【EDH黎明起こし、ザーダの調整記と統率者神決定戦レポート】
【初めに】
EDHの黎明起こし、ザーダを自分なりに調整して統率者神決定戦に持ち込み、TOP16(予選5位通過)に入賞できたので調整記と大会レポートを残す事とした。
今回の記事は、筆者なりにデッキを組む際のプロセスを紹介する意図から、ザーダの調整記の後に大会レポートという構成としたが、大会レポートのみに興味がある方は見出しのリンクで大会レポートまで飛んで読んで貰えたらと思う。
【デッキの調整プロセス】
筆者が新規にデッキを組む際、
1.同ジェネラルの既存デッキ調査による戦略分析
2.戦略に合わせたカード調査(一次スクリーニング)
3.テストプレイ
4.戦略に合わせたカード選択(二次スクリーニング)
5.デッキ完成
というプロセスを重要視している。今回は、黎明起こし、ザーダのデッキの構築を通してそのプロセスを紹介していく。
【調整記】
Mox Fieldをはじめとするサイトで、ザーダデッキの情報集めを行った。
モノリス2種との無限マナは基本として、コンボ特化型が多かったが戦闘に特化させたアーキタイプも散見されるなど、得られる知見は多かった。
デッキの情報を集めた後、具体的なカードが調べきれていなかったため、統率者2021年当時のリストで白赤で使用でき、カードテキストに「:」を含むカード3565枚(装備品は別途調査)をスクリーニングする事とした。
【カード紹介】~通常編~
・煙束ね(大会リスト不採用)
ザーダを唱えるコストにも使え、ザーダの起動型能力にも使える。
他では大渦の放浪者に採用される事もあるカードだが、大概なマニアックさ。結構バカに出来ない性能であり、土地からモノリスキャスト、モノリスからの1マナと煙束ねのマナでザーダキャスト後に残ったマナで無限マナが仕掛けられるカード。
マナが伸びていない最序盤に同一ターン中でモノリスとザーダを仕掛けられるのは偉い。
・Candelabra of Tawnos(大会リスト採用)
ザーダの能力はマナ能力には適用されないが、土地をアンタップするのは合法。ちょっと高価だが無色1マナから土地を3枚アンタップして色マナを共有してくれたりマナ加速してくれるなど、縁の下の力持ち的なカード。
無限マナの捌け口として土地をアンタップして色マナを供給してくれるのも偉い。序盤~終盤で腐る事無し。
・作戦室(大会リスト採用)
本来は若干重たいドローだが、1マナ+本体タップ+2ライフであれば十分使用に耐えうる。前述のCandelabraと合わせて1ターンに2枚引くなど、ドローに乏しいボロスカラーでは垂涎の一枚。
ザーダのパワーが4だったら眷者の居留地で良かったのだが…
・ゴリラのシャーマン(大会リスト不採用)
モックス・モンキーの異名は伊達ではなく、ザーダとの共闘で太陽の指輪まで壊していくのはさすがに強い。雑に出てきたレインジャー長からサーチもでき、かなり活躍してくれるカード。
調整を進めていくうえで、先出しすると相手がファクトを置いてくれなくなり、自分の波止場のバリューが下がるために抜けていった。
・発明博覧会(大会リスト採用)
ザーダなら博覧会への入場料が半額!
