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夜中の会話

 夜中の2時ごろから明け方まで、マンションの外で、若い男女と思われる声が、ずっと聞こえてきている。ここは4階であるにもかかわらず聞こえるのだから、さぞや1階の人は五月蠅かろうと思うのだが、エアコンをつけて閉め切って寝ているので、案外そうでもないのかもしれない。「五月蠅い」と怒鳴る声が聞こえないからである。
 ベランダに降りて上から覗いて見るとどうやら1人は車で1人は車の外で喋っている。おそらく送ってきたけど、名残惜しくて、いつまでも喋っていたいのだろう。そんなら2人でホテルへでも行け、と言いたくなるが、ベランダのサッシを開ける音が聞こえたのか、車のエンジン音がして、やがて声は聞こえなくなった。
 ドアを開ける音がしなかったので、お開きになったのだろう。それにしてもさかりの付いた猫みたいで、迷惑な話である。
 自分の若かりし頃を思い返してみる。こんな経験あったかしら。あったような気もするし、なかったような気もするし。多分話すときはちゃんと24時間営業のロイヤルホストとかにいって話をしたような気がする。だいたいは恋話の聞き役だった。僕はお兄さんみたいな役柄だったのだろう。今頃あの娘、どうしているのかなあ、何てふと思ったりして。
 

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