H29 SM PM2-2 ITサービスにおける顧客満足度の向上を図る活動について

設問ア:
1.私が携わったITサービスの概要
 Z社は、自社開発のネットワーク機器を販売する通信事業者である。Z社の商品は多岐にわたる為、Z社開発部により、カタログや導入例をまとめた営業支援システムR(以下、Rシステムという)をZ社営業部向けにリリースした。
 Rシステムは、Z社技術部サポート課によって運用や利用方法などのサービスデスク対応(以下、サポート対応という)を行う。Rシステムの問い合わせ窓口は、電話により受付をする。対応時間は、Z社の就業時間である9時から18時となっている。
サポート課と営業部はRシステムのサポート対応について、SLAを結んでいる。以下に結ばれたSLAのサービス項目と一部示す。
 ・電話呼損率:5%以下
 ・一次解決率:80%
 ・対応時間:40分
 電話呼損率は、営業部が窓口に問合せをしようとした時に電話がつながらない確率を示す。一次解決率は、問合せが対応を上級者に委ねるエスカレーションを実施せずに対応が完了した確率を示す。対応時間は受付から対応完了までの時間の平均で、サービス提供時間帯以外は経過時間として計算をしない。
2.顧客とのコミュニケーションの仕組み
 Z社技術部サポート課では、月次で定例サービス報告会を開催し、サービス利用者である営業部に対し、SLAで定義したサービス目標の達成状況などを報告している。
 私は、Z社技術部サポート課に所属するITサービスマネージャとして、上記の定例サービス報告会に参加しRシステムのサポート対応について報告している。
 定例サービス報告会では、営業部の要員が参加し、現状の顧客満足度の確認及びサポート対応の期待・要求事項を正確に理解する相互のコミュニケーションの場として活用されている。
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設問イ:
1.サービスの報告について
 私は、定例サービス報告会では、単にSLAの達成状況を報告するだけではなく、サービス利用者である営業部との良好な関係を維持する為のコミュニケーションの場と考える。この為、SLAの達成状況から得られる課題、及びその課題への対策も報告が必要と考えている。私は、この認識に基づき定例サービス報告でRシステムのサポート対応について報告した。
2.サービス目標の達成状況のレビュー
 当月のサービス目標の達成状況は以下の通りであった。
 ・電話呼損率:3%
 ・一次解決率:85%
 ・対応時間:35分
 電話呼損率は、十分に達成された。しかし、一次解決率と対応時間については危ぶまれた。
3.課題、及び課題の対策について
 私は、上記のサービス目標について、一次解決率と対応時間の課題について報告した。
3.1 一次解決率の課題、及び課題について
 私は、一次解決率のサービス目標は、Z社技術部サポート課のRシステムのサポート対応における習熟度の問題と考えた。Rシステムはリリースしたばかりのシステムのため、対応者の習熟度が十分ではなく、エスカレーションの対応が必要になったためと考えられる。
 私は、この課題に対し、対応者の習熟度の向上を図る必要があると考えた。具体的には、Eラーニングを手配し、この学習によってエスカレーションを抑制する。
3.2 対応時間の課題、及び課題について
 私は、対応時間の課題は、一次解決率の課題と同様、Rシステムのサポート対応の習熟度の問題と考えた。ただし、この課題については、Rシステムのサポート対応についての同様の対応や問い合わせを文書化し、この文書(以下、類例文書という)を参照することで、対応時間を短縮することで対応が可能と考えらる。
 私は、この課題についての対応策は、対応者に類例文書の利用を促進することで、サポート対応の対応時間の短縮が図られると報告した。
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設問ウ
1.顧客の期待と満足の状態について
 Rシステムは、リリース後にもサポート対応により問題なく利用されており、利用者である営業部からも高い評価を受けている。
 先月の定例サービス報告会で報告した課題についても、数値上からも、月例サービス報告会の評価からも順調に改善が進んでいることが確認された。この為、営業部の期待と満足の状態は、問題がないと考えられる。
2.顧客満足度の向上のために策定した活動計画と実施状況
 私は、Rシステムのサポート対応について、これまでの月例サービス報告会のなかで、以下の三点の要望を感じていた。
 ①対応時間について、類例文書を使った対応に関しては、対応時間が平均に比べて減少することから、この利用が望まれている。
 ②サポート対応外の時間の対応の要望がある。
 ③サポート対応が電話によるものの受付のみのため、それ以外の方法が望まれている。
 私は、上記の三点が顧客満足の向上のために必要と考え、以下の対応を検討した。
2.1 類例文書の充実
 類例文書の充実のため、サポート課の要員を増加し、まだ登録されていない内容を追加し、この拡充を図る。
2.2 サポート対応外の時間
 サポート対応外の時間のサポート対応は、現行の稼働体制では電話対応できない。このため、補完的に対応外の時間にも受け付けられるように、Eメールでの受付窓口を開設し、時間外の対応については、この受付窓口の利用を促すように手配した。
2.3 電話以外の利用のためのFAQ
 よくある質問と簡易的な対応についてはFAQを開設し、利用を促す。これは上記①の対応と並行し、作成を進める。また、②のサポート対応外の時間についてもこのFAQと併用することで、緩和されると考えられる。


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