4マナでも活躍しているのに2マナであればもちろんエース級。
探検の地図(キャスト+起動含め2マナ)→博覧会起動2マナ→モノリスキャスト等、フランクに無限マナまで達成可能。もちろん、別途で無限マナを達成している場合はバリスタなど、マナの吐き先をサーチしてくれば良い。
・埋没した廃墟(大会リスト採用)
モノリスが虐待されやすいためのお守り。WoF系で墓地に落としてしまったフィニッシュ手段を持ってくる事もできる。土地から色2マナが確約された後は埋没した廃墟を優先的に置くなど、プレイング面での工夫も必要。
・爆発域(大会リスト不採用)
ボロスカラーは除去が豊富なのであまり必要性を感じないが、通常時のもどかしさが嘘の様な使用感。土地枠に余裕があれば程度で良いかもしれない。
・写本裁断機(大会リスト不採用)
教示者を潰し、金属術達成に寄与し、3マナで墓地回収までできる。お得感は凄まじいのだが、これを取る必要があるかはちょっと分からない。
・威圧の杖(大会リスト採用)
無限マナの吐き先としては最強で、普段使いも出来そうに見える。が、そんな事はなく4マナで1ドローファクト。余った1マナで小刻みに1ライフ得るさまは涙を誘う。
場に出てしまっている状況では全員が本気で無限マナを妨害してくるため、無限マナまでは手札に温存しておくべき。
・預言者の杖(大会リスト採用)
ザーダ2本目の杖。装備してしまえばその後は2マナで1ドローと驚異的なドローを与えてくれる。反面、ドロー能力は装備クリーチャーが得る起動型能力であるため、呪われたトーテム像存在下ではフィニッシュ手段になり得ないので注意が必要。
・太陽冠のヘリオッド(大会リスト不採用)
バリスタも採用されているので、往年のコンボを叩き込んでも良いかも。ザーダとの組み合わせても魂絆がつくだけなのは微妙なので最終的には不採用枠となった。
・栄光(大会リスト不採用)
墓地に落ちていれば白1マナのみでプロテクション付与し放題。海外リストではドロソをルーター系に頼っているため強そうに見えるが、単体で仕事しないため活用は難しいと感じた。殴り系のアーキタイプには必須。
・新たなるファイレクシアの魂(大会リスト不採用)
栄光と異なり、場に居ても仕事をする。しかし6マナ+起動3マナでやる事か?という事で候補にとどまった。
・炎巻物の祝賀者(大会リスト採用)
裏面が沈黙な上、トラシオス系にも起動に対応して1点与えられる。本体も赤1マナで2点のバンプクリーチャーとなり、ザーダのブロック禁止効果と合わせてまれに大ダメージを与える。主に裏面で使用する事が多いが、無限起動系のジェネラルが卓に居た場合には表面でキャストしておく割り切りも重要。
・歩行バリスタ(大会リスト採用)
基本的に無限マナの吐き先なのだが、いくつかプレイングがあるので注意が必要。相手がマナ吸収を狙っていた時+呪文嵌めをケアするため、X=2でのキャストが基本となる。
捕縛の言葉の可能性がある場合は無限個キャストが正解。使い分けていく。
【カード紹介】~異常編~
・ラスの書(大会リスト不採用)
ザーダのむかつき。ボロスカラーという特性上、ライフを詰められる事は少なく、15枚位引けるのでそこで決めよう。ザーダが居れば色拘束がない強欲と強がるが、本体が異常に重たい。そこそこあり寄り。
・歯車組立工(大会リスト採用)
ザーダ専用カード1。
場にモノリスがあれば5マナでコピーを作り、コピーのモノリスで無限マナを達成。その後、歯車組立工自身をコピーして無限体パンチで〆。
歯車組立工含めて8マナでコンボまで行けるため、ザーダ戦でモノリスのポン置きはあまり感心しない。多勢の兜でザーダを3体に増やせれば、場に常設されている太陽の指輪等の2マナファクトをコピーして無限マナ+無限トークンが狙える点も忘れないようにしたい。
