H22 SM PM2-1 ITサービスの構成品目に関する情報

設問ア:携わったITサービスの概要とCMDBの利用において発生した問題及び原因


 Z社は、自社開発のネットワーク製品中心にネットワークソリューションを提供する通信事業社である。Z社では、サポートデスク対応も自社にて実施しており、自社ネットワーク機器以外にも、インターネット不通やオフィスソフトの操作案内など広く保守サポート対応(以下、保守対応という)をしている。
 この保守対応はZ社技術部が行っている。Z社技術部では、顧客ごとに、設置しているネットワーク機器や、利用回線などの保守対応に利用する構成品目に関する情報を一元管理する、顧客環境のネットワーク環境書(以下、環境書という)を保守契約を結んだ全ての顧客ごとに作成している。
 環境図は、Z社保守契約を結んだ時点及びZ社の製品を導入した時点で作成される。
 先日、ある保守対応にて、クレームが入った。内容は「依頼した保守対応が、顧客環境の確認に時間がかかり、対応完了に非常に時間がかかった」という内容であった。
 このクレームの内容(以下、今回対応という)について対応者に確認したところ、環境図が作成当時から変更がされておらず、現状環境の把握に手間取り、保守対応に時間がかかったことが確認された。
 今回対応について、月時で開催されるZ社技術部会議において、問題の対応策が求められた。
 私は、Z社技術部に所属するITサービスマネージャとして、会議に参加し、今回対応についての対応策を、技術部部長から依頼された。
 私は、現状を把握するために、今回対応の環境図を確認したところ、自社製品が導入された時点で作成されたまま情報が更新されていないことが確認された。また、保守対応の要員にアンケートを実施したところ、項目が足りず必要な情報がない、頻繁に更新が行われていても前後関係が分からない、といった意見があった。

設問イ:問題に対する改善 


 私は、今回対応及び現状の環境図の問題の再発防止と改善の為に、現時点での環境図の不備を修正し、次に作成及び追加のルールの順守を図る必要があると考えた。
 まず、私は、サービスデスク対応者のなかから数名を手配し、環境図のチェック(以下、チェック作業)を実施するチームを配備した。
 チェック作業について、私は以下の二点を工夫した。
 一点目は、全ての環境図を対応とすると作業量が膨大になってしまう為、チェック作業を必要最小限とすることである。これは、環境図を保守・運用するZ社情報システム部から、直近一年以内で閲覧履歴があったものをリスト化したものを入手し、チェック作業の対象とすることとした。
 二点目は、チェック作業について、作業の簡素化である。これは環境図に自由追記できる項目欄を追加し、不備の修正ではなく不備の内容を追記し、次回対応時及び環境図閲覧時に、適宜修正することとした。
 チェック作業が一通り完了し、私はチェック作業者と保守対応の要員とミーティングを開催した。これは、チェック作業において洗い出された更新漏れの傾向の確認と修正の依頼及び修正のルールの周知徹底を目的とした。
 ミーティングでは、チェック作業者からの更新漏れの傾向として、自社製品の導入の際に環境図の更新が行われるものの、保守対応時に発覚した事項は更新がされにくいことが確認された。これについて、保守対応の要員からは、保守対応時には環境図の更新を考慮する余裕がない場合がある、という意見があった。
 私は、このミーティングの内容を受け、環境図の機能を改善することとした。
 まず、保守対応時にチェック項目で確認された不備を修正できるよう工夫した。これは、保守対応時の閲覧時に、不備についてポップして表示できるようにし、修正漏れがないようにした。
 また、修正の履歴が確認できる欄を追加し、修正の前後関係が分かりやすくなるようにした。これにより、履歴日時から保守対応の履歴との対応が簡易になる効果が期待される。
 私は、これらの機能を情報システム部に追加するよう手配した。また、環境図の修正と更新に関する運用ルールを文書化し、周知徹底するようにした。

設問ウ:改善の具体的なこうかと及びその評価と更なる活用に向けた課題 


 チェック作業及び運用ルールの徹底依頼して以降、今回対応と同種のクレームが発生していないことから改善には一定の効果があったと考えられる。
 また、環境図運用ルールの徹底を図ることで、環境図を利用する保守対応において、効率よく的確に実施することが期待できるため、技術部部長からも高い評価を受けた。
 ただし、以下の二点においては、更なる活用に向けて課題となった。
 一点目は、修正及び更新の手動作業の限界である。これについては、現状の環境図の運用が全て手動によるものであるため、不完全性や作業の非効率性が存在する。私は、保守契約の解約時に自動通知することや、継続的なチェック作業についてRPA化することなどを検討した。
 二点目は、設問アで利用したアンケート結果の一つ、「項目が足りず必要な情報がない」についてである。 これについては、環境図の項目のなかで他社製品や環境図内で項目化されず、その他としてまとめられていた項目、具体的にはインターネットを利用したwebカメラレコーダーなどのIoT機器など、である。これらは従来であれば責任分界点においては従来は不要であるとされていたが、今後の包括的な保守対応には必要であり、可能な限り把握しておいた方が良いと考えられる。
 私は、検討した二点について、技術部の会議において自動化について、及び環境図に今後必要な項目を議題として上げ検討した。

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