勘違いからハマる曲
最近、Official髭男dismを聴く。ピアノポップバンドを名乗るところも、高専出身がいるところもなんかいい。好きな曲は『Stand By You』と『コーヒーとシロップ』だ。BPOにはいろいろな音楽を聴く団員がいて、その中のししゃもファンからは「え~ヒゲダン~?」みたいに言われたことがあるが、どのように好ましく思っているのかを口頭で伝えるのは難しい。
このコーヒーとシロップ、「頑張ろうぜ!やれるやれる!」みたいな陽の押し付けがなく、「うわー仕事しんど、飛び降りよっかな」みたいな歌詞が最高なのだが、好きになったきっかけはメロディである。今回は、コーヒーとシロップの何が好きなのかを書きたい。
同曲には、サビに次のようなところがある。
私はよくお風呂で音楽を聴くが、シャワーの音などで歌詞がきちんと聞こえない。まさか「不甲斐なさのシロップを落として」などと複雑なことを言っているとは思いもよらず、「~~~シド~~」と聞こえていた。私は人の声の音名をあまり判別できないので、「シドのところはGis Aじゃん」とかは気にならない。そのため、音階に合わせて「ドレミファソラシド」と歌詞が当てられていると勘違いし、勝手にエモがったところから好きになった。
音階のポップアップ効果
この、1オクターブ駆け上がるのが、緊迫感があってグッとくる。クラシックの曲はスケールが入っていることがよくある(普段練習しているときも苦手な調では苦労させられている)が、ポップスってどうなんだろう? ポップスの中にはそこまで使われないから目立つのか、それとも一般に、メロディに長い音階が入っていると際立って聞こえやすい、みたいな傾向があるんだろうか? 今まではあまり意識してこなかったが、この曲ではとにかく印象的で、ドキッとする。視覚のポップアップ効果(文章中のマーカーを引いた部分がすぐに目に飛び込んでくる、など)の聴覚版のようなものって、びっくりシンフォニーみたいな強弱以外にもいろいろとありそう。
ほかにもこういうスケールが入ったポップス曲があったらぜひ聞きたいので教えてください。
歌詞と音楽がリンクしているとエモい(勘違い)
スケールに合わせて「ドレミファソラシド」と歌詞がついてるのもめっちゃいい!と思っていた(全くの勘違いだった)。一方で、日向坂46 『ドレミソラシド』になると、ちょっと好みとは違うかな、と思うけれど……。
後から歌詞を調べたら、全く救いがなくてただつらい、みたいな歌詞の曲だったのでこれはこれでよいな、と再び気に入った。高みから「大丈夫だよ!」みたいに言ってくる曲は苦手だ。
もう解散したが、かつてMAEというバンドがあった。MAEの1曲『A Melody, The Memory』の中に
Can you hear the piano?
And the pulse of the drums?
という歌詞がある。ピアノと言ったあとにピアノが、ドラムと言ったあとにはドラムが目立つ伴奏になっていて、ここがゾッとして好きだ(Spotifyで聞けます)。ボーカルと楽器による演奏(メロディ)がリンクしたり呼応したりしていると、迫ってくるように聞こえる気がする。
***
緊迫感がある曲が好きかのように書いてしまったが、Stand By Youはまた別のタイプの曲で「メロウな」などと評されている。こちらの曲は聴いていたラジオ(Blue Ocean)で1か月ずっと流れていたことがあって、そこで刷り込まれて好きになった。ヒゲダンを認識したのはここからである。
そのあとヒゲダンの曲をいろいろ聞くようになって、『コーヒーとシロップ』を知った。聴き始めたころに印象的だと思っていたポイントはいろいろと勘違いやズレた認識を含んでいたけれど、違ったと気づいてからも好きだったのでよかった。
文京フィルハーモニック管弦楽団では一緒に練習する仲間を募集しています。詳しくは楽団ホームページの団員募集をご覧ください。
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