坊主頭

　心は決まった。坊主にする。夏が来るし。どうせ帽子被るし。ハゲを気にすることもないし。さっぱりしたものだ。おまけにカット代￥４９０と安いので、お財布にも優しい。いう事ないではないか。
　ただこの美容室は安いせいもあり、いつも客が多くて、順番がくるまで、かなり待たなくてはならない。それが苦痛だ。どうせ暇なのだから平日に行けばよかった。何故に土曜日に来たのか。
　やっと順番が来て、カットと相成ったが、丸刈りなので、あっという間に終わり、まるで待ち時間ばかり長くて、診療時間の短い心療内科と同じだと思った。
　家に帰って、洗面台の3面鏡で頭部を確認する。薄くなっていた部分は確認できたが、ハゲといわれるほどのものではなく、薄っすら毛が生えているようなので、却って坊主にして薄くなっている部分がさほど、ほんのさほど、目立たなくなった。木を隠すには森へ、薄毛を隠すには坊主で。