H29 SM PM2-2 継続的改善によるITサービスの品質向上について



設問ア
1.携わったITサービスの概要
 Z社は、自社開発のネットワーク機器を販売する通信事業者である。
 Z社が開発したファイルサーバとグループウェアサーバの機能をもつBは、簡易操作でファイル機能やグループウェアの設定ができるため、順調な売り上げをしており、Z社のフラグシップモデルとなっている。
 Bは、Z社開発課部よって開発・機能改善がされている。また、修理などのインシデント対応(以下、修理対応という)はZ社技術部にて対応している。開発部は、技術課のインシデント対応のうち、高度なものの対応をする機能的エスカレーションの受付先としても機能している。
 私は、Z社技術部に所属し、Z社の修理対応についての品質の維持及び向上を指揮している。
2.重要と考えたサービス品質と目標及び目標値について
 Z社は、顧客から修理対応後にアンケートを実施している。私は、このアンケートを週次で確認し、サービス品質の維持及び向上に利用している。
 アンケートでは、Bに関するもののうち、修理対応の時間についての意見が多く占めた。これは、長くかかった場合のクレームと短い時間で完了した場合の好意的な意見も同様に多く存在した。
 私は、この修理対応の時間への顧客の関心の高さから、Bが顧客の業務遂行において重要な位置を占めていることを確認した。
 このため、私はBに関する修理対応の時間の改善が、顧客満足の向上に関わる重要な目標と考えた。この目標について、改善効果が確認できる目標値を設定する必要がある。私が、現状のサービス品質である修理対応の平均時間を確認したところ60分であった。
 私は、上記から目標値を55分に短縮するよう設定した。
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設問イ
1.立案した方策について
 私は、設問アで設定した目標値を達成する為の方策を検討した。これについては、修理対応の時間を削減する為に、Z社技術部の修理対応者(以下、対応者という)の技能向上によって可能と考えた。
 具体的には、以下の3点を実施する。
 ① 実機を用いたOff-Job TrainingOff-JT(Off-JT)の実施:これは開発課の要員の参加を要請しBの実機を基にOff-JTを実施する。内容については、機能的エスカレーションを実施した事例などに中心として実施する。これにより、機能的エスカレーションが減ることで修理対応時間の削減が見込まれる。
 ② Eラーニングの実施:これはBに関する内容を、動画教材を用い各種インシデント対応や設定方法などを配信する。また、週次で理解度の確認のためテストを実施する。
 ③ グループチャットの活用:チャット機能のうち、複数人が参加できるグループチャットを利用し、情報発信及び質疑応答を実施する。これについては対応者全員と開発部の要員を参加者として参加させ、インシデントのトレンドなどリアルタイムでコミュニケーション及び情報伝達が可能となる。
2.管理指標について
 私は、これらの方策について、実施状況を把握する為の管理指標を下記のように設定することとした。 
2.1 Off-JTの出席率
 Off-JTへの対応者の出席率を開催ごとに確認する。出席率は80%以上を目標とする。
2.2 Eラーニングによる理解度確認テストの確認
 Eラーニングの理解度確認テストの参加率及び結果を確認する。この目標値は参加率は100%を目標とし、確認テストは80点以上とした。
3.考慮点について
 私は、以上のような方策及び管理指標を設定したが、これらについて二つの点について考慮する必要があると考えた。
 一点目は、実施費用である。方策①において開発部の要員の協力が必要である。また、方策②と方策③においても対応者の通常業務とは別の業務を追加で依頼することとなるため、時間的なコストに留意し、負担が少なくなるようにしなければならない。
 二点目は、実施期間である。これは、一点目と同様に各要員に負担が少なくなるようにしなければならないと考えた。私は、これを三か月と設定した。ただし、最初の一か月でこの方策の目標に与える影響を検討し、その結果で実施期間の延長や短縮も検討する。

1660-2260
設問ウ
1.改善活動の振り返り
 私は、方策を実施した後の一か月後に、設問イで述べた目標達成に向けた改善活動について振り返りを実施した。管理指標については、Off-JTの出席率は目標の90%を達成した。またEラーニングも同様に目標を達成することができた。
 この管理指標の成果で、サービス品質の目標である修理対応の平均時間も55分であり目標が達成できた。
 このため、最初の振り返りとしては問題がなかったと考える。
2.評価の結果
 ただし、今回の取組は顧客満足に関する重要な指標である修理対時間の短縮は今後とも、継続的に改善をしていく必要がある。私は、以下のように次の取組計画について検討した。
2.1次の取組計画と継続的改善計画
 現状では、Eラーニングの対応者の履修率は100%となっているが、Z社技術部では、新たに配属される対応者も多数いるため、この対応者に向けても継続的に過去の分も含めて履修が必要となる。
 この為、Eラーニングについての実施した内容のうち、必須と考えられるものをピックアップし、新人対応者に向けて必修のものとする。
 また、グループチャットについても継続的に活用し、より粒度を下げた情報発信をするよう手配した。
 私は、これらについて、今後とも継続的改善が有効に機能するように、修理対応の平均時間を重要業績指標(KPI)として定め、これを定期的に評価し、目標達成に向けた活動の指標とすることとした。
以上


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