・Phyrexian Portal(大会リスト採用)
ザーダ専用カード2。
パイルの中からその時に最適なカードを選べる上、ザーダ存在下ではわずか1マナで起動できるので破格。起動時毎に別の対戦相手を指定して手札が読まれにくくなる事や、分けるのが下手な対戦相手を見つけたら最後までしゃぶりつくせるというオフラインならではのカード。このカードが見つかった事で、マナ加速+portalであっても十分なキープ基準となったため圧倒的に楽になった。
・魂光りの炎族(大会リスト採用)
ザーダ専用カード3。
1マナ3セット払えば赤8つ出るのでその後に仕掛ける事ができる。地味にトランプルがつくので、殴り合ってる奴らに横やりを入れる使い方もお勧め。
・蠱惑的な船員(大会リスト不採用)
2マナで脅しつけを何度も使えるのはさすがに強い。種族が海賊であるため、マルコムを奪うとちょっとしたシナジーになる。やはり殴りタイプの時に採用するべきか。
・統率者の板金鎧(大会リスト採用)
統率者への装備なら3マナだが、ザーダなら1マナで装備可能。プロテクションBUG+タフ6になるので剣を鍬に以外はケアしなくて良くなるのが偉い。3+6+6+6の暴力プランも忘れずに使おう。
・蜃気楼の鏡(大会リスト採用)
場にある他人のモノリス、マナファクトを1マナでコピー可能。また、魂光りの炎族を対象としたコピーを複数回スタックに積み、1度の処理につき3マナつぎ込んで8マナずつ出していくちょいテクが存在する(ラストのコピーをトラシオスにしておくと更に悦)。
ネクロポーテンスや堂々たる撤廃者など、場にある最強カードをコピーできるので戦略がぐっと拡がる一枚。
・石切りの巨人(大会リスト不採用)
ザーダが場に居ると白マナのみで起動できるため、
★1回目起動→暗黒のマントル装備して1マナでアンタップ
★2回目起動→極楽のマントル装備で無限バンプ
★以降、白+不特定マナ1マナで装備品をライブラリーからサーチして付け放題となる。装備品に寄せたザーダだったら採用できるかも知れないが、少し迂遠。ザーダから出てきた石切り巨人は常に警戒しておきたい。
・にやにや笑いのトーテム像(大会リスト採用)
無限マナ発生後の吐き先、色ファクト、カウンター等、状況に応じて相手からカードを借りて来られるのは優秀。
・龍を操る者(大会リスト不採用)
1枚で完結しているカードに感じられるが、赤マナが大量に必要なためちょっと怪しい。ザーダ、操る者で既にパワーが5なので、赤3つ+2赤赤があればなぁ、、、
・這い回るやせ地(大会リスト不採用)
2マナで強化し続けられるミシュラ土地。いつ攻撃に行くかはプレイング次第だが、大振りなクリーチャーは除去の的になりがちであるし、クリーチャーで殴るゲームは想定していないので不採用。変身後はエレメンタルであるため、煙束ねのマナを使って追加強化する小テクが存在する。
・ヴァラクートの発動者(大会リスト不採用)
序盤のブロッカーにもなり得るうえ、無限マナで文句なく勝てる。
当落圏内。
【基本戦略の決定】
ザーダはマナ能力ではない起動型能力の起動が2マナ軽減できるため、厳かなモノリスか玄武岩のモノリスのいずれかとザーダの2枚が場に揃えば無限マナを発生させる事ができる。この状態から帝国の徴募兵、護衛募集員でサーチしてきた歩行バリスタで〆るのが主な勝ち筋となる。
何度かプレイしてみて、30枚程度の土地の内、数枚が無色土地である事を考えると、無限マナが成立する3ターン目までに色土地を連続してセットできるかは怪しい事が分かった。
そのため、上記で紹介したカード群をはじめとして、採用候補のカードは下記の基準で評価を行い、使い勝手の良さそうなものを選定した。
★採用基準
1.無色マナのみで他の勝ち手段にアクセスできる。
2.タップコストが不要で、マナがあれば何度でも起動できる。
