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#116話 猫の夢

悪寒で体がフラフラする。
ふと足元を見ると裸足だった事に気がついた。
真冬に何をしてんだ俺は…と再び歩き始める。
もう無理だ…少し休憩。
そう言って自販機の前に座って体を縮める。
歯の奥からガチガチという音がなり、目の前が暗くなって来た。
ふと、背中があったかくなり振り向くと、そこにも俺と同じ奴が。
「何だよお前、立派な毛皮持ってんだろ?」
そう言って太った猫を膝に乗せる。
「冷てえ!」
冷たい肉球が膝上で揃う。
「こいつ、俺で暖とってやがる」
ゴロゴロと喉を鳴らして丸まる猫を抱えると、その背かなから陽だまりの匂いがした。

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風の子・シロイトは「猫の喉の音が聞こえる夢のカケラ(egg)」を抱えて戻って来ました。

BOX SPACE:夢現
風の子と契約を結んでいるコントラの「ドミノ」と「シイナ」。 
ドミノ達は、夢の向こう側(現実)から迷い込んだ迷人(まよいびと)の夢に入り「夢のカケラ」を集める役目がある。 かつて世界を守っていた8人の王達の墓には、眠人(ねむりびと)が『墓の鍵』を眠りながら守っている。眠人(ねむりびと)の眠りを安定させる為に夢のカケラは必要なのであった。

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