変化にのまれていくことについて

2月末、私は生保レディの内定を辞退し、漠然とした不安に怯える日々を過ごしていた。そんな中、大学の就職支援をする課から、1つの会社を紹介される。その会社は小さいながらも地方に営業所を複数持っている堅実な中小企業であり、そこの、営業事務の採用だった。

会社説明会兼筆記試験を受け、3日後に最終選考である面接の日程調整の連絡がきた。その日は珍しく大雪が降った後のことで、私は大学3年の12月解禁になった就活開始当時から履き続けてボロボロになったパンプスで凍る雪道を恐る恐る歩いていった。
ついた会社にて、社長や幹部役員との5対1くらいの、人数は多かったが比較的和やかな面接を受け、晴れて内定を獲得した。
ずっと希望していた事務採用で、なんだか夢のようにトントン拍子で話が進んだ。今までの辛い日々はなんだったのだろうと思うほど簡単に、私の1年半に渡る就職活動は幕を閉じた。

2月末に内定が決まり、人手不足なので3月頭からアルバイトとしてきて欲しいと言われて二つ返事で了承した。
その会社で、私はまたややこしい恋愛を経験していくことになる。


社会人になり、私は一人暮らしを始める事になった。会社に近いマンションで、オートロック付きの9畳1K。
女の子が夢見るようなインテリアなどは置けなかったが、それでも過保護な両親(主に父親)のもとから解放されたのはとても大きかった。

今まで、少しずつ親に嘘をついて異性と遊びに出かけたりしていたので、枷をなくした私は夜遅くまで遊び倒した。朝帰りをしても誰にも怒られないし、外泊も咎められない素晴らしい環境だった。
恋愛もより自由にできる気がして、とても嬉しかった。お金も自分で稼いでいるので、好きなように洋服や化粧品にあてられたし、エステだって始めた。急になんでも手に入って、しばらくは楽しい日々を過ごした。

私は独立して、初めて自由を手に入れた。そして同時に社内の人間関係という面倒な枠に押し込められ、息苦しさを感じるようになる。
学生の頃なら、嫌な人がいても付き合わなければ良いだけの話だが、仕事ではそうはいかない。そんな環境で働くのは大変だった。唯一悩みを打ち明けられたのは、同じ部で7つ歳上のEだった。

Eは、実家暮らし29歳の独身男だった。
実家暮らしなので貯金はあるのか、自分の車を所有しており、何かと羽振りのいい男だった。何が切欠だったのか覚えてはいないが、自然とラインを交換しており、他愛ない話をする仲になっていった。

共通の話題である仕事の話が多かった。
こうした方がいい、ああした方がいい。様々なアドバイスをくれるEを次第に慕うようになり、頼るようになっていった。それが自然と恋心に変わるのに、そう時間はかからなかった。
4月に入社し、6月頭には付き合うようになっていた。

#恋愛 #社内恋愛

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