山田エルフの勝利条件を満たす方法

 「山田エルフ」でピンと来ない人に説明すると、山田エルフは「エロマンガ先生(伏見つかさ著)」というライトノベルに登場する人物でです。ここで述べることは、このラノベの12巻に関する内容なので、ご愛読されてない方は閉じて頂くのが賢明です。アニメやコミックのみをお楽しみの皆さんも、残念ながら今回は対象外とさせて頂きます。

 では、閉じずに読み進めるみなさまに質問です。「山田エルフの勝利条件って具体的にはどうすれば満たせると思います?」。遅ればせながら先日12巻を読んだ私は、ずっとそのことを考えているので、そのこをとちょっとここに書いて見たいと思います。

 まず「エルフの条件」に該当しそうなものを列挙します。
・紗霧が泣くのは駄目(12巻P274L4)
・両方、わたしのものにする(12巻P274L17)
・マサムネに、わたしのものになれば、紗霧をもっと幸せにできるってわからせればいい(12巻P275L6)
・法的な婚姻はどうでもよくて、大事なののは二人を自分のものにするってこと(12巻P275L17)
・具体的には、3人で一緒に暮らす、全員がいまよりもずっと幸せになる(12巻P276L1)
・あんたたち、わたしのもにになりなさい。一緒に、幸せになりましょう(12巻P279L1)
・紗霧も、マサムネと一緒に、わたしと結婚すれば?(12巻P292L10)
・アメリアも入れて4人家族ね(12巻P293L3)
正直意味わかりません(笑)

 そもそも、エルフの元に、マサムネと紗霧(とアメリア)が嫁ぐことが日本ではできません。「法的な婚姻はどうでもよい」と言っているので、それを表明するだけで「ok」ということなのかもしれませんが、その状態は曖昧すぎて「勝利状態」とは言えない気がします。

 私が考えるに、エルフの勝利条件に合致するのは「多夫多妻制度において、エルフを筆頭者として戸籍をつくる」場合だけな気がします。しかし、世界においても「多夫多妻制度」は存在しないようです(兄弟、姉妹を娶るというのはあるようですが)。一夫多妻は存在しますし、古の日本では普通に行われていたようなので、将来再び可能になる可能性もゼロではないと思いますが、一夫多妻は通常「男性が複数の女性を娶る」ことを意味するので、エルフが言う「わたしのものになりなさい」とは微妙に異なる気がします。実際12巻で母に「彼が、2人の女性を娶るという意味?(P275L13)」と問うたときは、肯定していません(否定もしていませんが)。なので「男性が筆頭であることを要件としない多夫多妻制度において、筆頭者をエルフとする」以外では、明確に勝利を満たせない気がします。でも、それは望み薄すぎます。さすがにエルフもそれは想定しないでしょう。だからこそ彼女が思い描く「勝つ」というビジョンがわからないのです。

 「紗霧の幸せ」を考えた場合、砂霧とマサムネが「未婚」であることは困難です。なぜなら未婚だと、紗霧は「万が一」の不安から逃れられないからです。特にムラマサという、紗霧を泣かすことを「考慮しない」存在がいることを考えると「未婚のまま4人で暮らす」のは無理です。なので「マサムネと紗霧が婚姻する」のは確定です。紗霧の幸せを重視するなら、エルフはそれを受け入れざるを得ません。

 エルフが「マサムネ・砂霧夫妻と共に同一住居で暮らす」というのは可能ですが、マサムネと紗霧の結婚式をムラマサと一緒に友人席で見るのをエルフが良しとするとは思えません。ではどうするのか。私が考える1つの解決策は「エルフはアメリアと同性婚して、マサムネ・紗霧ペアと合同結婚式を行い、同じステージでウェディングドレスを着て並ぶ」というものです。もちろんこれを書いている2022年1月現在では同性婚は認められていませんが、「パートナーシップ制度」として、届け出可能な区が存在しているくらいですから、遠くない将来、日本でも認められるはずです。しかも、女性の婚姻年齢がもうすぐ18歳に引き上げられます。紗霧が18歳になって婚姻する前に同性婚が可能になり、この案を提案できる可能性は十分にあります。

 なお、同性婚において「エルフが紗霧と婚姻する」というパターンも考えられますが、この場合マサムネがフリーになるため、紗霧が安心できません。マサムネがアメリアと婚姻しての合同結婚式などもっての他でしょう。アメリアはエルフと婚姻したいでしょうから、マサムネ・紗霧とエルフ・アメリアの合同結婚式が唯一の解のはずです。

 2組のカップルは結婚後、2世帯住宅に暮らすことになるでしょう。2世帯と言っても親子の2世帯ではありませんが、世間的には仲良しの2世帯が同一住居に住んでるというのは、納得できる範疇でしょう。

 子供については2つのパターンが想定されます。1つはマサムネ・紗霧の子供を4人で仲良く育てるパターンです。これは世間的にも何ら問題ありません。もう1つのパターンは、紗霧が許せば、エルフや、場合によってはアメリアとの間にもマサムネとの子が生まれるパターンです。世間的には「不貞」とされる行為ですが、犯罪ではないので問題ありません(本当か?)。マサムネが認知すれば、戸籍の父親もちゃんとマサムネです。マサムネ・エルフが婚姻して子を宿したあと離婚し、そのあとマサムネ・紗霧が婚姻して子を宿せば、結果は同じですから(離婚の時に子供をエルフの戸籍に移さないと、両方マサムネ・砂霧の子供になっちゃいますけど)、本人たちが合意してれば、そんなに悪いことではないとも思いますけど、どうでしょうかね。最悪、それで世間から冷たい目で見られても、エルフには守るだけの力があるので、問題ない気がします。子供だって、いじめられるなら別に学校に行かなくても良いですからね。エルフも紗霧も行ってませんし。新時代の倫理観ならいけるでしょう、きっと。

 もっとも、この案がエルフの勝利条件を満たすかは微妙です。少なくとも「エルフのものになった」とは言えない状態です。ただ、エルフとしても、別に「エルフ様~」と崇め奉られたいわけじゃないでしょうから、法的スタイルとして2世帯に分れながら、実態は1世帯、というか事実上の一夫多妻として暮らすのは、落としどころとしては「あり」ではないでしょうか。後は紗霧が、エルフがマサムネと制限なく「愛し合える」ことを認めるかどうかだけでしょう。そこはまぁ、紗霧が折れそうな気がします。原作で既になぜかぐらついてるし。

 ちなみに「多夫多妻」ですが、私が生きている間は難しいかもしれませんが、いずれ「少子化対策」として実現するのではないかと思います。核家族で多くの子供を育てるのは大変です。子供を家庭で育てず、施設で一律に育てるというSFな未来よりは、多夫多妻を認める社会の方が実現が早そうな気がするのは私だけでしょうか。多夫多妻の条件としては「各異性間で最低1名の子供を〇年以内に授かること」あたりだと思います。「婚姻は子供とは切り離すべき」という意見がでそうですが、多夫多妻はあくまで「少子化対策の特例」ということで納得いただければと思います。

 というわけで、つらつらと「エルフの勝利条件」として考えたことを書いてみました。作者の頭の中には、どんな解決策があるのか、是非13巻を書いて頂ければと思います。私が生きてる間に読めるとありがたいですね。期待してます。

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