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ののはな通信を読んで

バタバタと過ごしていて、気づいたら今日が読書の秋2021の最終日でした。
先日読んだ三浦しをんさんの「ののはな通信」について、感じたことをかいてみることにします。

この本は、ののとはなの高校生から大人になり、各々の人生を歩む間に起こる出来事を交えつつ、お互いが思ったこと、感じたことの往復書簡の中で語られています。

私は、ちょうどののとはなと同世代で、作中の様々な世の中の出来事(昭和天皇の崩御から東日本大震災まで)と一緒に歩んできたので、その時々の自分を思い出して、とても懐かしかったです。

女子校での親友同士だったのが、お互いを想い合うようになり、恋の高まり喜びとともに、愛しているがゆえに傷つけたり、許せなくなったり。
何度も決別してお互い別の人生を歩み、疎遠な時期があるけど、最終的に二人の人生は交差します。

大学を卒業して大人になってからは、お互いに恋人がいたり、外交官と結婚してずっと海外に住んだりしていて、ほぼ書簡のやりとりだけで、一度も実際にあうことはありません。
ふとしたきっかけで年を経てから、また往復書簡を復活させることになります。最初は友達としてのやり取りからはじまり、でも最後には心の奥底には二人とも相手の存在があり、相手と寄り添って生きてきたのだと気づきます。

この二人の間にはお互いへの深い理解と魂の結びつきがあるように思いました。こんなに自分をさらけ出し、心からにわかりあえる人に一生のうちに出会えるのであれば、性別など関係なく、素敵なことだと思いました。どんな自分も理解して、受け入れてもらえる関係。

最後ははなが、内戦勃発で荒廃するアフリカの赴任国の人たちを支えるために自分の身を捧げる人生を選び、外交官の夫に離婚を切り出して、帰国せずに残ってしまいます。

はなの生死もわからず音信不通が続く状態で、ののからはなにあてて書かれた手紙がとても心を打ちました。
そして、ののも、はなと同様に3.11で深い傷をおった三陸の人たちに寄り添うために出発します。
この二人はこの後一生会えないかもしれず、手紙のやり取りもできないかもしれません。でも、お互い想い合い、相手に対して言葉を紡ぎながらこの先も生きていくのではないかと思いました。

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