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考え事#48 セルフフレーミング

考え事の#40-#44にて完結したつもりでいたフレームというテーマがある。

アウトプットし切った気持ちになるということは、書いた内容のメガネを掛けて世界を観測して生活することだ。昨日ふと、セルフフレーミングという言葉が頭に降ってきたので今回はこれについて書く。


フレームの防衛機能

自分にとっての自由を教えてくれる教材がフレームであると書いてきたが、課されているフレームは時として他のフレームから自分を守る役割を果たす。

・自分の考えはこの人の言動には沿えないから迎合せずに流そう。
・言っていることが理解できないけど、立場が違うからきっと仕方ない。
・この理屈でいくとその事実は認知できないから取り合うのはやめよう。

など、フレームによって断絶も起こるが、その時自分は実は守られていたりもする。そこがまたフレームの厄介なところだ。

自己防衛のためのフレームデザイン

どうせ何かの組織に所属してしまうと何かしらのフレームが課される。
それに対抗するには、自らが先にフレームを自分に課すという方法がありそうだ。フレームはざっくり言ってしまえばルールの集合体のようなものだから、自分ルールのセットと捉えてみても良いかもしれない。

利己的セルフフレーム

自分の人生や自分の生活に対して、譲れないものや排除したいものというのがあるはずだ。個々に多様なニーズがあるだろう。

自分にとって譲れないものを譲らざるを得なかった出来事
自分にとってどうしても排除したいものを排除できなかった出来事

これらを分析していくと、そうなってしまったパターン分類ができる。
出来事が発生するには、そこに至るための数々の分岐点が存在する。
パターン分類で見えてきた数々の分岐点のうち、なるべく手前の分岐点で、望まない方向に進まないためのルール集を考えることが出来れば、それが利己的セルフフレームとなるだろう。

擬態的セルフフレーム

他者の行動様式が理解できなくて困る、というのは誰にでもよくある事だろう。そういう場合にはたいてい二項対立が起こり、断絶に繋がる。

大人と子供(親と子供・先生と子供)なんて、過去何度も衝突してきた二者の最たるものだろう。子供の頃は、大人は昔子供だったのに、なぜ子供の気持ちを忘れてしまうのか?と不思議だったが、大人になるとそもそもこの問いがずれていたことに気付く。人の気持ちなんてものは一生わからない。逆に、人に自分の気持ちが自動で悟られる世界が生きやすいだろうか。気持ち悪くて出かけるのも嫌になるのではないか。

とはいえ、関係性を良い形で保っていくためには相手の行動様式を理解することは重要であるといえよう。

行動様式はその相手の課されたフレームに大きく依存して決まる。
従って、相手のフレームを分析し、同じフレームを自分に課してみることによってそのフレーム内での物事の見方や感じ方の一端が掴める可能性は十分にあるだろう。こうして似たフレームに入ることができれば、きっと相手のフレームを少しずつ変容させることは難しくないはずだ。

フレーム同士がぶつかり合ってしまうとそこには不和が発生する。少し時間がかかるかもしれないが、擬態フレームを使って他者を少しでも理解することは、周り回って自己防衛に繋がるだろう。

セルフフレームのレイヤー

セルフフレーミングによって形成されるフレームはもちろん万能ではない。
同じレイヤーのフレームに対しては効力があるだろう。

憲法や法律といった社会的フレームは現代社会において最も強いフレームだ。ここに対抗するフレームは犯罪行為とか反社会的行為となってしまうので、このレベルでのセルフフレーミングは危険ともいえる。今回はここに対しては言及するつもりはない。

次に強い社会フレームは、契約だろう。契約は締結前の段階でのセルフフレーミングが重要となる。近所のコンビニでちょっとしたお菓子を買うにしても、不動産屋で賃貸物件を借りるにしても、契約を結ぶ前段階であれば相手との交渉の余地がある。巨大な資本を持った企業は、その余地すらないかのように振る舞ってくるのが通例となっているが、契約後はこの契約フレームですら、憲法や法律といった最強のフレームと同格になってしまうことに充分注意する必要がある。

そして、セルフフレームが最も有効に機能するレイヤーが慣例フレームである。慣例フレームは、社会のいたるところに存在して、あなたの心身に侵食してくるフレームだ。法的拘束力は一切ないのに、皆がそうするからとか昔からそうだからという謎の理論で個人のリソースを奪いにくる。

慣例フレームにはまり切ってしまうと、次はあなた自身が気付かぬうちに慣例フレームの営業を始めるだろう。

セルフフレーミングによって、慣例フレームの中に簡単には入らないような自己設定を構築できれば、人生における意図せぬ損失をかなりの数防げるのではないだろうか。


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