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♯100 チリンの夢
部屋の外からチリンと一つ鈴の音が聞こえてきた。
「あ、帰ってきた!」
そう、あの鈴は母が財布に付けていた小さな鈴の音。その証拠に玄関先で家族のチロがワンワンと鳴いている。玄関の音が響いたと同時に懐かしい声。
「ただいま〜」
ほら、やっぱり母が帰ってきたのだ。
嬉しくて玄関先に向かったが母の姿はどこにもなかった。
「お母さん?」チリン
「どこ?」チリンチリン
呼びかけに応えるように母の鈴の音が部屋に響くだけだった。
「ねぇ、どこにいるの?」
仏間に入るとそこには笑顔の母がいた。そしてゆっくりとその前に座る。
母の遺影写真はいつまでも穏やかに微笑んでいる。その前に置いてある財布には小さな鈴。
「……おかえり」
やっと言えたその言葉に、チリンとまた鈴の音が聞こえた気がした。
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ドミノトシイナは仏壇の前に座る人物の姿を見つめていました。
ドミノの元へ戻ってきた風の子・シロイトは小さな鈴の音の聞こえる「夢のカケラ」(egg)」を受け取りました。
ドミノは胸の奥で母にもう一度会いたいと思ってしまいました。
BOX SPACE:夢現
風の子と契約を結んでいるコントラの「ドミノ」と「シイナ」。
ドミノ達は夢の向こう側(現実)から迷い込んだ迷人(まよいびと)の夢に入り「夢のカケラ」を集める役目がある。 かつて世界を守っていた8人の王達の墓には、眠人(ねむりびと)が『墓の鍵』を眠りながら守っている。眠人(ねむりびと)の眠りを安定させる為に夢のカケラは必要なのであった。
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