R3 SM PM2-2 事業関係管理におけるコミュニケーションについて


設問ア:携わったITサービスの概要と、事業関係管理の概要及び事業関係管理における役割

 Z社は自社開発のネットワーク機器を販売し、故障時の対応までを行う通信事業者である。
 Z社営業部は、自社機器やネットワーク機器の販売や運用などを行う。Z技術部は、サポートデスクでの受付や主に電話による応答作業を行う内勤業務者(以下、内勤者という)と、内勤者の対応で復旧、改善できなかったインシデント対応などの機能的エスカレーション先である外勤勤務者(以下、外勤者という)によって訪問して対応作業(以下、保守作業という)を実施する。
 外勤者は、顧客一件につき担当技術者として一名配属され、日常的な対応は担当技術者が対応する。
 Z社の顧客の中には、規模が大きい、設定や設備が複雑な高難易度の知識が必要な顧客(以下、特定顧客という)については、担当技術者だけで保守作業を実施するのではなく、特定顧客向けの情報や技術をサポートする特殊技術課を配置し、保守作業のサポートをする。
 また、Z社では、情報漏洩などに繋がり得る情報セキュリティに関するインシデントや長期に渡る対応が必要な対応案件(以下、特殊インシデントという)とし、日常的な保守対応と区分している。
 私は、Z社特殊技術課に所属するITサービスマネージャとして、担当技術者だけで対応ができない特定顧客及び特殊インシデントというにおいて広く職責や技能を持って対応する階層的エスカレーション先として各関係の調整などのマネジメント活動を実施している。
 Z社技術部の事業者管理において、顧客への連絡は、通常対応では担当技術者から、顧客の担当者へ実施する。しかし、特定顧客及び特殊インシデントに対しては、対応するITサービスマネージャから経営層へとコミュニケーションを図る。

問イ:事業関係管理のために特に重要と考えたコミュニケ―ションについて、その目的、対象とした情報、特に重要と考えた理由、及びコミュニケーションの仕組みについて、工夫した点

800-1600
 私は、設問アで述べた事業者管理におけるコミュニケーションのうち、階層的エスカレーションでの各関係者のコミュニケーション(以下、関係者コミュニケーションという)を重要と考え、この中でも特殊インシデントを対象としたコミュニケーションの仕組みを配備した。
 特殊インシデントは、タスクフォースのように、複数人による専門技能を合わせ、適宜意思決定をする必要がある。特に情報セキュリティに関わるインシデント対応は症状の軽重から処置を前後させるトリアージなど専門の知識を持って対応する必要がある為である。
 この関係者コミュニケーションの仕組みは、通常は電話や電子メールでの相談などを併用するが、私はこれに加えグループ機能を持つZ社情報システム部が開発したチャットツール(以下、グループチャットという)を採用した。それは以下の理由によるものである。
 ①特殊インシデント対応には、時間に応じ変化する状況を適宜対処をする必要があるこの為、このグループチャットのリアルタイム性を利用し、対応を同時に関係者に通達及び指示できる点である。
 ②特殊インシデントの対応において、状況変化から対応者が増える場合、過去のログを確認することで、概要を把握することが可能となる点である。この点について、例えばEメールなどのみを利用している場合に比較して、より詳細な対応の履歴を追うことが可能となる。
 ③顧客との窓口が複数存在する場合に、有効な点である。グループチャットでは技術部だけでなく営業部の人員もメンバーに追加が可能である。この為、営業部や技術担当のような各チャネル毎に連絡が必要な場合において、迅速かつ正確に状況が確認でき適切な報告が可能となる。
 このグループチャットによるコミュニケーションは、特殊インシデント対応において、特殊技術課による対応の際に特殊技術課のメンバーが適切な人員を設定し実施するよう徹底している。

設問ウ:評価と課題

 私は、現状ではグループチャットによるコミュニケーションが十分に有効に機能していると考えた。それはこのグループチャットによるコミュニケーションでは、従来のツールよりも広い範囲のメンバーに粒度を下げた情報が共有できるからである。特に営業部からも以前では担当者に個別に進捗を確認する必要があったが、グループチャットであれば進捗確認も容易である。このため営業部員を通じた顧客への連絡の必要が突発的に生じた際も、内容が一貫した説明が可能であるため、営業部部長からも高い評価を得た。
 私は今後の課題は、以下の二点と考えた。
 一点目は、グループチャットに関するルールの整備が未実施である点である。これについては、特にメンバーの選出が特殊技術課のメンバーに委ねられるため、個人の経験に基づく非標準的な采配であるため、品質のムラが生じるリスクが存在する。このため、グループチャットに関する運用ルールをより詳細に設定する必要があると考える。
 二点目は、外部、特に顧客がグループチャットに参加できない点である。この点に関しては、Z社のチャットツールであるため、外部の利害関係者、特に顧客とのコミュニケーションは従来の、電話であったりEメールを通じざるを得ない点である。この点については、顧客への状況報告の進捗確認をグループチャットで報告し、遅れや不備がある場合に指摘するなど、補完的に利用することを促すなどで対応をすることとした。



 


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