3.起動コストが軽く、ザーダ不在でも起動しやすい。
4.状況に応じて使い方が変えられる。
完成したデッキを身内でやっている統計会に持ち込み、調整を重ねて大会当日のリストは以下となった。
【大会当日リスト】
【大会レポート】
モノリス2種へのアクセスを担保できる初手をキープ基準とした。
【1回戦】
ズアー→マーウィン→ログ&ティムナ→ザーダ
4家なので、上家達が絡んでくれた時に勝てる事を祈りつつ、白チュー絡みの3キルハンドをキープ。ログティムから初手に敵対工作員が出てきてGG。ズアーもマーウィンもスタッククリーチャーを除去できなかったようである。
【2回戦】
暴動の長、ラクドス→ダミーア→勝利械→ザーダ
月銀の鍵でモノリスへのアクセスも万全、3キルハンドと思いきや、トップからワクショ。無限マナ発生後ににやにや笑いのトーテム像をキャストして、かなり悩んだ末にラクドスを対象としてサーチ。エルドラージからドローしかないと思っていたけど、歩行バリスタ入れているタイプだったので2キルで勝ち。
【3回戦】
ザーダ→マグダ→マルコム&ブルース・タール→ダーゴ&ジェスカ
月銀の鍵+宝石の睡蓮と、かなりのスピードを狙える卓。青が少なく、赤が多い卓だったため、宝石の睡蓮は温存して除去が1枚出てくるまで我慢する方針とした。結果、マグダの初動にマルハゲが稲妻を当ててくれたので、仕掛けに行く。レインジャー長+魂の洞窟が揃ったので、人間指定でバリスタを回収し、レインジャー長を切ったターンで全部そろえて勝ち。4キル。
【4回戦】
エドリック→ミンスク→ザーダ→マルコム&ブリーチェス
1ターン目にPWカーンを置ける高速ハンドだったため、マナ加速だけの手札をキープして結果的に負け試合。カーンを退かせたいミンスクの攻撃に耐えるため+ワンチャンスを狙うため、基本に帰れをメインステップに除去したらそのままエドリックに走りきられて負け。
【5回戦】
ログラクフ&テヴェシュ・ザット→ログラクフ&テヴェシュ・ザット→ザーダ→ケリク
この日の限界バトル。ログテヴェ2人の下に座り、しかも6枚キープ。月銀の鍵を追放しながら宝石の洞窟。トップが宝石の睡蓮だったので、作戦室→厳かなモノリス→睡蓮→ザーダ→無限マナ→蜃気楼の鏡→作戦室コピーでドローし続けて1キル。1家のログテヴェは2キルハンドだったようで、九死に一生を得た。
【6回戦】
ザーダ→ハパチラ→ウィノータ→マルコム&ブルース・タール
絶好の3キルハンドだったが、マナ計算をミスって長期戦へ。ハパチラ、ウィノータが海外の人だったのだが、噛み合いを考えずにスタック置き物を連打してくれたのでマルハゲが減速+カウンター撃てず、最終的に無限マナ揃えて勝ち。
1672ポイント、125人中5位で準決勝進出!
【準決勝】
トラシオス&アキリ→ザーダ→コーディ→トラシオス&ティムナ
前日の強運に陰りが出て初手4枚スタート。人の手札の枚数が減ったのを確認してから7枚の人がマリガン出来るタイミングは無いからね(何かを見た)。
手札の枚数上、宝石の洞窟をゲーム開始前に置くこともできず、ダラダラしていたら初動をつぶされたコーディから意外な授かり物が!
これで何とかゲームに参加できるようになったが、トラティムが身内なので当たりが辛い。ザーダが2没になった後は【動画】の44分からの流れなので見て貰った方が早いだろう。
トラティムとトラアキリの噛み合いで、撤廃者が場に居る状態でターンが回って来たので、あそこで無限マナとセットで何か持っていれば良かったのだが、そんな強運も残っておらず。ラガバンがコーディの沈黙めくったところまでは良かったけど、そこまで。準決勝敗退となった。
1年ほどこだわって使っていたザーダで上位成績を残せて満足である反面、そろそろタイトルが欲しい。
以上。