは自社ホームページ内に、よくある問合せをまとめたFAQをZ社WEBサイト内に配置するようホームページ管理者に指示した。これは複合機を始め、PCの簡易操作など問い合わせが多く、顧客自身でも操作可能な内容をまとめたものである。
 Eメールによる、受付は従来では通知機能による自動受付か、電話による受付のみで、サポート対応外では受付できなかった為、これを改善するための窓口である。これにより、サポート対応外の時間に連絡がつかないことによるストレスを軽減することとした。ただし、実際に対応をするのはサポート対応の時間なので、この窓口に連絡があった場合には、サポート対応開始から対応が始まる旨を記したEメールを自動応答で返信するように手配した。
 私は、以上のように手配し、サポート対応外のフォローとした。
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