H25 SM PM2-1 サービスレベルが未達となる兆候の対応について



設問ア
1.携わったITサービスの概要
 Z社は、自社開発のネットワークを販売する通信販売事業者である。Z社技術部は、自社開発の機器を中心として、ネットワークやPC操作などの操作説明やインシデント対応(以下、これらをサポート対応という)を実施する。
 Z社技術部は電話対応など内勤業務を実施するサポート課と、サポート課が電話対応で完了しなかったサポート対応の機能的エスカレーションの受付先として、顧客先へ訪問しサポート対応を実施する、外勤業務を実施するサービス課が存在する。
 Z社はの取引先は主として法人企業である。この為、Z社技術部によるサポート対応は、日曜日及び祝日を除いた日中の9時から18時がサポート対応時間となる。
2.サービスレベルが未達となる兆候の概要について
 Z社では、技術部によるサポート対応の、幅広く専門性の高いサポート対応をZ社のコアコンピタンスの一つとして挙げている。
 私は、Z社サポート課に所属するITサービスマネージャとして、サポート課のサポート対応のサービスレベルの維持を管理している。
 Z社は、自社のウェブサイトにそのサービスレベル項目を掲載している。その一部は、顧客からのサポート対応への入電から応答するまでの時間(以下、サービス応答時間という)が10分以内である。
 Z社技術部では、全てのサポート対応は障害対応DBに記録し、管理している。この障害対応DBでは、現在対応中のサポート対応の一覧を示す機能もあり、サポート課の対応はこの一覧を基にサポート対応を実施する。
 この障害対応DBの現在対応しているサポート対応のうち、サービス応答時間が5分を経過し、サービスレベルが未達となる兆候(以下、兆候という)を示す場合、項目欄の表示色を白から赤色に変え、対応を促す。
740-1540

設問イ
1.サービスレベルが未達となる兆候及びそのように認識した理由
 私は、障害対応DBの現在対応中のサポート対応の状況や、サポート課の要員から情報を収集し、サービスレベルの維持について、以下のような兆候と理由を確認した
1.1 サービスレベルが未達となる兆候
 私は、設問アで述べたサービスレベルが未達となる兆候が表れるのは、週明けの月曜日の午前中に集中していることを確認した。これは、サポートの時間を一時間ごとにブロック化し、兆候が発生した場合に色分けをするサービスレベルアグリーメントマネジメントチャート(SLAMチャート)を使用し、確認した。この兆候は、Z社のサポート対応の受付がない日曜日にもサービス要求が発生し、サービス対応が月曜日の午前中に持ち越されるからであると考えられた。 
1.2 未達となると認識した理由
 私が未達となる兆候と認識したのは、上記の兆候が、通常のサービス対応に加え、日曜日のサービス要求の持ち越された件数も加算されるからである。これらのサービス要求に対し、対応待ちが発生する場合、サービス応答時間のサービスレベル項目が未達となる。
2.サービスレベルを遵守するために実施した対策をその結果について 
 私は、サービスレベルが未達となる兆候を確認し、以下の対策を実施した。
2.1 実施した対策
 私が実施した対策は、週明けの月曜日のサポート対応開始前の時間の利用である。その対応は、週明けの朝礼時間を15分実施していたが、5分に短縮した。この空いた時間である10分を、障害対応DBから、対応がされていない未対応のサポート対応について、サポート課の要員が前もって振分け、対応の確認をすることである。
2.2 その結果 
 私は、以上の対策を実施した結果、サービスレベルが未達となる事象は発生していないことから、実施した対策については問題がなかったと考えられる。
1540-2140

設問ウ
1.設問アで述べた兆候の管理を効果的に行うための工夫
 私は、設問アで述べた兆候の管理について、さらに効果的に行うため、サービス課の要員に協力を要請した。サービス課の要員に兆候に関しての知見を求めたところ、時間だけではなく、イベントも兆候に関して影響を与えることを確認した。このイベントは、具体的にはZ社の開発したネットワーク機器の機能更新アップデートの影響などである。これらにより、サービス要求が増加し、兆候が発生する。
 この為、兆候の管理においては、時間とともにイベントも加味する必要がある。
2.仕組みの改善 
 私は、サービス課の要員から得られた知見と設問イで述べた兆候について検討した。その結果、時間で兆候を確認するだけではなく、自社開発の機器の機能改善のアップデートなどのイベントで兆候を予測する必要があると考えた。
 私は、サービスレベルが未達となる兆候の管理に対し、サポート課だけでの対応だけでなく幅広い要員による継続的な改善が必要だと考えた。
 私は、この考えに基づき、Z社商品の開発を担当する開発課やサービス課の要員を交えて、月次で検討会を開催する計画をまとめた。
 この検討会により、兆候の管理について、継続的な改善を実施する。

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