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人はなぜ、会社と自己同一化してしまうのか

今働いている会社では、販売子会社が地域割りであるため、製品別のサービス提供体制がおろそかになっています。地区ごとの全てのサービスを営業さんが全部対応するため、専門化する顧客のニーズに十分対応できなくなっています。

そこで、4月から組織再編を担う部署に移るので、会社を製品別に再編成しようと企んでいます。例えばサントリーさんも、昔は子会社は地域別になっていたようですが、お酒の種類ごとによりきめ細かく対応するため、今は子会社はお酒の種類毎になっています。今私がやろうとしていることは、発想は同じです。

ただ、今の地域割りの会社を全部分解して作り直すのは膨大なエネルギーがいるため、各社はそのまま、各営業を製品別に分けて、"バーチャル"なチームを作りたいと考えています。各営業は、地域別の子会社のボスにレポートすると同時に、そのバーチャルなチームのボスにもレポートする、二重のレポートラインです。


色々と抵抗があります。今まで違う発想を導入するからです。最も大きい抵抗感は、それぞれの営業社員は一体どこに帰属しているのか?というもの。二重のレポートラインという発想が、ピンと来ないようです。

これは、我々の発想が「各社員はどこかの会社に必ず帰属している」という感覚を前提にしていることを示しています。だから、帰属が曖昧なチームを作ると不安に感じてしまう。我々が会社と自分とをいかに"自己同一化"してきたのか、を端的に示しています。


でもよく考えると、こうした組織にアイデンティティを委ねてしまう考え方は、何だか古いです。顧客に専門性の高いサービスを提供するという役割を果たしている限り、どこにレポートするかは関係ないはず。そういうインデペンデントな発想を、同時に導入できたらいいなと思います。


以前出向していた海外の会社では、会社という組織はシンプルに「経営がやりやすい方法」で作られていました。だからそれぞれの会社は必ずしもcorporationではなく、LLCだったりとにかく自由。だから社員は、会社がどこかなどあまり意識せず、全体のグループにアイデンティティを感じていました。

今帰属している個々の会社に自己を同一化するなんて、息苦しい生き方だと思いますので、その発想自体に対してチャレンジを挑みます。


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